ブレーキの種類のお話 | 北海道限定の鉄道ブログ

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鉄道車両で最も大切なものの内の一つ。それがブレーキです。

 

ブレーキはとにかく「きちんとかかる」ことが最重要ですが、その一方で

「ブレーキをかける=エネルギーを熱にして逃がす」ことから

「なるべくエネルギーを捨てないかけ方をする」という考えも含めるようになりました。

 

ブレーキはかける方法からかけ方の方法まで、話せば本一冊は余裕ですが、

ここはまず「ブレーキの種類」について簡単にまとめていきます。

 

ここではまず大前提として

・基礎ブレーキ

・補助ブレーキ

の2種類に分けて紹介します。独自の分け方なので、ご注意ください。

 

・基礎ブレーキ

ここは、車で考えるとわかりやすいです。

車のブレーキは、ホイールのすぐ内側にあります。

大抵の車の前輪。車種によっては後輪にもあるこれ。これが「ディスクブレーキ」です。

右側の「キャリパー」についている「パッド」が

丸い部分(銀色のところじゃない)の「ディスク」に触れて制動します。

 

写真がありませんが、コンパクトカーなんかの後輪や、ハイグレードの車のサイドブレーキに使われているのが「ドラムブレーキ」丸い箱の中のシューが締まることで制動します。

 

さて、ではJR北海道の車両では?というと

 

こちら「踏面ブレーキ」というものが使われています。

原理はディスクと大差ないですが、鉄道車輪特有の「レールと接す面の車輪」に直接パッドを当ててブレーキをかける仕組みです。

 

これは、ブレーキをかけると同時に、車輪の凸凹を磨いて平らにする効果もある…らしいですが、実際は、よく専用の装置で車輪を削っているので、効果はよくわかりません…(汗

 

 

さて、このパッドですが、鉄チャンの間では有名な「苗穂工場製」のものらしいです。

他の地方の電車と比べて、ブレーキの音がゴリゴリうるさいのはそのせい…かも?

 

冬の凍結した線路で、130km/hで走行していても600m以内に止まる優れもの。

 

JR北海道の所属の全車両の基礎ブレーキがこの方式で、同様のパッドを使用しています。

 

・補助ブレーキ

こちらも車で考えるとわかりやすいです。「エンジンブレーキ」に当たる部分。

基礎ブレーキ単体だと、パッドのフェード現象が…というのは車の話ですが、

電車の場合は、「高速域」での制動力確保のためが原初。新幹線がわかりやすい例です。

 

まず、基礎ブレーキが「ない」車両を先に

711系やキハ40系・キハ54といった、設計最高速度が110km/hまでの車両には基本的にありません。なくても苗穂製のパッドだけで止まる というわけです。

同様の理由から、JR型でもキハ150やキハ143(これはJR型というか国鉄型というか…)も同様に補助ブレーキは無いようです。

 

・補助ブレーキ①発電ブレーキ

まずは発電ブレーキ。北海道地区で最初に120km/h運転したのは78…ではなく485系1500番台ですが

 

「モーターは発電機としても使えるから、発電して抵抗で消費すればいいんじゃね?」

 

という発想から来ています。シンプルですが、意外と効くみたいですね。

一方で、抵抗は電気を熱に変換する装置。要するにオーブントースターの電熱線が車両の上に乗っているわけで、ブレーキをかけまくればそれだけ上の抵抗はアッツアッツになります。

…大丈夫なんでしょうか(;´・ω・)

 

使用車両は、廃形式も含めて、485系(1500も乗り入れしていた3000番台も)・721系・781系と

改造前の785系が該当します。搭載車両は必ず屋根上に抵抗器

(写真の真ん中の白いものはクーラーで、その両端のもの)が搭載されているので、見分けやすいかもしれません。

 

781系は、1号車と3号車に抵抗器がありました。増結するときは中間に2両増結だったのですが、

電気的な構成は1-2・3-4号車(増結時は5-6号車)で構成されている複雑な形式です…。

 

