キハ183系全形式解説② | 北海道限定の鉄道ブログ

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500番台
 キハ183系の先頭車としては一番ややこしい車両であるキハ183-500。全一般型先頭車の中で唯一発電エンジンを持たない車両です。
 
 前回、軽く説明したとおり、キハ183系は、編成の4両~5両に1両、発電エンジン(客室の電気等のための)を搭載した車両を連結しないと客室の電気がまかなえません。キハ183系の場合は、両端・・・すなわち先頭車に発電エンジンを搭載した車両を連結すれば、中間に発電エンジンを持った車両を連結しなくても8両まで組む事ができるためか、900・0番台で中間の発電エンジン搭載車、キハ184の製造は打ち切られてしまい、後期車では先頭車のみが発電エンジンを搭載しています
 
可能例
[(発電有)キハ183-103][(無)キハ182-2][(無)キハ182-1][無キハ183-504]
不可能例
[(発電有)キハ183-1550][(無)キハ182][(無)キロ182][(無)キハ182][(無)キハ182][(無)キハ182][(無)キハ183-500]
 
 さて、ではなぜこのキハ183-500は、発電エンジンを搭載しなかったのかというと・・・
 
 当時、基本編成7両、増結10両編成といったコンセプトのキハ183系を導入した北海道の特急列車ですが、短編成化と増発を繰り返し、キハ184型が使い道を失ってきていました。
 不足する先頭車をまかなうため、キハ184の4両が先頭車か改造化、キハ183-100に、試作車であるキハ184-901がグリーン車に改造されました。
 さて、残る7両のキハ184ですが、このままキハ183-100へ改造し続けてもいいのですが、この時、キハ183系の増備車が考案されており、このキハ184系を利用した車両を作る事で、キハ184を有効活用し、コストを削減することになったと思われます(仮にこのまま改造した場合、キハ184をキハ183-100にする改造費+キハ182-500の新造費だが、こちらの場合キハ183-500の新造費のみで済む)。それがこのキハ183-500です。
 
本来の先頭車は、
駆動エンジン低出力(小型)・発電エンジン搭載・トイレ無し
のキハ183-0と
駆動エンジン高出力発電エンジン無しトイレ有り
のキハ182を後ろに連ねる構成ですが、
 
今回の場合、2両目に
駆動エンジン低出力・発電エンジン搭載・トイレ無し
の車両を連結してしまうので、発電エンジンは不要です。
このため、エンジンは大型の高出力のものを使用することができます。
一方で、キハ184にトイレがないため、先頭車にはトイレをつけて上げた方がより良い編成になるわけです。
 
そこで作ったのがこの
駆動エンジン高出力トイレ有り」の構成のキハ183-500となります。
 
・・・すなわち、キハ183-500とキハ184をセットで、この時同時に作られたキハ183-1500や、キハ183-0と同じ役割をするというわけです。
 
 というわけで、駆動エンジンは大型のDML30HSJ(550馬力)を採用。もちろん全先頭車の中で一番出力が高いです。大型エンジンですからね・・・。
 また、運用開始当初は110km/hでしたが、120km/h対応準備工事車として作られ、1988年ごろに正式に120km/h対応車となっています。確かブレーキの改良によって120km/h化としたはず。
 
 当初は、特急おおぞらで専属運用、その後、釧路特急をメインに運用していました。一応、120km/h対応車ではあるのですが、相方であるキハ184が110km/h車であるため、運用のほとんどが110km/h運転・・・120km/h運用の列車は、1500・1550番台等が入ったため、120km/h運転することはほとんど無かったようです。
 特急おおぞら10号脱線事故により、502が新造8年で廃車となっています・・・。
 1997年、特急スーパーおおぞら登場時に、501・503~505がHET色化、特急おおぞらの専属運用となりました。
 また、506・507はとかち色となり、1997年より「スーパーとかち」から派生した2代目とかちの専属運用という扱いになりました・・・が、実際には特急おおぞら/特急とかちにて混ざって運用する事が多かったようです。
 ですが、1999年にキハ183-507は改造され6001となり、元々やっていなかった120km/h運転はおろか、キハ183系最高速の130km/h運転も行うようになりました。
 2000年からは、スーパーおおぞら・スーパーとかち増発に伴い、運用が激減・あまり始めたキハ183-1550に役目を奪われ、残った5台は特急サロベツの増結用車両としても使用されていましたが、こちらは実質的な中間車での使用で、完全なスーパーサブのポジションでした。
 
