時には映画の話をしようか-とらぽ
(映画館にて鑑賞)




私だ。
生まれてから今の今まで、ずっと私だ。

「トランスポーター3 アンリミテッド」を観てきた。
「男の魅力は頭髪の量では決まらない」を証明し続ける男、ジェイソン・ステイサムが今作でも主役を務めている。
上映前になぜかシリーズの「1」と「2」の内容を振り返る、解説つきダイジェストのようなものが流れたが、このシリーズにそんなのはいらねえ、と思ったのは私だけだろうか。

「大好きです」などと公言すると映画通たちに鼻で笑われてしまいそうなこのでたらめアクションシリーズも、早3作目だ。
何を隠そう、実は私は前2作までが、その、えっと、あの、だっ……だいすき、です!
やだっ、いっちゃった!
ということだったので、この「3」もわりと楽しみにしながら映画館に向かった次第だ。

が。

あんまり面白くなかった。
前2作と比べ、パワーダウンしている感が否めない。
今作もでたらめアクション映画であることに違いはないのだが、前2作にあった「ウヒョー! ありえねー!(笑)」と心の中で叫ばずにいられなくなるほどのでたらめさはあまり感じられなかった。
これは単純に、映画全体のアクションシーンが減少していることが原因と思われる。

で、アクションが削られてなにが増えたかといえば、これが「ロマンス」だ。
製作者たちに問いたい。
なぜそこに目を向けてしまった、と。
いや、別に目を向けたことは構わないのだが(前2作でもあるし)、なぜそこに重点を置いたか、と。
もともとストーリーを楽しむような映画でもない。
脚本だけで言えばB級もいいところだ。
そこに半端なロマンスをぶち込まれたところで、なにが生まれよう。

ロマンスと言えば「男と女」だが、今作のヒロインには魅力がない。
パンダ目メイク(リュック・ベッソン製作の映画で多い)のさほどかわいらしくもないお嬢さんがそれはもう浅はかなふるまいを見せつけ、私たち鑑賞者の心を悪い意味で揺さぶりまくってくれる。
前2作を観て主人公フランクのクールなタフガイっぷりを知っている者としては、「この調子こいた小娘をキャイン言わせてくださいよフランクさん!」という気持ちで構えているわけだが、どういうわけか、クールなタフガイのフランクさんは気付けばこの小娘とイチャつきまくりんぐであって、なんじゃそりゃあ。
フランクさん、なんじゃそりゃあ。

実は前作「トランスポーター2」で、監督が「フランクさんは実はゲイという隠し設定がある」みたいなことを言い出して、全世界のファンたちから「その設定必要か?」と不評を買った経緯があるので、今作はあえて「あれはなかったことにしてください」色を前面に出すため、こういうストーリー構成にしたのかもしれない。
だが、私が観たかったのはそんな繕いではなく、1時間半ひたすら暴れ続けるフランクさんの姿だ。
言い訳はいいから暴れてよ!
これがシリーズファンに共通した欲求ではないか。
もし次回作があるのなら、ロマンスではなく、そのあたりを強化していただきたいものだ。
無駄なほどに。
良識を持った人らが顔をしかめるくらいでちょうどいいと思う。

時には映画の話をしようか-さまー
(映画館にて鑑賞)



私だ。
あの日あの時あの場所で。
私だ。

「サマーウォーズ」を観てきた。
観たい回のチケットが完売で次の回までおよそ3時間ほど待たされることとなったが、それでも観てきた。
人生の貴重な3時間がごりごりと磨り減っていく音を確かに聞いた。
だが、己のプライドのためにもそこで引き下がるわけにはいかなかった。
ちょっと遠出して観に行っていたので帰るのもめんどうくさかった。
私のサマーウォーズはすでにそこから始まっていたのだ。
完。

え、完なの?
いや、完じゃねーよ。
ビックリしたわ。
感想感想。

だいぶおもしろかった。
アニメならではの魅力が満載作品である。
略して満作。
別に略した意味とかはない。
映像は綺麗だし登場人物たちも魅力的だし話も気楽に愉快に見れるしで、エンターテイメント作品としてはかなり高水準にある映画のように思われた。
どの世代でも楽しめそうだ。