785系は、2006年頃から行われたVVVFインバータ交換改造を受けるまでは、発電ブレーキ車がいました。ただ、2003年製のUシート車は当初から、後述する回生ブレーキを搭載していて、このあたりが非常にややこしいですね!(理解してない顔)

 

妙に誤解されやすいのが「VVVFインバータ車両=回生ブレーキ車」という発想。普及した時期や

その相性の良さから、確かにVVVF車は回生ブレーキを使いがちなのですが、例外もあります。

JR北海道では、「721系4000番台(元1000番台)と785系」が当たります。

回生ブレーキ化された785系はともかく、721系4000番台は、今でも発電ブレーキを使用しています。

小樽側先頭車にモーターを搭載しなくなったため、抵抗器が中間車モハ721に乗っているのが特徴。

 

搭載車種

・721系(0番台・3000番台[3両編成]・3000番台(6両・VVVF改造前まで)・4000番台)

・781系

・785系(VVVF交換まで)

・485系1500番台・3000番台

・キハ183系5000番台(?)

 

 

 

・補助ブレーキ②回生ブレーキ

発電ブレーキは素晴らしいブレーキでした!

しかし、発電ブレーキは折角発電したのに抵抗で熱にして逃がしてしまいます。

もし、この発電した電気をそのまま送り返せてたら電車は効率がさらに上がるのでは?

 

とかいう無茶苦茶な発想を可能にしたのがVVVF すなわちインバータです。

例えばJR北海道の電車線は交流50[Hz]・実効値25[kV]でsっていう…専門的な話は置いておいて…。

 

北海道は、区間内に消費してくれる電車がいるとは限らないので、基本的にはブレーキで生じた電気はそのまま送電線まで送り返す感じです。北海道にお住いの皆様は、電車が発電した電気も使われているってことですね!(/・ω・)/

 

…そこまで大げさなことはないにしても、効率がはるかにいいのは確かです。

 

JR北海道での初の導入はなんとびっくりED79から。

 

 回生ブレーキは、モーターで発生した回転数を電源の周波数に変換して送るという非常にややこしい処理をする必要がある以上、当時は高額かつ規模の大きくなってしまい、機関車にしか搭載できなかった…といったところでしょうか。

 なにせ、1985年頃と言えば、まだパーソナルコンピューターが普及もしていない時代ですからね…。

今であれば、インバータなんて○○電子とかで簡単に買える時代ですから、比較すれば納得できるのではないでしょうか…。

 

青函トンネルは、約50kmのうち半分、25kmは連続した下り坂を走るため、熱変換となる発電ブレーキや補助ブレーキなしでは危険であるとも言えます。

その点、回生ブレーキであれば熱暴走などは置きませんし、青函トンネルは交流50[Hz]電化なのでそのまま送電線に返すことも容易で、これを行えば補助ブレーキが喪失する回生失効も回避できます。

 

ちなみに、同区間を走った485系は発電ブレーキです。と言っても、編成すべての補助ブレーキを1両で行う機関車とは異なり、485系は8両編成なら3両に抵抗器が乗っていますから、そこまで大きな負荷とも言えないのでしょう。

 

さて、道央区間での回生ブレーキ第1号は意外にも有名な721系F1009編成です。

と言っても、今のF1009編成の装置があったわけではなく、この後登場する731系のVVVFインバータ・回生ブレーキを搭載していました。現在は733系準所のインバータを搭載しているはずです。

 

 その後、731系以降に登場した全電車が回生ブレーキを搭載しています。

もちろん、技術も進化していて、731系が登場したころは、5km/hか10km/hくらいで回生失効(この場合は、ブレーキによって生じる電圧をどう昇圧しても架線の電圧まで上げられず電気を送れなくなる症状)し、最終的に基礎ブレーキのみで停車していました。

 しかし、最新型733系では、0km/hまで回生失効しないほか、高速域での通常域のブレーキなら回生ブレーキのみで減速してしまう性能を持っています。

 

 731系では「キーーーーーーーー」とブレーキの鳴りうるさいのに733系が静かなのはこのあたりが理由です。

 

ちなみに、JR北海道の電車は、回生ブレーキだけで制動できる状況でも基礎ブレーキを当てています。というのも、低速域や回生失効時(パンタグラフ離線時など)に基礎ブレーキを使用しようとした際、雪が挟まって大惨事を招く危険性があるからです。

 

ですから、JR北海道の車両はどんな車両もだいたいブレーキをかけると「ゴー」とも「ガー」とも言えない音がB1段の時点で鳴るようになっています。許してあげてね!

