古新聞を整理していて、ふと目に止まった記事。
今は亡き、名文筆家を偲ぶ、という主旨の内容でした。私の通っていた学部の教授だったとのことで、改めて写真を見ると、きれいな白髪と知性溢れる表情、確かに見覚えが。
須賀敦子さん。イタリア文学研究者、日伊翻訳家で、60歳で文壇デビューし賞を受賞するなど評価されるも、97年に死去されたとのこと。
私が卒業してすぐにお亡くなりになっていたのか。
うちの学部には、第2外国語にイタリア語はなく、イタリア関係の授業は彼女の文学のクラスのみで、少し異色の存在だった気がします。
上品な高年の女性、という印象しかなく、そんなに評価の高い文筆家であるとはつゆぞしりませんでした。
早速図書館で須賀先生の全集第一巻を借りて来ました。
1960年代の十年余りに及ぶイタリアでの生活の日々がエッセイとして書かれています。
まず関心したのは、イタリアから日本に帰国して20年ほど時が経っているにも関わらず、人々、街の様子などが非常に細部まで描かれているということ。
自分も10年ちょい前に海外に少しだけ滞在していましたが、こんなに鮮明に当時の暮らしを思い返すことがもはやできません。
それに、とても美しい日本語。穏やかで、嫌みな主張がなく、品格の高さが滲みでる文体…最近なかなかお見かけしないような気がします。
近年は適当なネタと出版社とのコネさえあれば、誰でもお手軽に本が出せるらしいのですが、どれだけ時を経ても読みごたえのある、味のある本が書ける人、というのはやはり限られてきますね。
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