映画「ハウス・ジャック・ビルト」深淵を覗き込む時 | 忍之閻魔帳

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▼映画「ハウス・ジャック・ビルト」深淵を覗き込む時

 

公開中■映画:ハウス・ジャック・ビルト

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「アンチクライスト」「ニンフォマニアック」と

人の深層心理に入り込み、激しく揺さぶりをかけてくる

鬼才ラース・フォン・トリアー監督5年振りの新作。

強迫観念に駆られて連続殺人を繰り返す男を主人公にした問題作。

人を殺す魅力に取り憑かれた男の12年間にも及ぶ殺人の記録を全6章仕立てで描く。

主演は「クラッシュ」のマット・ディロン。

共演にブルーノ・ガンツ、ユマ・サーマン、ライリー・キーオ。

タイトルの「ハウス・ジャック・ビルト」はマザーグースの童歌を指していて

ラースは国ごとに独自のタイトルを付けることを許さなかったという。

(「THE」を取る程度の改変は許されたので、邦題は「ハウス・ジャック・ビルト」)

 

怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。

おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。

 

この映画を一言で表すとすれば、「善悪の彼岸」の有名な一節が最適だろう。

本人にしか説明できない犯罪者の筋道と心理に耳を傾け、

その行動を静かに記録した作品ではあるが

犯人が罰を受けて溜飲を下げるものでもないし、

150分もの旅路を見届けた後に残るものは、やるせなさと虚無感だけだった。

”途中退席者続出!”をウリにして集客UPに繋げる図太さは日本ならではだが

スラッシャー映画の善し悪しをはかる「グロさ」は

本作においては有効な物差しではない。

ビジュアル面だけで言えば、一部に悪趣味なシーンはあるものの

拍子抜けするほど地味だからだ。

 

では何が観客を途中退席させたのか。

 

それはおそらく「このまま観続ければ深淵に取り込まれてしまう」という

人の潜在意識に訴えかける恐怖だと思う。

主人公の独白をそのまま映像化し、歴史を綴ったという点では

監督の前作「ニンフォマニアック」に近い。

本作の主人公ジャックの抱く些細な不愉快さやこだわりや探究心は

ふとした瞬間に私達の世界と繋がりをもってしまう危険性を孕んでいて、

そのことに気付いた瞬間、戦慄してしまう。

平静を保って観ているつもりが、足元から侵蝕されるような薄気味悪さが

背筋を這ってやがて全身を包み込もうとする。

その恐怖は、ビジュアルで完結する血飛沫や人体欠損とは比較にならない。

昨年夏に訪れた「シルアル・キラー展 2018」(今年は現在銀座で開催中)で

数多くのインタビュー記事や犯行の記録を読んだ時とほぼ同じ感覚だが、

こちらは対象がひとりに限定されていて、しかも150分間も閉じ込められるのだから

逃げ出す人がいて当たり前だろう。

 

最初の被害者を演じたユマ・サーマンは

ジャックを凶行に駆り立てるに充分なほど不快な言動を繰り返し

ジャックの歪んだ美意識と(彼の中では)崇高な目的を達成するための

ロケットへと点火する。

大気圏を突破したら最後、誰にも止められない。

芸術性を絡めてくるのは3つ目のインシデントあたりからで

場当たり的に人を殺めてきた男が、建築家としての到達点を見据えて動き始める。

ただひとりジャックに耳を貸すのは、地獄への案内人ヴァージ(ウェルギリウス)。

 

頻繁に挿入される絵画や史料映像、ラースの過去作品などから

読み取れる情報は初見では全て理解するのは難しい。

だからと言って、この映画をもう一度観たいかと言われるとそれも答えに困る。

適正な距離を保ちながらこの映画と付き合うには

相応の耐性とスキルが必要で、誰にでもは薦められない。

いわゆる「ホラー映画」を期待しているなら避けるのが無難。

「ハッピー・ボイス・キラー」からさらに娯楽要素を削ぎ落とした

剥き身の悪意を受け止める自信がある方ならば、劇場に足を運ぶ価値はある。

 

映画映画「ハウス・ジャック・ビルト」は現在公開中。

 

【関連記事】「シリアル・キラー展」すぐ手の届く狂気(2019年6月追記アリ)

 

昨年大阪で開催された「シリアル・キラー展」が現在銀座にて開催中。

映画の半券提示で割引される特典もあるようなので、

東京近郊でご覧になる方はコースを組むのもあり。

 

 

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【関連記事】映画「ハッピーボイス・キラー」笑いと戦慄が入り交じるホラーコメディ


精神科医に通いつつ、犬1匹、猫1匹と暮らしていた青年が
ふとしたきっかけで連続殺人事件を起こしてしまうサイコサスペンス。
主演は「デッドプール」のライアン・レイノルズ。
共演はアナ・ケンドリック、ジェマ・アータートン、ジャッキー・ウィーバー。

今回の「シリアル・キラー展」を見ていたときの感覚に最も近かったのがこの映画。

日本でも猟奇的な殺人事件が相次いで起きている中で
本作を「面白いから観て下さい」と言ってよいものかは悩ましいところだが、
犯人が逮捕され、取り調べで「心の声が聞こえて」と供述する理由とその背景を
フィクションの中とはいえ本作でうっすら理解してしまったことは事実。
紹介記事の全文はこちらから。



▼シリアル・キラーを扱った映画まとめ

 

<実際の事件・未解決事件をベースにした映画>

   

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配信中■Amazonビデオ:フロム・ヘル 字幕版

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デ・パルマ、フィンチャーなど巨匠が扱うことが多く、

シャーリーズ・セロン、ヒラリー・スワンク、

ジェイク・ギレンホール、ジョニー・デップなど

出演者もかなり豪華なのが特徴。名作率高し。

この中では断トツに「モンスター」が哀しい。セロンの芝居が圧巻。

 

<キャラクター性の高いホラー映画>

   

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ホラー映画の中でも人気のカテゴリー。

ジェイソン、フレディといった人気キャラクターでシリーズ化されることも多く

心底怖いというより怖さを楽しむタイプ。「IT」や「悪魔のいけにえ」は

実際の事件をベースにしながらキャラクター性も魅力的にした希有な例。

 

<アジア系のホラー映画>

 

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配信中■Amazonビデオ:殺人の追憶 字幕版

配信中■Amazonビデオ:冷たい熱帯魚(プライム会員は無料)

配信中■Amazonビデオ:悪の教典

 

震え上がるほどの狂気を感じるのは、韓国の「チェイサー」「悪魔を見た」の2本。

園子温監督xでんでんが邦画の枠をぶっ壊した「冷たい熱帯魚」も強烈。

この中でまだポップさがあるのは伊藤英明の「悪の教典」ぐらいか。