こんにちは！
シンガー＆
ボイストレーナーの
ひらのともこです。
最近ですね、
レッスンも新規の生徒さんが続々来てくださっていますし、
【歌コラム】も連載し始めているので、
ここで一旦、私の過去のお話。
そしてその経験から出来た、この私の発声メソッドについてお話しておこうと思います♡
私は歌を歌って生きてきたのですが、
実は、
喉を完全に壊した事もありますし、
裏声を失った事もあります。
それはそれは、とっても辛く、苦しかったです。
当時の私の声は嗄声。
常に息が漏れた、ガラガラ声。
耳鼻咽喉科に行って声帯を調べてもらうも、何も異常がない。
（ファイバースコープで診てもらうと声帯は健康そのものでした。）
でも、息漏れがして嗄声が続くという、
一般のボイストレーナーが気づけない、
耳鼻咽喉科の医師ですら気づけない、
摩訶不思議な事で数年悩んでいました。
通常、嗄声というのは、
下記のこういう事で起こっている事が多いです。
そして一般的にそう思われています。
▽画像を参照してくださいね☻
声帯は２枚のヒダで出来ています。
ベルヌーイの定理に基づき、
息という風を送り込むことによって、この２枚のヒダが触れ合って音が作られています。
（音色を作っているのはまた別の所ね。それはまた別に記事で書きますね☻）
この２枚のヒダとヒダの間に、声帯結節（いわゆるタコですね）や、声帯ポリープが出来ていると、
声帯がピッタリ閉鎖しないですよね？そこから息が漏れる訳です。
それが嗄声、いわゆるガラガラ声になります。
△画像はお借りしました。ありがとうございます。
だけど私の声帯にはポリープも、
そして声帯結節ですら、無い。
プルップルのとっても健康な、しかも、ピンク色で血色の良い理想的な声帯でした。
（私の声帯の写真を持ってますけれど生々しいのであえて出しません（笑）見たい方は言ってください（笑））
だけど、息が漏れ常に嗄声。ガラガラ声。
嗄声・・・。
しっかり発声を勉強してこられた方や、ボイストレーナーの方ならば、
すぐに理解してもらえると思いますが、音が取りにくいですよ。
支えグラグラですよ。
息が常に漏れているという事は、
息が効率よく響きに還元できないという事です。
息の無駄遣いです。
深く呼吸ができていないのと何ら変わらないレベル。
そうなってくると力まないと歌えないです。
１曲や２曲なら良いです。
だけど、それ以上となると、もう、力む以外の選択肢がありません。
歌いたいのに、歌えば歌うほど、負担をかけながらしか声が鳴らない。
悪循環。
当時、商業ミュージカルのオーディションを受けまくっていた私ですが、
「ファルセットが綺麗に鳴らない・・
この声では到底ミュージカルのアンサンブルには混ざれない、
これでは勝負できない・・・」
と、
現実を知れば知るほど絶望的な気持ちでいました。
RENTなどロックミュージカル以外のミュージカルは（特に日本でやっている物は）
クラシックを基礎においた発声が出来ないと、使い物にならないと私は今も思っています。
だけど、私は私の夢を諦めきれず、
藁をも掴む思いで調べ、学び、
とある場所、
今でも言葉にならない感謝を感じている恩師、場所に出会います。
それが、これ。
まさに救世主でした。
そして今に至ります。
そう。
私の楽器（甲状軟骨）は、私の身長や骨格には不釣り合い。
「その小さな体で、よくそんなボリュームのある声が出るね！」
とありがたい事に言われる事が、昔から多いのですが、
それは、ここ。
私の楽器は大きい。
鳴れば最高に豊かな音を鳴らしてくれます。
でも首が細い。
これを解剖学の先生は「四畳半のグランドピアノ」とおっしゃってくれていたけれど、
ゴールデンレトリバーがチワワの小屋で身動きとれず所狭しと住んでるようなそんな感覚か？、と思う（笑）
場所の割に体がデカイから、ちょっと動けば、あちこちに当たるという（笑）
そして、筋肉の硬さも調べてもらったのですが、
すぐ硬くなっちゃうという筋筋筋人間な私（笑）
いや全身そうでしょ（笑）
これにはいやに納得できました・・
だからストレッチに人一倍時間がかかるんだ、と（笑）
ダンスでも、人より１時間早く準備始めてきましたもの・・いつも（笑）
