春の日に 後編 | プロテアの翼

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午後、妻の目をかいくぐって、庭に出た。

 

 

おおー、畑が整備されているではないか。

よーし水でもかけてやれ。

 

しばらく前に、すご腕の散水機を買った。(水が出るだけだが)

これで、きゅうりやトマトを育てたのだ。

 

で、散水機を、発展途上の豆に向けた。

 

 

ん? 出ない。

しからば、隣の豆に、

 

 

・・・・出ない。

もしかしたら、いや絶対に、散水機に嫌われているのである。

 

天を仰ぎ、その後、小さな庭を見降ろした。

 

ふふふふ・・・・

 

 

子供たちが使っていた小さなジョウロがあった。

散水機でいつものように、ぶぁーっとのはずだったのだが、

まあいいだろうよ。

 

やがて、ジョウロから、チョロチョロと水が流れ出た。

 

 

それにしても、ちっこいな(小さいな)。

と文句を言いつつ、何とか水をかけ終わった

 

散水機に嫌われたのか、豆に嫌われたのか、わからない。

水をかけ終わったあと、しばし、原因がなにか検討した。

 

俺はどうせ嫌われているんだ、どうせ俺は。

といじけてみた。

 

も待てよ。

まったく、嫌われる覚えがない

それなのに、水が出ないのは・・・

 

あっ。

 

ふっふっ・・・

原因を究明したのである。

 

実は、冬の間、凍結しないように、元栓を締めていたのだった。

 

さすがである。(なにが)

 

すー、すー、すー、すー・・・

 

得意げに口笛を鳴らそうとしたら、息が漏れただけだった。

 

左右を見回した。

 

誰もいないのを確認して、ふーっとため息をついた。

 

えへん、と咳払いをしつつ、

 

 

ぶあーっと、豆に水をかけた。

 

よしよし、いい調子だ。(水をかけただけだが)

 

さらに、隣の豆にも、

 

 

ぶあーっと、水をかけた。

 

よーし、これで完璧、と散水機を片づけようとしたら、

 

「なにしているの。雨が降っているのに」

 

声が聞こえるほうに、おそるおそる顔を向けた、

当然、眉をひそめている妻がいた。

 

「ちょ、ちょっとね」

 

「何が?」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

まあ、いいではないか、散水機を使ってみたかっただけさ、

と妻に聞こえないようにささやきつつ、そっと部屋に戻った。

 

以上、「春の日に」である。

 

別に文句はないよねえ。

 

 

それでは、また。

 

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