映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」ヒットの条件は役満、出来は凡庸 | 忍之閻魔帳

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▼映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」ヒットの条件は役満、出来は凡庸

 

08月31日公開■Movie:SUNNY 強い気持ち・強い愛

 

ヒットメーカーの川村元気プロデュース、

「モテキ」「バクマン」の大根仁監督による友情物語「SUNNY」が31日より公開。

2011年に日本でも公開され、一部で話題となった「サニー 永遠の仲間たち」のリメイク。

大枠はそのままに、キャストと舞台を日本に移し、

流れる音楽も90年代のJ-POPをふんだんに使用している。

音楽監督は小室哲哉、イメージソングは安室奈美恵の「SWEET 19 BLUES」。

大人組のキャストには篠原涼子、小池栄子、ともさかりえ、渡辺直美、板谷由夏、

学生組のキャストには広瀬すず、山本舞香、野田美桜、富田望生、田辺桃子、池田エライザ。

その他には三浦春馬、リリー・フランキーなど。

 

 

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オリジナルの「サニー」は、1970~80年代にヒットした洋楽を散りばめた韓国映画。
25年振りに再会した高校時代の同級生が癌に罹患し余命僅かと知り、
久しぶりに仲の良かったメンバーを揃えようと奮闘する。

アメリカやイギリスでは良く使われる定番の題材だが、
韓国映画と言えば重厚で美しい音楽という印象があるので、
ユーロやアメリカンポップスがふんだんに流れるのは何とも不思議。
とはいえ、笑いも涙も喧嘩も、喜怒哀楽をオーバーに表現する手法は
やっぱりいつもの韓国映画なので、全体的にもう少し演出を抑えめにして、
最後のエピソードに現実味を持たせれば名作にも成り得た気がする。
日本でリメイクすればかなり良い物が出来そうだ。

 

・・・と書いたのが2012年7月のこと。

それから5年後の2017年11月に日本でのリメイクが発表された。

 

SUNNY 強い気持ち・強い愛


日本版は主人公を篠原涼子、篠原の少女時代を広瀬すずが演じると発表。
真木よう子は篠原の親友役でサニーのリーダー。

その他の共演者は小池栄子、ともさかりえ、渡辺直美と
韓国版を意識したキャスティングになっていた。

ところが、クランクイン後になって事務所の独立など身辺の慌ただしかった

真木よう子が突然の降板を発表。

代役は「セシルのもくろみ」でも共演していた板谷由夏に決定した。


紆余曲折を経て完成したこの映画、そこそこ良く出来ている。

韓国映画の濃過ぎる演出が一部軽減されていたり、

日本では問題視されそうなエピソードの設定が変更されていたりと

日本人向けのアレンジが功を奏しているのだ。

実年齢がバラバラなはずの5人の並びも思ったより違和感がない。

真木よう子が板谷由夏になったのは結果オーライと言える。

 

大根監督のアプローチは、自身の出世作である「モテキ」の焼き直しといった感じで

フラッシュモブが取り入れられていたり、PV風のシーンが入っていたりと

「あの頃はこれでお洒落だったんだ」と言わんばかりの、

今となっては自虐的ですらある演出がチラホラあって楽しい。

ふたつの時代をザッピングしながら進行するストーリーが互いに作用し合って

ちゃんと感動的なエンディングへと着地するので

難しいことを考えなければさらっと楽しめる佳作ではある。

 

しかし、韓国版の「サニー 永遠の仲間たち」の背景を考えると

日本版はやや軽薄になり過ぎたかな、とも思う。

何より、映画における音楽の重要度が大幅に下がっている。

韓国版は、当時流行った洋楽がふんだんに使われているのがウリで、
だからこそタイトルが「SUNNY」(ボニーMのヒット曲名)になっていたのである。

他にもシンディ・ローパーの「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」や
リチャード・サンダーソンの「愛のファンタジー 」など
40代以降の涙腺を直撃する名曲が次々流れるのが楽しかった。

日本版は「強い気持ち・強い愛」のサブタイトルからも分かる通り

全曲J-POPへと変更されていて、かつ音楽担当の小室に忖度したのか

小室作曲の楽曲が多めに選ばれている。

しかもその小室の中でも安室・TRF推しが強めで、

globeや華原朋美に関しては完全にスルーと良くわからない。

確かに小室の全盛期ではあったが、これでは「時代の空気を再現した」とは言い難い。

マイラバもミスチルも、音楽業界がミリオンラッシュに湧いていた時代のはずが

この映画はその一部しか切り取られていないのだ。

レーベルやスポンサーの手前もあって偏った選曲しか出来ない環境だったのであれば

(エイベックスかソニーしかなかったように思う)

いっそ小室ソングだけにして、かつてのホイチョイ映画のようにすることも出来たろうに。

いずれにせよ、『「少し背伸びして洋楽を聴いていた青春時代」を懐かしむ

大人達の友情物語』という土台はこの日本版にはない。

流れる音楽はあくまでも当時流行っていたものであり、BGM以上の存在感はない。

80年代ではあるが、「イニシエーション・ラブ」の方が時代を反映していた。

チャラを使ったあるシーンのような演出をもっとふんだんに取り入れて

半ミュージカル映画のようにしてしまっても良かったのではないか。


広瀬すず演じる若者チームの魅力が大人チームを圧倒しているのも、

映画の出来という観点からすれば、あくまでも今(大人達)がメインでなければならない

この作品のバランスを崩してしまっている。

広瀬すずの身体を張った変顔、山本舞香のいかにも同性から慕われそうなツンとした魅力、

富田望生(「ソロモンの偽証」で死んだ女生徒役だった)の

「私はこのポジションでやっていく」覚悟の安定した芝居、

そして寡黙ながら実は誰よりも心優しい池田エライザの目を見張る美しさ。

全てが眩しくて、若者パートだけで泣けるほどだが、若者篇の輝きが強過ぎるせいで

大人篇に切り替わった途端にテンションが下がってしまうのである。

せっかく小池栄子や渡辺直美のような腹の据わった顔ぶれでキャスティングをしているのだから

もっと大人篇でも無茶して良かったような気がする。

 

引退を発表した小室に音楽を担当させ、引退間際の安室をCMソングに使っての

大々的なプロモーションはいかにも川村元気といった感じ。
おかげで韓国版より日本人には馴染み易くなったが

「とにかくヒット、一も二もなくヒットを」と、作品のメッセージよりも

いかにして売るかに重きが置かれたマーケティング重視の映画といった印象は拭えない。

面白いのは面白いのだが、色々と引っ掛かる映画である。

 

映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」は31日より公開。