笑いと戦慄が入り交じるホラーコメディ。映画「ハッピーボイス・キラー」 | 忍之閻魔帳

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当BLOGでもお薦めアプリまとめなど、発売に先駆けて何本か記事をあげているので
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▼笑いと戦慄が入り交じるホラーコメディ。映画「ハッピーボイス・キラー」

シルバーウィークも後半に突入。
連休にお薦めするなら当然ファミリー向け・・・ではなく
ピンポイントにも程があるこちらを紹介してしまうあたりが
いかにも天の邪鬼な私らしいなと自分でも思う。

先週末より公開された「ハッピーボイス・キラー」は
当BLOGでは何度も取り上げてきたアニメ映画「ペルセポリス」の
マルジャン・サトラピ監督の最新作。
精神科医に通いつつ、犬1匹、猫1匹と暮らしていた青年が
ふとしたきっかけで連続殺人事件を起こしてしまうサイコサスペンス。
主演は「リミット」「グリーン・ランタン」のライアン・レイノルズ。
共演は「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」のジェマ・アータートン、
「ピッチ・パーフェクト」のアナ・ケンドリック、
「世界にひとつのプレイブック」のジャッキー・ウィーバー。



「なんだ、サスペンスと言ってもコメディタッチじゃないか」
予告編を観てそう感じた方、その勘は半分当たっていて半分外れている。
確かにこの映画はコメディ要素を多分に含んでいる。
しかし、底抜けに明るいエンドロールが残したものは
「楽しかった」でも「怖かった」でもなく苦い思いだった。

ジェリー(ライアン・レイノルズ)のような人が
世の中にたくさんいることを受け止め、彼等が社会復帰した時に
私達はどう受け止めていくべきなのかを改めて考えさせられる。
劇中は散々笑ったはずなのに、劇場から一歩外に出た瞬間から
明快な解決法を持たない問題が「現実に起こり得ること」となって襲いかかり
気持ちがどんよりと沈んでいくのを感じた。
緊張と弛緩の繰り返しはホラーの常道だが、本作は笑いと戦慄を行き来するため
疲労感も通常のホラーより大きかったような気がする。

友人もなく、犬と猫に話しかけながらひっそりと暮らしていたジェリーが
何故再び凶行に及んでしまったのか。
精神科医ウォーレンの処方する薬さえ飲んでいれば未然に防げたのだろうか。
ジェリーにとって薬を飲むことは、辛い現実を直視すること。
犬の声も猫の声も聞こえないところで、静寂の広がる部屋で孤独に暮らすということだ。
例え心の声であっても、聞こえているうちは穏やかでいられたのだとしたら
薬を飲むことに躊躇してしまう気持ちも分からないではない。
飲まなければダメだと頭で分かっていても、飲むことがたまらなく怖い
ジェリーの苦悩や孤独にほんの少し理解を示しかけている自分を発見し、
慌てて打ち消す。ずっとその繰り返しだった。


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殺した女性の生首を冷蔵庫に保存するシークエンスは
楳図かずおの傑作「神の左手 悪魔の右手」に収録された「黒い絵本」に良く似ている。
「黒い絵本」のパパは娘にせがまれたとはいえ自発的に殺人を繰り返していたのに対し
ジェリーは最初に手をかけた女性に「独りは寂しいから」とそそのかされて
二度目の殺人事件を起こしてしまう。
もちろん、その声もジェリーの生み出した妄想ではあるのだが。


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発売中■Blu-ray:「ルビー・スパークス」

「悪魔を見た」のギョンチョルや「冷たい熱帯魚」の村田幸雄のような
心を持たない怪物でもなければ
ホッケーマスクを被ったり、チェーンソーを持っていたりもしない。
常に怯え、迷いながら心の奥底でずっとSOSを発信していたジェリーが
ただただ哀れで、私はどうしても憎むことが出来なかった。
人肉を切り刻み、タッパーに入れて積み重ねる、この男を。
ジェリーは、道を踏み外してしまったラース(「ラースと、その彼女」)や
カルヴィン(「ルビー・スパークス」)と言えるかもしれない。


