映画「響 -HIBIKI-」素材のうま味で勝負する正統派アイドル映画 | 忍之閻魔帳

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▼映画「響 -HIBIKI-」素材のうま味で勝負する正統派アイドル映画

 

9月14日公開■Movie:響 -HIBIKI-

 

2017年度のマンガ大賞を受賞した柳本光晴の「響~小説家になる方法~」を

欅坂46でセンターを務める平手友梨奈主演で実写映画化。

エキセントリックな言動で常に周りと揉め事を起こしつつ、

文学界を揺るがす文才を持った現役女子高生・響の文壇ビューまでを描く。

共演は北川景子、柳楽優弥、アヤカ・ウィルソン、小栗旬。

脚本は「TIGER&BUNNY」「とと姉ちゃん」の西田征史。

監督は「君の膵臓をたべたい」「センセイ君主」の月川翔。

それで「キミスイ」の現代パートコンビである小栗&北川が揃ってキャスティングされたのか。

 

 

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原作は未読、欅坂46に関してもそれほど詳しくない立場であるとまずは表明して。

 

欅坂46で唯一顔と名前が一致するのが平手友梨奈で、

その程度の認識の私から見てもこの映画は

「平手友梨奈を最大限に上手く活かすための映画」として

企画・制作されたことが分かる。

 

内向的で厭世的、空気を読むような器用さは持ち合わせていないため

周囲との軋轢が絶えず、自分が認めた相手にしか警戒を解かない。

作り笑いなどもってのほか、大人に尻尾は振るような真似は自殺行為に等しく、

納得がいかなければ誰であろうが刃を突き立てる。

ただし、ふとした瞬間に年齢なりの無垢な少女の顔を見せることもある。

これは本作の主人公・鮎喰響のイメージを私なりに表したものだが

そのまま欅坂46・平手友梨奈のパブリックイメージと置き換えても差し支えあるまい。

素がそうなのか、そうしたキャラクターを演じているのかはさておき、

若干15歳にして芥川賞・直木賞をW受賞する孤高の天才・鮎喰響と

曲ごとにセンターの変わる他の大所帯アイドルグループとは一線を画す

欅坂46の不動のセンター・平手友梨奈の孤独や重圧はとても良く似ている。

この役があったから女優にチャレンジしたのか、

女優にチャレンジしようとしていた矢先にこの作品と巡り会ったのかはさておき

ふたりのシンクロ率は軽く90%は超えている。

 

 

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出版不況に喘ぐ文学界にとって、若き天才の誕生は手放しで歓迎すべきニュース。

しかし、芥川賞を目指し人生の大半を費やしてきた無冠の作家達や

若き日に生み出した傑作の残光だけで惰性的に今を生きている老作家にとって

この無愛想で礼儀を知らない少女の存在は面白くない。

文学と言えど商売である以上、作品の中身だけで判断してもらうのは難しく

出自やキャラクターにニュースバリューがあれば尚良しとされるのは仕方ない。

しかし鮎喰響は、そういった大人の事情をも作品の魅力で一点突破していくのである。

この爽快感はなかなかだ。

同じ部活で部長を務める祖父江凛夏(アヤカ・ウィルソン)や

羽田圭介を彷彿させる柳楽優弥など、響の周囲に配置されたキャラも良いスパイスになっている。

 

小栗旬演じる山本春平や、野間口徹が演じるマスコミ関係者の矢野浩明など、

もう少し掘り下げればいくらでも面白くなりそうなキャラが複数いるのだが

彼らは皆舞台の中央に出てくることなく、ひっそりと消えてゆく。

それは、この映画が正統派のアイドル映画だからだろう。

「欅坂46・平手友梨奈の初主演作」を破綻無くまとめ上げることが

第一目的だとすれば、本作は100点満点。

始終ぼそぼそ声で聞き取り辛い台詞も何のその、

パイプ椅子を持ち上げる姿も、電車の近づく線路で怯むことなく仁王立ちする姿も

全てが「ああ、それでこそ平手友梨奈だ」と思わせた時点で監督の勝ちである。

 

かつて宇多丸がまだ深夜枠放送だった「マツコの知らない世界」に出演した際に、

「アイドルとは、魅力が実力を凌駕した存在」と言ったことがあった。

あれは彼の人生で一番上手いフレーズだと今でも思っているのだが、

本作における平手はまさに魅力が実力を凌駕した旬のアイドルならではの輝きがある。

そこに価値を見出すならばこの映画が楽しめるし、

欅坂にも平手にも興味のない方がストーリーと芝居だけで評価すると

可も不可もなし、といったところに着地する可能性が高い。

しかし、私はこの映画はそれで良いと思う。

 

映画「響 -HIBIKI-」は9月14日より公開。


 

 

 



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