「そこに山が有るから」
って言うのは、登山家マロリーの有名な言葉 だけど、いや本当はマロリーなんて知らないのに知ったかぶって言ってみただけなんだけど、その言葉くらいは聞いた事があって、何で山登るの?
山登りを始めて、なるほどって思った。
言い表しがたい複雑な思いを、「山が有るから」の一言で表現できる。
幸い、僕が住む岐阜県、その近郊には山だらけだ。
毎日山を眺めながら暮らしている。
山登りをする知り合いは、登り始めが嫌だと言う。引き返したくなるって。
しんどくて、麓付近だとまだ眺めも良くないからつまらないし、それはみんな同じかもしれない。
だけど、僕は嬉しくて仕方が無いんだ。
あぁ、山に登れるんだ!って。
まるでリードを解き放たれた犬の様に。
序盤のうっそうとした登山道も、息が切れる急坂も、それはそれで楽しいんだ。
僕はちょっとおかしいのかもしれない。
週末にジョギングを始めた時に思った。
世の中には、走る事が出来る人と出来ない人が居ると。
それは物理的に走る事を意味するのではなく、強制的に走らざるを得ない状況になくとも自らの意思でランニングする事が出来るかどうかっていう意味で。
走る事に全く興味が無い人には、自分から進んで走る心情を理解出来ないみたいだ。
また、僕もどうしてそこまでして走らなければいけないのか、上手く説明できない。
山登りも同じだと思った。
山登りをした事が無い頃は、1時間も2時間も急な山道を歩く事なんか出来ないって思ってた。
片道4時間も歩くなんて、登山家じゃないと出来ないって思ってた。
でも、僕も歩けた。
嬉しい。
嬉しい。
ただひたすらに山を歩くだけで嬉しい。
歩ける事が嬉しい。
山だけじゃなく、徒歩の移動や階段も苦にならなくなった。
ジョギングや山登りが出来るなら、日常生活での移動など造作も無い。
理由なんかどうでも良いんだ。
バイクだって登山だって、危ない行為なんだからやらずに済むならやらなくても良いし、やりたくない事をやる必要も無い。
そういう事やらなくてもちゃんと生きていけるし、もっと楽しい事、面白い事、素晴しい事は世の中に沢山あると思うし。
ただ、重い荷物を背負って急な坂道を息を切らせながら歩いていると、あぁ僕もここをこうやって歩く事が出来るんだ。って生きている事を実感する。