 特急おおぞらが廃止された2001年からはキハ183-501が特急とかち/まりもの先頭車に、503~506が特急サロベツやその他特急・臨時列車の中間/先頭車として使用されていましたが、2001年でキハ184の現存が3台まで減っており、次第に発電エンジンが無い事が裏目にでてきました・・・。
2007年ダイヤ改正の時点で、キハ184は全廃。キハ183-501も余剰廃車となり、キハ183-503~506は完全に特急サロベツ・とかちの中間増結車用となっていました。
 さらに2010年の特急とかち完全引退に伴い505・506は400番台化され予備車となってしまいました。
 
 未改造で残るキハ183-503・504は特急サロベツの増結車・・・すなわち中間車扱いで使用されています。運転台は、回送列車で使用される程度、かなり無用の長物となっています。
 
2019年時点で、キハ183-504は苗穂工場に留置。503も苗穂運転所あたりで疎開留置の状態らしく、廃車となっていたようです。
 
2020年になり全車が解体済みのようです。
 
 一方、キハ182-500は、同様に120km/h対応中間車として1986年登場。
 
エンジンスペックはキハ183-500・キハ182-500同一で
DML30HSJ(550PS)を搭載しています。
 
 配属当初の1986年は特急おおぞらの専属でしたが、特急「北斗」の120km/h運転開始時に、全車が函館運輸所へ転属、特急「北斗」専用車となっていました。1994年の「スーパー北斗」運転開始時には、14両すべてがHET色へ塗り替えられましたが、全車が函館運輸所所属ではなく、501~504は札幌運転所配置となっています。
 その後、1998年の「スーパー北斗」増発による「北斗」減便の関係で、キハ182-501~506・512~514が札幌運転所へ転属。502・512・513はとかち色になり、1998年4月から2代目特急「とかち」に使用されましたが、わずか8か月後1998年12月に特急「とかち」から運用離脱。501~503は特急サロベツ・利尻の専用車として内装を改造され、特に502はたったの1年でとかち色からHET色へ戻されました。また、514はお座敷車としてキハ182-6001に改造されています。
キハ182-501~503は2000年3月から特急サロベツ/利尻の運用に入り、2017年まで続きます。
キハ182-512は2000年3月から同じように特急サロベツ・利尻・とかちの共用増結車として使用され、オホーツクの増結で使用された実績もあります。
 
 残った504~506・513ですが、釧路に転属の上で2000年3月に運用を復帰し、しばらくは特急とかち・おおぞら→まりもの運用をこなしていました。2007年からは、札幌運転所に戻り、120km/h対応車でそろえた特急「とかち」として運転していましたが、全列車がスーパーとかち化された2009年に定期運用離脱、下記の400番台化改造を受け、派動用となってしまいました。
 
その後、しばらくは大きな変動はなかったのですが、2016年に函館運輸所に転属し、18年ぶりに「北斗」に充当されました。4号車と自由席車である5号車(7両編成は6号車)に入っていましたが、2017年にキハ183系500番台の「北斗」運用が廃止になり、再び苗穂に戻っています。
 
2017年3月時点ではサロベツ用である501~503と北斗用の507・512に後述の400番台が加わり、オホーツク・大雪用として、キハ182-0の一部置き換える形となりました。
一方の508~511は函館運輸所に残り、非常事態の際に特急北斗を代走するようになりました。
 
2018年3月に、すべての車両が苗穂運転所に配属され、オホーツク・大雪用になっています。
ちなみに、2018年7月1日に行われた「オホーツク」「大雪」の編成変更当日に、編成の向きを反転させるために回送列車が運転されていました。
キロ182を後ろから2両目につなげた8両編成は、もう二度と見ることが出来なさそうですね…。
 
501~503がシートピッチ拡大かつコンセント設置、507・512はR55の自由席仕様、508~511がグレードアップ指定席で、いずれの車両も混用となったため、その日次第で格差が激しい状態となってしまいました…仕方ないんでしょうけども…。
 
2019年現在では、キハ182-502?が留置され、一部車両に運用離脱が見られるようになりました。しかし、一番グレードの低い507と512はいずれも健在で、何やら複雑な状況
 
