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▼2018年9月5週公開の新作映画
09月28日公開■映画：散り椿
何ともう来週は10月か。
9月最終週の新作映画で、現在大規模なプロモーションを展開しているのが
黒澤明、深作欣二、降旗康男など、映画界の巨匠の作品で
撮影監督を務めてきた木村大作の3作目の監督作品「散り椿」。
藩の不正を訴えたことで逆に藩を追われる結果になってしまった主人公が
病弱な妻の最期の願いを叶えるため再び剣をとる。
脚本は同じく黒澤組で監督経験もある小泉堯史。
「劔岳 点の記」「春を背負って」に続く初の時代劇となった本作で
主演を務めるのは、V6所属のひらぱー兄さんこと岡田准一。
共演は西島秀俊、黒木華、池松壮亮、麻生久美子、柳楽優弥、新井浩文、
緒形直人、駿河太郎、渡辺大、富司純子、奥田瑛二。
試写で鑑賞済み。
結論から書くと、やはり木村大作は邦画界最高の”撮影監督”であって
”映画監督”ではないのだと思う。
前2作でも感じていた喰い足り無さ（絵は綺麗なのだが他が…）が
3作目にして改善されるどころかより鮮明になってしまった。
この作品には、藤沢周平原作＋山田洋次監督が挑んだ
「たそがれ清兵衛」や「隠し剣 鬼の爪」のような
一切の虚飾を配した静謐で端正な佇まいの下で描かれる、
武士ならではの美学が全く描けていない。
木村監督がこれまで携わってきた黒澤作品の世界を
現代に復活させたいという狙いは理解出来るし意欲も買うが、
残念ながらこの映画は時代劇っぽいドラマでしかない。
映像はどこを切っても美しく圧巻の仕上がりなだけに
殊更に台詞の言葉遣いや時代考証といった部分の粗が際立ってしまう。
映画は1杯のラーメンと同じ。
スープも麺も具材も丼も、全てが吟味され絶妙なバランスが取れて名店になる。
絵だけが突出して綺麗でも、他が安普請では意味がないどころか
余計に安っぽさが増幅されてしまう。
スープだけべらぼうに美味いラーメンも
麺だけがべらぼうに美味いラーメンも駄目なのだ。
ん、こんなエピソードが「美味しんぼ」にあったような気がする。
妻の願いを叶えるために剣をとる武士の物語であれば
もう少しエピソードを整理して、
年寄りにも楽しめる勧善懲悪のストーリーにしてしまえば
シンプルに楽しめたのではないか。
「黒澤さんも血飛沫使ってたな、よしあの演出使おう」
岡田准一は隣に長身の役者さえいなければ
目鼻立ちもはっきりしたスクリーン映えするルックスなので
時代劇の衣装もカツラも似合ってはいるのだが、相変わらず滑舌が悪いのが難。
さらに岡田以下、敢えて名前を出してしまうと麻生久美子、池松壮亮、新井浩文が
現代劇の芝居をしているために「時代劇ごっこ」を見せられている印象が強い。
池松壮亮や新井浩文は役者としての評価も高いはずなのに
どうしてこんなことになってしまったのか。
特に池松壮亮が本当に酷い。こんな酷い池松は見たことがない。
上がいなくなってしまったから自分が監督業も引き受けるのではなく、
思いきって若い監督の作品で撮影監督をやってみれば良いと思う。
木村監督の撮影センスは後世に遺す必要があるし、それを望む映画人は多かろう。
映画「散り椿」は9月28日より公開。
09月28日公開■映画：クワイエット・プレイス
「一切音を出してはいけない」をテーマにしたサスペンスホラー。
わずかな音も出さぬように細心の注意を払いながら生活する一家の様子を描いている。
「●●したらバレる」「■■すると殺される」の切り口は
盲目の老人が暴れまくる話題作「ドント・ブリーズ」に似ているが最近の流行だろうか。
主演は実生活でもパートナーであるジョン・クラシンスキーとエミリー・ブラント。
監督もジョン・クラシンスキー。
エミリー・ブラントが今さらこんなのに出るとは、夫を立てたのだろうか。
とりあえず面白そうではある。
09月28日公開■ムビチケ（Eメール）：クワイエット・プレイス
09月29日公開■映画：太陽の塔
1970年の大阪万博に合わせ岡本太郎が制作した
「太陽の塔」誕生までの歴史を辿るドキュメンタリー。
著名なアーティストや文化人など総勢29名へのインタビュー敢行し
今なお人々を魅了し続ける建物の真実に迫る。
監督は資生堂のCMや安室奈美恵のMVなどを手掛け、
本作が初の長編ドキュメンタリー映画となる関根光才。
久しぶりの内部公開で、開始当初は入館予約が数ヶ月待ちになっていたが
今は比較的近々のスケジュールでも空きがありになっている。
そろそろ見にいくかな。
09月29日公開■映画：愛と法
大阪の下町で法律事務所を営むゲイ・カップルの弁護士活動を追ったドキュメンタリー。
LGBTを専門にしているわけではなく、無国籍者やろくでなし子の裁判など
社会的に少数派とされる人々に寄り添い、救済の手を差し伸べる二人の姿を
ロンドンで活動を続けてきた戸田ひかる監督が優しい眼差しで切り取る。
予告編を観て、リアル「きのう何たべた？」じゃないかと思ったら
案の定その推薦分が出てきた。
日本でも少しずつ法整備がされつつあるが、一部では新潮45のような問題も起こり
賛同・容認・否定の様々な意見が飛び交う中での公開は、映画としては良いタイミング。
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