なお、この映画のストーリーおよび世界観に整合性を求めてはいけない。
ネット世界の概念的なものを無理やり具現化して実存のものとして扱うのだから、無理も出てくる。
そこはどうなってるんだよ、などと考え出したらきりがない。
それキーボード操作でどうやってんの!?とか。
製作している側もあんまり気にしていないと思う。
楽しく鑑賞したかったら、作品の勢いに身を任せてしまえばいい。
話が小気味よく展開していくので「よっしゃ積極的に騙されてやろうぜ!フヒヒ!」という気持ちにもなってくる。
ツッコミ体質の方も、観ている間だけはその黄金の右手を収めておくべきだ。

なんというか、非常に健全で毒のない気持ちがいい映画だ。
私のように歪み腐敗した心の持ち主であっても楽しめたので、健全な方々ならなおさら楽しめるに違いない。
映画に重厚さや緻密さを求める人には向いていないと思うが、まあそもそもそんな人は最初から観にこないだろう。
事前情報(あらすじ、CM)などから予測される「良さ」もきちんと押さえている作品だと思うので、気になっている人は今すぐ劇場へ行けばいい。
そしてチケットが売り切れてて3時間くらい待てばいい。
あなたのサマーウォーズはそこから始まるのだ。

時には映画の話をしようか-すいーと
(映画館にて鑑賞)




私だ。
小5のころからトランクス派の私だ。
しめつけられるなんてごめんだった。
自由をがむしゃらに追っていた、あのころは。

特に新作映画なども観ていないので、ここらでひとつ私のトラウマ映画の話でもしようか。
タイトルは「スウィートホーム」。
1989年の映画だ。
何気にキャスティングの豪華さがすごい。
画像の字体からもわかると思うが、ホラーである。
どホラーである。
なにがスウィートか、と。
お化け屋敷に「メリーゴーランド」と張り紙を出しておくようなものだ。
まあ別にタイトルで騙されるような人もいないかと思うが、そういう映画だ。

この映画は、はっきりいってだいぶ怖い。
だいぶグロい。
今なら確実に子供は劇場に入れてもらえないグロっぷりだ。
だがこの映画の公開当時は無駄におおらかな時代だったようで、年齢制限などは一切なかった。
もしもタイムマシンがあったなら、私は過去に戻り、この映画の看板の右下にR-18と密かに書き込むだろう。

当時幼稚園生であった私は、この映画のCMを観てなぜだか無性に観てみたいと思い、父に「私を映画館に連れていきたまえ」との旨、ねだった。
明らかに幼稚園生には適していない、ホラー色満載の映画であるが、当時の父も無駄におおらかだったようで、それを快諾した。
私も父もすでにそのころから正気ではなかった。

勇んで向かった、人生初めての映画館。
期待に胸を膨らます6歳の私。
映画が始まってからのその心境を表現するのならこうだ。

「あーばばばばば」

人が上半身だけになって這いずり回ったり。
斧で頭カチ割られたり。
溶けたり。
焼けたり。
その映画は、うぶな私の心に深い傷を残した。
その傷はいつまでもふさがりきることはなく、私の人格形成に重大な影響を残した。
気がつけば私は、人が血まみれて死んでいくホラー映画などを好んでレンタルし、柿ピーつまみながら観るような男に成り下がった。
血の匂いをかぎつけては喜び、飛びつくような男になってしまった。
DV男を愛してしまう女子のように、悪いほうへ悪いほうへと向かった。
いったいどういう心理であろう。
あの日の恐怖を求めているのか。
恐怖がないと生を実感できない体になってしまったのだろうか。
なんという罪深い映画だろう。
ひとりの男の人生が大きく変わってしまった。
人は私を指してこう呼ぶ。
「ドM」と・・・。



以下、ニコニコ動画で発見した「スウィートホーム」の怖いシーン集。
だいぶグロいので要注意。
「子供のころ観てトラウマになった」みたいなコメントが多くて少し嬉しくなった。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2185468