2020年9月の時点での運用確認車は以下の通り。
キハ182-502・507・508・509・511
解体済み/ほぼ廃車確定
キハ182-501・503・512
不明
キハ182-510
400番台/6000番台化されて欠番
キハ182-504・505・506・513・514
 
また、キハ182-512は、98年ごろの特急とかち用としてとかち色になった車両の生き残り。解体されるまでとかち色を維持することとなりました。
 
 また、キハ183系500番台は、先頭車両は500・1500各7台ずつ、普通中間車キハ182が14台製造と、7の倍数で統一されていましたが、
キロ182-500のみ「8台」が製造されています。
 従来のキロ182から大きく変化し、ハイデッカー構造となりました。移住性だけでなく、景色も楽しめるこちらの車両は、これだけで乗る価値が感じられます。
 
エンジンは同様のDML30HSJ(550PS)です。
配属当初はおおぞらをメインに、北斗・オホーツクにも入っていたようです。詳しくは知りりません←
 
 ただ、1990年に8台中7台(501~507)が函館運輸所に転属、特急北斗専用車となりました。
逆に、508は、札幌運転所で予備車(今のキロ182-9)のポジションになっていたようです。
 1994年、特急北斗130km/h運転化に伴い、501~503が、グリーン車の製造が無い550番台に変わって2550番台化されています。
 残る504~507の4台は、HET色に変更され引き続き120km/h特急北斗へ。その間の1996年頃、札幌運転所のキロ182-508は「とかち色の色を使ったのHET色の塗りわけ」に塗装されました。要するに、従来の「HET色で使われていたコバルトブルー」の部分に「とかち色の紫(ラベンダー)」を使用したHET色、というわけです。これは、誤差とかではなく明らかに確信犯で、ですが、結局当時としては、予備車のままだったようです(?
 
 その後、スーパー北斗増発に伴い、特急北斗が減便され、1998年に507が札幌へ転属。復活した2代目「とかち」のキロ182-0の置き換えを担当しました…たった8か月ですが()
 2000年3月からは、506も札幌に転属し、「特急とかち/おおぞら」の担当でした。2001年からは特急「とかち」の4往復すべてを担当するようになったのですが、506~508の3台に対し、運用が3つあったため、予備車が足りない状態でした。そこで、予備車だったはずのキロ182-9が定期で運用に入り、日によって0番台か500番台かわからない寄せ集め運用となっていました。
 2007年の特急とかち減便により、キロ182-9は運用からはずれ、キロ182-500の専属運用、すべて120km/h車での構成となり、唯一石勝線で120km/hを行うキハ183系となりました。
が、2010年、特急とかち廃止に伴い、506~508はなんとキロ182-9より先に廃車。解体となりました。
 
この時点で、未改造で残っているのは、「北斗6・19号(元4・15号等)」で使用する504・505のみです。2017年3月ダイヤ改正で運用を離脱し、その後も予備車として函館運輸所に残り続けていましたが、2018年3月ダイヤ改正で苗穂運転所に転属となりました。
 
2018年7月改正から、特急オホーツク・大雪の編成変更に伴い、7550番台の予備運用として、投入。キロハ182の置き換えとなりました。
現在では、7550番台のブレーキ圧統一工事に伴い、すべての番台と混用で使用されるようになっています。なんやかんやで最後の5台に残る状態です。
 
もうしばらくは、このハイデッカーグリーン車での旅が楽しめそうです。
 
・400番台
 先ほど、500番台で紹介した車両のうち、予備車用として改造された車両です。
 全て、2010年の「特急とかち」廃止時の中間車が対象で、キハ183が405・406 キハ182は404~406・413があります。一応、運転台のあるキハ183が2両ありますが、発電エンジンを持っていない関係で、中間車扱いとなっています。500番台のうち、予備車の車両というポジションで、改造当初は函館運輸所に配備され、それまで修学旅行臨時などで使用されていたキハ183系0番台を置き換える形となりました。
 
