時には映画の話をしようか-れすら
(映画館にて鑑賞)





私だ。
飼い犬に、部屋にゴキブリを追い込まれてパニックになったこともある私だ。

さて、今日は「レスラー」だ。
映画館に観に行ったら、お客さんがみんな本当にレスラーのような方々ばかりで、密かに私が隅で震えるハメになった「レスラー」だ。
「帰るまでが遠足」的なノリで、「映画館に入ってからが『レスラー』」なので、気をつけていただきたい。
「レスラー」はあなたの身近に潜んでいる。
ほら、そこにも。
あなたの後ろにも!
なんだこの流れは。

と、ふざけっぱなしのスタートであったが、この「レスラー」、だいぶいい映画である。
全編通しての寂寥感が尋常ではないので、好き嫌いは大きく分かれてしまうことと思うが、この映画がなにかしらの形で心に響いてしまうのは間違いないだろう。
間違いないのだろうか。
わからない。
私はたまに、たいした確信もないのに断言することがあるのでそこも気をつけていただきたい。

この映画はレスリングの世界を生きる男の話ではない。
現実と、レスリングの世界を生きる男の話だ。
あ、これはすごくいい説明した。
「してやったり」みたいな顔しておこう。
つまりそういうことなので、アメリカンドリーム的スポーツ映画を想像していくと、肩透かしを食らうことになる。
迫力の試合シーン(エグいくらいだ)はもちろんあるが、、ジャンルはあくまで「人間ドラマ」であると心得て観に行ったほうがいいだろう。

老い、落ちぶれた元スター選手が主役という設定でもわかる通り、とにかく寂寥感がすさまじい。
あんなにデカいマッチョが主役なのに、儚さを感じるとはどういうことか。
人の夢と書いて儚い、というフレーズはまさにその通りであった。
主人公の不器用さや優しさがまたその儚さ、切なさにに拍車をかける。
主人公が肉体的、精神的に少しずつ、コップに一滴一滴水が溜まるようにして追い込まれていく姿はまた更に悲しく、劇場内のマッチョたちも肩を震わせていたに違いない。
見てないけど。

まったくもって女性や若人にはオススメできない映画だが、痛いほど胸に響くドラマを見たい人や、かつてプロレスに夢を見た人たちなどは、一度観てみるといいだろう。
痛い現実と、優しい虚構の世界。
ぼろぼろに傷ついた男が最後に飛び込むのはどちらの世界か。
それは、きみの目で確かめてくれ!
あ、昔のゲームの攻略本っぽい。

時には映画の話をしようか-t4
(映画館にて鑑賞)




私だ。
TSUTAYAで中古作品をレンタルする際にクーポン券を差し出したら「100円キャンペーン中ですので」とやんわり断られた私だ。

さて、今回は「ターミネーター4」だ。
全世界が「も、もうやめといたら!?」とハラハラしながら見守り続けてきたこのシリーズも、これで4作目だ。
監督はかの有名なマックG氏(代表作『チャーリーズ・エンジェル』)に決まり、この衝撃の事実が発表された際にシリーズファンたちのハラハラ感は成層圏にも到達するほど上昇したと言われている。

だがフタを開けてみるとどうだろう。
作品世界の雰囲気は決して悪くない。
荒廃した世界。
薄汚れ疲弊した人々。
そして、うごめき、ぶつかり合う金属。
こういったものが違和感なく、重厚な色調で表現されている。
この辺の空気作りに関しては、ナイスマック!(『ナイスガッツだよ! マックG!』の略)と言わざるを得ない。

アクションシーンも悪くはない。
目新しいことをやっているわけではないが、迫力はあり、退屈するようなことはない。
今までのシリーズのボディブローのように重いアクションに比べ、軽くハイスピードに展開していくものが多いので、旧作ファンは気に入らないところもあるかもしれないが、「これはこれ」と割り切れていれば、楽しむことができるだろう。
完全にSFアクションになってしまっているのでここは好みでだいぶ別れるだろうが、私はナイスマクション!(『ナイスだよ! マックG! あ、アクションがね!』の略)と言っておきたい。

と、こんなふうに書いていくとすごくいい映画だったように思えてくるかもしれないが、これが、残念ながら、そうでもなかったりする。
それなりの映画であることに違いはないのだが、手放しで賞賛できるようなものでもない。
やはり一番の問題は、シナリオだろう。
これがなんだかだいぶ安っぽい。
重大なネタバレを避けるために具体的には述べないが、なんと言うか、「え? そこ精神論でいっちゃっていいの?」みたいな場面があったり。
「それはそんな簡単にできんだろ!」なところがあったり。
整合性もなんだか怪しげだ。
ジョン・コナーがなんで今更、人皮かぶったタイプのターミネーター見て驚くのか、とか。
なつかしのあいつが出てきたときに、なんで特にリアクションないのか、とか。
シリーズの「3」がなかったことにされている、という噂は聞いていたが、もしかしたら「4」の世界では、「2」もなかったことになっているのかもしれない。
どうなんだ、G。
Gめ!
そういうのは言っておいてよG!