もちろん、身の回りに被害者がいれば
そんな安っぽい憐憫の情など吹き飛んでしまうのだろうが。

ジェリーを演じたライアン・レイノルズがべらぼうに上手い。
良心を代弁する犬の声も、悪の道に引きずり込まんとする猫の声も
全て本人が演じ分けていて、言われなければ気付かないほど。

日本でも猟奇的な殺人事件が相次いで起きている中で
本作を「面白いから観て下さい」と言ってよいものかは悩ましいところだが、
犯人が逮捕され、取り調べで「心の声が聞こえて」と供述する理由とその背景を
フィクションの中とはいえ本作でうっすら理解してしまったことは事実。

可笑しくて哀しくて寂しくて恐ろしい。
複雑怪奇な人のココロを映し出した問題作。
映画「ハッピーボイス・キラー」は現在公開中。



▼今後さらに注目、マルジャン・サトラピ監督作品


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アニメ「ペルセポリス」で鮮烈なデビューを果たした
マルジャン・サトラピ監督の2作目は実写作品。
命よりも大事なバリオリンを妻に壊されてしまった音楽家が死を決意し
最後の8日間で若き日々を振り返るファンタジックなドラマ。
主演は「潜水服は蝶の夢を見る」「さすらいの女神たち」のマチュー・アマルリック。
共演にマリア・デ・メディロス、イザベラ・ロッセリーニ、ゴルシフテ・ファラハニ。

予告編やチラシの作り方からして、配給会社はロマンティックな作品として
売り出したかったのだろうが、実際はほんのりと政治的なメッセージも漂っている。
自身の半生を綴った「ペルセポリス」でも社会的なメッセージを強く打ち出していた
マルジャン・サトラピなのだから、当然と言えば当然ではあるのだが。
「恋愛睡眠のすすめ」など、ちょっとクセのあるドラマをお好みならお勧め。




発売中■DVD:「ペルセポリス」

イラン出身で、現在はパリに住んでいるマルジャン・サトラピが書いた
自伝的グラフィック・ノベルを、サトラピ自らの監督・脚本で映画化したアニメ。
ロックが大好きな少女マルジの半生を力強く描いた本作は
主人公マルジと母親タージを実際の母娘であるキアラ・マストロヤンニと
カトリーヌ・ドヌーヴが演じたことでも大きな話題を集め
2007年度のカンヌ映画祭で審査員賞を受賞した。

ブルース・リーとパンクが大好きな少女が、混乱の続く激動の世の中で、
自分を失うことなく邁進する姿を描いた大傑作。
当時のイラン情勢を知っているとより深く楽しめるのは事実だが
予備知識無しにひとりの少女の半生を眺めてるだけでも充分楽しめる。
アニメ好きを自認するなら、一度は観ておくべし。



▼超低価格「Fire」9月30日新発売


09月30日発売■Kindle:「Fire タブレット 8GB ブラック」
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「iPad mini 4」が発売されてホクホク顔のAppleユーザーを向こうに
Amazonのタブレット端末「Fire」に超低価格のエントリーモデルが発売決定。
発売日は9月30日で、価格は8,980円。
Amazonプライム会員ならばさらに4,000円引きされるため
実質4,980円での発売となる。

性能は7インチディスプレイの解像度は1024×600、
プロセッサは1.3GHzの4コア、モノラル音声、
カメラは背面が200万画素で前面はVGAとお値段なりのチープさ。
ストレージは8GBだが、別途microSDを購入すれば最大128GBまで拡張可能。
ビジネスやハイスペックを要求するゲームを楽しむには不向きだが、
Kindle本を読んだり「Hulu」や「Netflix」「Amazonプライムビデオ」といった
定額制の動画配信サービスに加入している方が
サブ用の視聴専用端末として買うには最適のモデルと言えそう。

Amazonプライム会員の1ヶ月の無料体験を申し込むなら、
定額動画配信の「プライムビデオ」が始まる今週から来週あたりが狙い目。
1ヶ月たっぷりビデオとパントリーを試してから決められる。