それにより、負担がかかりやすく、
扱いにくいのです。
でも、これは病気でも何でもなく、単なる個性の範疇なのです。
▽下記参照してくださいね☻
声の使いすぎや、使い方を間違ってしまうと、
下記の茎状突起から始まる「茎突咽頭筋」や「茎突舌骨筋」も
疲れて硬直したり、縮こまったりします。
これが縮こまると、声帯が入っている箱「甲状軟骨」が後ろに引っ張られます。
この中に声帯が入っており、その動きを司る「披裂軟骨」があります。
△画像はお借りしました。ありがとうございます。
私の場合は、少しでも楽器を後ろに引っ張られると、
楽器が大きいのに首が細いから、
披裂軟骨が後ろの頚椎に当たり、それにより声帯が常に開いた状態になってしまう。
これが私の嗄声の原因でした。
ちょっと難しいですかね（笑）
普通なら休めばすぐに元に戻ったんでしょうけど、
私は自分の楽器の扱い方を知らないまま、無理に長く歌い続けてきた為に
筋肉や靭帯がもう硬直してるのが普通になってしまい、
これを治すのに相当な時間がかかっています。
発声もあまり良くなかったのだと思います。
でもまぁ、奈良から東京に３年は月一で通い、
本来の私の声を取り戻した訳です。
一時期、全く出なくなってしまっていたクラシック声で、
その後、結婚式の聖歌隊のオーディションにも受かり、
仕事としてチャペルでソロをも取れるようにまでなりました。
お陰様で今や
嗄声の種類をも聞き分けられるようになってきたように思います。
発声を一回全部捨てました。
バンド活動も一切辞め、
音楽活動も辞めました。
お酒も一滴も飲まない。
聴く曲も徹底してクラシック一本。
歌う曲もクラシック。
ひたすら自分の声と向き合う、
という生活が始まりました。
ここにも更に数年。
いろんなボイストレーナーの先生について、試し、
いろんなメソッドを習ってみて
手にとってみて、
その中から自分の体感として合った物だけを自分の物にしてきました。
声を失った経験があるからこそ、
とても慎重に選んできたし、とても慎重に進んできました。
そして感覚だけでなく、
理屈としても理解出来るようにまっすぐ向き合ってきました。
自分が自分の足で自分の為に勉強してきた事、
自分が体感してきた事、
自分が経験してきた事から
自分の感覚を信じて得たものが、今の私のメソッド。
迷った時は、全力でその時に信頼できる先生に頼り、
べったりしっかりレッスンしてもらってきました。
それは、
歌声の先生もそう。
さっき書いた、声の解剖学の先生もそうです。
そこにお金も時間も相当使ってきました。
体は十人十色。
ボイストレーニングに正解っていう概念がそもそもありません☻
、と私は思っています。
統計的にどうかってだけの話でしょ？
生徒さん一人一人の声を聴き、
その音や、
体の状態、
（大体、音だけ聴けば体の状態が分かる事が多いです。）
を見聴きし、
その方の性格や、癖を見抜き、
できるだけその方が最短で進める様に
その方に合った進め方を判断し、レッスンを行っています。
そして私は、レッスンで生徒さんに、
「やってみてどう感じたのか？」
うまく行った時に、
「じゃあさっきと何が違ったのか？」
「どんな意識を加えたら変わったのか？」
を尋ねています。
そして、その声で答えてもらっています♡
何故？ってすごく大切。本当に大切です。
まぐれでたまに良い声が出る！！では喉がいくつあっても足りない。
まぐれをなくし、それを体感として少しづつ確信にしてもらう。
体感こそ命ですよ！！
自分を信じて自分で選んでいく勇気も持ってくださいね！
とまぁ、
私はこうして私の経験から、
安全に、
気持ちよく
効率よく歌う方法を見つけました☻
正解はひとつではないと思っていますので、
今もなお、探求し続けています。
それは私自身がもっと上手くなりたいと思っているからです。
全て自分の為。
でも、
その自分の為が、
少しずつ生徒さんの笑顔にもつながっていっている。
それが実感できる日々で、
嬉しくて、幸せで、たまりません。
私は、この仕事が本当に好きです♡
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