飛びだす絵本子どものころ、飛びだす絵本がだいすきだったでも、姉のおさがりでいっぱい本はあるなれど、飛びだす絵本は1冊もなかった憧憬れがあった読みたいとおもった…いま、甥はいろいろな絵本をもらっているくだものを貼りつける絵本、音が鳴る絵本、ぴらぴらと、なかみのなかみをめくる絵本…いまの子どもって、めぐまれているんだな。でも、どうしても手にはいらない憧憬れの逸るきもちも、同時にわからないんだろうな。どちらがいいのかは、本人のかんがえかたしだい
祈れる魔術師1月4日。朝の9時過ぎ。まだあるはずだ、とスーパーの帰りにちかくの神社に寄る。たおれた母は、自分でおみくじをひかなかった。まいとしおみくじを、少女のように胸ふくらませてひいていた母。でも今年は、ひけない。代わりに母は、姉におみくじをひいてもらうようたのんだ。姉がひいたおみくじは…吉。母がひいていたときは、ふしぎなくらい、おかしなくらい、いつも、大吉だったのに。そんなはずはない。そんなはずはない。母が自分でひかなかったからだ。だからわたしは(この手はわたしの手ではありません。母の手です)母の手です…だから、どうか大吉を。もっかい、ずるだけどおみくじをひいた。結果は…中吉。やはりだめか…ざんねんだったけれど、かくしたくなくて、そのおみくじを母にわたした。「もうひいてもらったのよ」「知ってるよ。でも、吉だったんでしょう。こんどは、中吉ですこしはましだから」…母は、なかみを読んで、「ほんとだ、書いてあることは変わらないけれど、すこしやわらかくなってる」じわじわと、うれしそうに微笑んだ。
I LOVE YOU女性の恩師に。去年は送れていたアドレスなのに、メールが返ってくるあせる。メッセを送っても、返ってくる住所は変わっていない。クリスマスカードは届いたながらくペンを走らせていなくて、ペンだこがきえた指で、痛みながらも、ペンを走らせてくだんだん、どんどん、字が雑になる。それでも、書いてく書いてすぐ、あしたが待ちきれなくて、夜遅く、コンビニに行って切手を買って、貼ってポストに投函したああ。このせっぱつまったかんじ。なんだかなつかしい曲を念いだす… 「帰る夜道に自転車走らせて 熱い吐息に想いをよぎらせた」 「“すきだすきだすきだ”スキダと書いた手紙」 「読んだあとにほほえみながら きみがくれたことばは」「I LOVE YOU」…
ウェンディのはつ恋ウェンディはネヴァーランドに行く。ピーターパンに魅せられて。ピーターパンにふりまわされて、ときに弟に言うように怒ったり叱ったり。日々はたのしく過ぎていく。けれど、なつかしい家にもどってきたら、ピーターパンはなかなか、またむかえにはきてくれなかった。日々は過ぎていく。過ぎていく…「ウェンディ!」。開け放たれた窓。ようやくきてくれたピーターパン。ウェンディはいそいで服を着がえる。あのころの服がきつい。でも知られてはならない。ネヴァーランドは、子どもだけの国。おとなになりかけているなんて、言えない。また家にもどってきたら、また、ピーターパンは、むかえにきてくれなかった…「ウェンディ!」開け放たれた窓。ようやくきてくれたピーターパンは、ウェンディを起こす。けれど…それは、おおきくなったウェンディが生んだ子ども。ピーターパンは、その子を連れていった。ウェンディをおきざりにして。
70数億の花束「世界にひとつだけの花 ひとりひとりちがう種をもつ」「その花を咲かせることだけに いっしょうけんめいになればいい」…でもね。わたしはね。この曲が発表されるまえから、おもっていたの。70数億も、これからふえるだろうそれいじょうも、花の種類なんて ない。神さまだって、そんなにそんなにたくさんの花を つくれないだろうわたしはおもうひとは、世界にひとつだけの花「たば」父親の遺伝子がひとつの花。母親の遺伝子がまたひとつの、花。父親のそのまた両親、母親のそのまた両親、そのまた両親、両親、という名まえの先祖…くみあわせたら、それは世界にひとつだけの そのひとだけの 花たば。また これからの1年、あらたな花たばたちが生まれることだろうそれらの花たばよ、うつくしく咲き誇れいのちのかぎりに、うつくしく 咲き誇れ
12月の真夏日近所のバス停のまえに、魚屋さんがあるちょっととおくのスーパーに行くために、信号をわたってバス停まえに飛びこんだら「いらっしゃーい!」「いらっしゃーい!」年末かきいれどきのみのアルバイトだろうか、魚屋のまえで若いひとたちがいきおいよくあいさつしてくれた。さわやかできもちがいい。彼らをすりぬけ、バスを待っていたら、ふと、奥から店主だろうか、年配のおじさんが入口にやってきて、彼らに話しかけた「きょうは暑いな!」ぎょっとするバス停にならんでいるひとたちは、コートやマフラー、てぶくろ、いわずもがなだでもおじさんは長ズボンだけど、そでは二の腕までまくっているおじさんはほんとうに暑いんだろう、それだけがんばっているんだろう、いっしょうけんめいなんだろう、だから暑いんだろう、がんばってるって、とても暑い。…熱い。
神さまとともにわたしはたぶん、ひとりで生きていく心配だけど でも心配しなくても いいかもしれない神さまは わたしがひとりででも生きられるように 勁くしてくれる神さまは わたしをみている神さまは わたしがひとりでも わたしに孤独を かんじさせないきっとこんな 火の点くような孤独さえも よろこびにかえてくれる
恋より大切なもの少女のころは恋にあこがれて、恋いじょうにたいせつなものなんてあるのか おもいもしなかったけれど恋よりたいせつなものはある。ひとによってちがうとおもうけれど、それは 仕事だったり ともだちだったりそれともわが子だったり…わたしにとってたいせつなもの…それはキヲク。あなたにとって、たいせつなものは なんですか?
掬うラヴァーあなたと撮った写真あなたはもう、捨ててしまったかしらでもわたしはもっているわたしは捨てはしないわたしは捨てはしないあなたがとりこぼしていくすべてのものをわたしは拾いあつめるわたしは拾いあつめ拾い継いでこれからずっと生きていく