 

搭載車種

・ED79型・ED76型550番台

・721系(F2107・F1009・F5001・5000番台)

・785系(VVVF交換後)

・789系

・735系・733系

・H5系

 

・補助ブレーキ③ダイナミックブレーキ

さて、ここまで電車の話をしてきましたが、一方で気動車はどうでしょう?

国鉄時代、北海道の車両は大体が最高速度95km/h。特急型もキハ80・キハ183共に100km/hでした。

国鉄末期に、キハ183系が110km/h運転を行うようにはなりましたが、逆に言えばそれくらい。

 

…と、あからさまにそれっぽい画像が出ていますが、起点は「特急北斗」の120km/h運転開始でした。

最高速度110km/hまでなら、当時あった「最高速度から600m以内の停止」もなんとかクリアできましたが、120km/hではさすがに難しかったようで、いよいよ補助ブレーキの必要性が出てきました。

 

 気動車…つまりエンジンで動く乗り物の補助ブレーキですから、当然エンジンブレーキだろうという発想は、そのまま正解ですが、なにせ上のキハ183系500番台なら550馬力もの出力があるわけですから、きちんとブリッピングしないと機械が壊れます。

 気動車の原理をそのうち説明しないといけないと気づきましたが、そこは割愛します…。というわけで、電子制御がある程度発達した頃でしたので、その制御でエンジンブレーキを併用できるようになりました。同時に、コンバーターも併用して制動力に使っています。これが「ダイナミックブレーキ」です。

 

 ただ、車と違い、エンジンブレーキを併用しても燃費の向上は望めなかったのか、はたまた使用時のショックが大きすぎたのか、あくまで非常ブレーキ動作時のみにとどまっているようです。

 

ただ、キハ183系5200番台「ノースレインボーエクスプレス」では、常用ブレーキでも動作するように

なっています。技術の進歩とかですかね…?

 

搭載車種

・キハ183系500番台/550→2550番台

 キハ183系7550番台は不明。おそらくある…のか?

・キハ183系5200番台

 

・補助ブレーキ④排気ブレーキ

ノースレインボーエクスプレスを製作した時点で、直結多段階化が始まっていましたが、

キハ281系ではよりその制御が確立。変則1段直結3段となりました。

 

さて、排気ブレーキということですが、基本的にはダイナミックブレーキと同じエンジンブレーキです。

ただ、乗用車のエンジンブレーキと異なり、排圧を高める仕様になっています。

車で言えば、マフラーの穴を小さくするイメージです。マフラーの穴を小さくすれば、それだけ空気が抜けづらく、エンジンを回すのに力が必要になります(エンジンは吸気→爆発→排気で空気を送って動かすものなので、排気を出づらくすれば、エンジンも回りづらくなるのです)。

そうして、エンジンの抵抗を強め、加速の時の性能をそのままに減速時の能力を強めたものが排気ブレーキ。キハ281系で採用され、常用(おそらくB3から)動作にも取り入れられています。

 

 排気管の操作を行う以外は、ダイナミックブレーキと一緒で、コンバータなど様々なものを電子制御させて制動します。

 

ちなみにこのブレーキ、ブリッピングを行う関係で、起動してからかかるまで2~3秒かかります。減速時に「ウィィィィ↑ン ガーーーーー↓」ってエンジン音が鳴れば、それが排気ブレーキです。

 

搭載車種

・キハ281系

・キハ283系

・キハ261系

・キハ201系

 

ブレーキ。いろいろ種類がありましたね。

明日から使えない無駄知識も出来たところで、今回はこの辺にしておきましょう。

 

 

ではまた次回です~><