 見た目・内装共に、500番台と一切変わらないのですが、改造されていて、どうやらエンジンのパワーを押さえたようです。元番号から100小さくなった珍しい改番方法です。現在のエンジン出力・最高速度は不明です。(5ノッチを縛っているという噂もありますが…)
 改造当初は、修学旅行での臨時列車や突発の北斗系統の代走をメインに使用されていましたが、2012年ごろから運転していた臨時特急「ヌプリ」でも使用されていました。
 2013年の特急北斗14号炎上事故時には、出力適正化されたにもかかわらず、同型のエンジンを搭載していたため、この車両も使用停止措置を取られていました。
 他のキハ183系が再開した後も、しばらく放置されいたため、解体も噂されていましたが、2015年冬の臨時特急「大沼」で1両が復活。この年は5月・8月・9月に臨時特急北斗として、また6月ごろは修学旅行臨時列車としてかなりの本数の列車に運用されていました。
2016年初冬には、特急オホーツクの応援で苗穂に貸し出され、ひどいときには写真のような、予備車だけで構成された編成なんかも走っていましたが、いつからか函館運輸所に返却されています。
 新幹線開業の2016年3月からは、特急北斗に大幅な遅れがあったときなどの代走でまれに使用されています。500番台との混結も行われていましたが、こういった場合は最高速度何km/hなんでしょうね・・・?
 
 2017年3月に今度は正式に苗穂運転所に転属となり、オホーツク・大雪の中間車の予備車として、先述のキハ182-501~503・507・512と共に運用に入っています。
 
 2018年6月30日を持って400番台は全車離脱となったようで、その後は苗穂運転所に留置される日々が続いています。2020年夏から解体が始まっています。
 
・1500番台
先述したキハ183-500の発電エンジンを搭載したタイプ。また、次位にキハ182が連結される事を想定してか、トイレがキハ183-0同様設置されておらず、こちらが純正の500番台先頭車といってもいいでしょう。
 つまるところ、あくまで「500番台系列」の先頭車であるため、キハ182に関しては1500番台はありません。
 
エンジンは直噴化することで、燃費を改良したDMF13HS(250PS)を搭載。実はキハ183-0とエンジン出力は変わらないんです。直噴エンジンって煤溜まりやすいんですってね…(-_-;)
 
運用は、キハ182-500とおよそ同じです。1989年より全車が北斗用となり、1998年に1501・1502がとかち色になり特急とかち用へ。すぐの1998年末に改造をはじめ、しかし、2000年に1503・1504も札幌に転属した上で、特急利尻・サロベツ専用車として1501~1503は稚内側先頭車として自動販売機等を設置する改造を行い、残った1504は未改造のまま札幌側先頭車として使用されていました。
特急サロベツ・利尻用改造車(1501~1503)の特徴である窓を埋めた部分。
 
その後、2000年からは
1501~1503が特急サロベツ/利尻の稚内側先頭車・
1504が特急サロベツ/利尻の札幌側先頭車(このほか1555・1556があり)・
1505が特急北斗の札幌側先頭車(予備は4560~4562)・
1506・1507が特急北斗の函館側先頭車
※ただし1505~1507の向き基準はグレードアップ座席導入の2008年から
 
として使われていました。
 ですが、1504は2016年に、再び特急北斗の運用に戻り
1501~1503が特急サロベツ(稚内側先頭車・札幌側は218~220が担当)
1504~1507が特急北斗(1504・1505が札幌側先頭車・1506・1507が函館側先頭車)
となっています。
 
また、特急北斗ではスカートの色がグレーなのに対し、特急サロベツ用車両はスカートの色が青となっていた関係で、1504はスカートが青のまま特急北斗に入っています。
1504は、1989北斗(新特急色)→1994北斗(HET灰)→2000サロベツ(HET青)→2016北斗(HET青)と、運用形態が戻ったような戻ってないような面白い履歴となっています。
 
2017年3月ダイヤ改正で、グレードアップ指定席ではない1504・1505が苗穂運転所に転属し、1501~1503と共に、札幌側先頭車として使用されるようになりました。 2018年3月からは、残る1506・1507も苗穂運転所に転属し、全車がオホーツク・大雪の先頭車として使用されています。
 
一応、グレードアップ指定席の1506・1507が遠軽側先頭車、その他が札幌側先頭車として使用されているようですが、向きが代わることも多々あるので、このあたり一概には言えないようですね…。
 
また、稚内特急改造を受けた1501~1503は座席定員の関係で、コンセントがあるにもかかわらず自由席のみの運用に…。さらに言えば、この定員が違う関係で基本的にはオホーツク・大雪には入らず、最近運転されているキハ183系臨時列車(ふらのびえい・ニセコ・北斗)での運用がメインとなっています。