ということで、まあそれなりに面白いけどなんだかいろいろ惜しいの、というこの「ターミネーター4」であるが、興行成績的にえらくスベっており、続編は今のところ絶望的である。
当初はこの「4」からの3部作構想をぶち上げていたが、たぶんもうそれもなかったことになっているだろう。
決して悪い作品ではなかっただけに、続きが観れないのはなんだか惜しい気もするが、まあそれもしょうがないか、というような気もする。
だって、「チャーリーズ・エンジェル」だもんな。
2回も太字使っちゃったもんな。
エンジェルファンの方、申し訳ない。

時には映画の話をしようか-とらんすほーまー
(映画館にて鑑賞)




私だ。

今回は「うしおととら」のすばらしさについて長編小説ほど語りつくそうかとも思ったが、そういえばここでは映画の話をするつもりだったのをふと思い出した。
思い出はいつも苦味をともない、私に蛮行を踏みとどまらせる。
ぎりぎりのところで立ち止まることができた自分に、今夜は乾杯だ。
あ、自分、カルピスサワーで。

ということで「トランスフォーマー/リベンジ」だ。
トランスフォーマーシリーズ2作目の作品である。
私の知人女性はこの作品のことをなぜか「アメリカンファーマシー」などと呼んでいたが、できれば正しく覚えていただきたいものだ。
「トランスフォーマー」である。
最悪「トランスホーマー」くらいのところでとどまってもらいたい。

さて、この「トランスフォーマー/リベンジ」だが、これが、非常に面白い映画だった。
前作もなかなかに面白い映画だったが、今作は「面白い映画の続編」というハードルをきっちり超えてきている。
監督は知る人ぞ知るマイケル・ベイで、映画好きの人間ならこの名前を聞いただけで映画の内容に察しがつくことだろう。
もう、「その通りでございまふ」としか言いようがない。
その通りでございまふ。
マイケル・ベイ作品の基本は「走る→爆発→走る→爆発」で8割が構成されているが、もちろんこの映画もそうだ。
まったく単純な流れではあるが、極めて高水準なエンターテイメント性でそれが表現されているので、娯楽を求めて観に来た人間なら決して退屈はしないだろう。
通な人間も、「ベイのやろう、この映画である種の到達点に来やがったな…」と劇場でつばを飲み込むはずだ。
いや知らんけど。

この映画のいいところは、作り手の愛情がしっかりと伝わってくるところだ。
技術と才能を持った大勢の人間たちの「180億円くらいかけてガチャガチャした映画作ろうぜ!」という意気込みが、この私の乾いた心にもビンビン伝わってきた。
近年、CG技術が発展し、一部映画のアトラクション化が進んできたが、これこそその最たるものだろう。
映画館のチケット代だけでこんなものが見れるなんて、いい時代になったものだ。
おじさんの若いころはなにもトランスフォームなんかしなかった。
シャツもちゃんとズボンに入れろと叱られた。
いやすまない、それはどう考えても無関係だ。

と、べた褒めしてはきたが、もちろん悪い点がないわけではない。
トランスフォーマーどもの造形がだいぶゴチャゴチャしているので、取っ組み合いなんかが始まるともうなにしてんのか全然わかんねえ(それでも前作よりは観易い)、といった点。
ギャグパートがくどい、とか、アドベンチャーパートが薄っぺらいくせに長い、といった点。
決して精緻な流れを持つ映画ではないので、粗を探せば、まあいくらでも出てくるだろう。
が、この映画を劇場で観ようと思った人間の多くはこの作品に細やかさなど求めていないと思うので、そのようなことはさほど気にならないだろう。
逆に言うと、映画に繊細さを求めるような人などは観に行くべきではない。
以前、知人がこの映画の前作を観て「ストーリーが…」などとこぼしていたが、そもそもマイケル・ベイの映画にストーリーを求めるほうがどうかしている。
常軌を逸している、と言っても過言ではないだろう。
この映画は、パップコーンでもかじりながらド派手なCGに感心し、下ネタに笑い、話の内容などすっかり忘れつつも「なんか楽しかったじゃない」とご機嫌で帰ればいい、そんな映画なのだ。

全力で映画館向きの映画なので、少しでも興味がある人は、終わる前に映画館で観たほうがいいだろう。
1800円を出す価値は確実にある。
おそらく製作されるであろう次回作も楽しみだ。