二次コン増加計画。映画「僕は友達が少ない」 | 忍之閻魔帳

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▼二次コン増加計画。映画「僕は友達が少ない」

いやあ、酷い目に遭った。
twitterに寄せられた「黒執事と並ぶ今年冬の大作」に誘われて
十年に一度の大寒波が押し寄せる中、いそいそと劇場へ足を運んだところ
観客は私を含めて5人ほど。
右前方には面白くもなんともないシーンで本当に「ぐふふ」と発音しながら笑う男、
同列左端には映画開始5分でカップルサイズのポップコーンとジュースを完食し
その後も映画終了まで何かしら食べ続ける男という最悪な環境。
さらに内容が凍えそうとくれば、これはもう立派な我慢大会である。

平坂読の大ヒットライトノベル「僕は友達が少ない」の実写映画化。
友達を作るための部活「隣人部」を舞台に、
映画版オリジナルのストーリーで描く青春ドラマ。
主演は「貞子3D」の瀬戸康史と「爆心 長崎の空」の北乃きい。
監督は「シャッフル」「監禁探偵」の及川拓郎。



私は原作もアニメも一切ノータッチのため
どの程度忠実なのかは計りかねるが、そんな私でも断言できる。
これは酷い。
私が悪食だと思って本作を推薦して下さったのだと思うが
いくら何でもこれと「黒執事」を同一に語るには無理がある。
あちらはキャストにも撮影にも金がかかっているし、映画らしい見映えもまぁある。
こちらはどう見てもストーリー性のあるAVクラス。
比較すること自体が失礼だろう。
私の悪食は、言ってみれば「きたなトラン」的なもの。
「店構えは汚いが美味い店」を好むのであって
「店構えも汚く不味い店」には行かんぞ。
主演の響きに釣られたか、うっかり出演してしまった瀬戸康史が不憫でならない。

卒業 卒業R PCエンジン PC-FX 実写版 拷問

原作もアニメも知らない私がこの映画を観て真っ先に思い浮かんだのが
伝説の実写版ゲームソフト「卒業R」である。
コンシューマーではPCエンジンに移植にされた
育成SLGの元祖的存在「卒業」を実写化したもの。
アニメ絵で構築された世界観と各生徒(キャラクター)への思い入れを
木っ端微塵にする志村(右写真中央)の破壊力に、当時のゲームファンは戦慄した。
あの時私も学習したのである。
「何でも実写化すればいいってもんじゃない」と。
余談だが、当時NECの営業をしていた某氏から
「Rの出演者を某氏が端から全員喰った」などという話を聞いたこともある。
やはり現実は生々しい。

アニメ絵のエロは(アダルト狙い丸出しの作品は除いて)
所詮は造りものなのでどこかカラッとしていて臭くない。
しかしこの実写版「はがない」は臭い。臭くてたまらない。
エロティシズムなどという洒落たものではなく
健康的なお色気でもない、単純に下品で卑猥な表現の数々を
「80年代の青春映画の再現」だなどとは口が割けても言えない。
「パンツの穴」よりもっと前、「ハレンチ学園」の実写版ぐらいまで遡ったとしても、
「汚らしい」と感じるようなエロではなかった。
こんなに嬉しくも何ともないパンチラの嵐は未だかつて経験がない。

ルックスも演技力も恵比寿マスカッツに遠く及ばない神定まおが
「あ~ん、何か感じてきちゃった」と言いながら
階段の柱にぐりぐりと股間をこすりつけ身悶え始めた時には
途中退場しかけたが、わざわざ勧めて下さった方の厚意を考えてぐっと我慢。
しかし、その後も面白くなる気配はなく、私の集中力も次第に途切れ始め
「北乃きい、あき竹城に似て来たな」「栗原類、芝居上手くなってきたな」と
本編とは関係ないことにばかり気が向かうようになっていった。
本作の中で唯一サービスショットのない北乃きいが
俳優もたじろぐほどの肉食系であることを暴露され人気急落したのも皮肉な話だ。


発売中■DVD:「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」

やがてストーリーは「ヒロインの願望が造り出した夢の世界の話」へと進んでいく。
そう、中盤以降はまんま「うる星やつら ビューティフルドリーマー」である。
邪魔者から隔離された、誰かの願望を具現化した心地良い幻想世界。
食べ物だけは供給され続け、生きてゆくには何も困らないけれど
決定的に何かが欠けている歪な世界。
ヒロインの願望を叶えるためのキャラクター(うる星での夢邪鬼)はおらず
世界を壊す獏も出て来ないが、そこまでやったら完全なパクリになってしまうので
エンディングは少しだけアレンジされている。

【紹介記事】ただひたすらに、淡々とつまらない。映画「ひぐらしのなく頃に」

ここまで書いていて今思いついた。
本作が最も近いのは、当BLOGでも紹介した実写版「ひぐらしのなく頃に」だ。
過去ログを掘り返してみたら、何とその時も「卒業R」に触れていた。
原作→アニメ→実写の流れも同じなので、
6年振りの「ただひたすらに、淡々とつまらない」実写化なのだった。

生身の汚さを際立たせ「やっぱり生身はダメだ、アニメがいい」と思わせる
周到な二次コン量産&再教育映画としてなら、その目的は見事に達成している。
アニメ絵のパンツに萌えても、汗臭そうなブスのパンツは要らない。
劇場まで足を運んだ原作ファンの多くが
もれなくより強固な二次コンとして帰っていったのだと思うとなかなか罪深い。

映画「僕は友達が少ない」は現在公開中。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:僕は友達が少ない
    配給:(デビルマンでお馴染みの)東映
   公開日:2014年2月1日
    監督:及川拓郎
   出演者:瀬戸康史、北乃きい、他
 公式サイト:http://www.haganai-movie.jp
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