。+°:*.氷花.*:°+。 -HiKa- -24ページ目

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あなたにどうか、
とどいてほしい、
わたしのこころ。


「さよならするために 出逢ってゆくのなら」
「どうしてだれもみな あんなに愛しあうの」…


とても せつなくて とても きれいなメロディ
風にそよぐ 草のような 声と
まるでシンフォニーのような アレンジが とてもうつくしい


それはわたしのおまじない
こどものころからの、おまじない…


テストの時間、もう答えが書けなかったり 時間があまったり すると

わたしこどもごころのおまじないで、テストのうらに ちいさく
この歌詩を書いてた…


それはおおきくなってからも かわらなくて
気がついたときに、テストのうらに ちいさく ほんとにちいさく この歌詞を書き込んでた

どんなせんせいも この文字を みぬけなかった

こどもは、おとなになるとおもいつかないこと おもいつく
こんなこと いまのわたしには おもいつかない

でも またいつか
なにか おまじないしたくなったら

またこのフレーズ、書こうとおもう

テストのうらじゃなくても はてしなくひろい 青空にでも

喪うことを、とめられないこと それはいくつもある
時間だってそうだ
わたし、どうしてもとめられないもの みつけてしまった

ながれる風景

渋谷の五島プラネタリウムがすきだった

家からいちばんちかいからなんども行ったし、「プラネタリウム」という存在は、子どものときにつくった なつかしい、想い出のある場所

だけど…

しっていた プラネタリウムなくなること しっていた 最後のショーも観に行った

けれど

ひさしぶりに渋谷を通ったら、建物まるごと消滅していることに、衝撃をうけた

建物がすっぽり、渋谷という空間からすがたをけした


おなじ渋谷なのに
まるでちがう場所にみえる


そのときに、自分がどうさけんでもとめられないものをしった

プラネタリウムがなくなるときにも、おもった「どうして、なくなってしまうの。なくならないで」
せつないおもいで、最後の一瞬間 その扉を あけた

けれど
建物そのものじたい なくなってしまうなんて しらなかった…

とめられないもの

風景
時代
ひとのこころ

いつ はやってたのか わたしはしらない
気づいたときは父が カセットテープを買って エンドレスにダビングしてた

百万本のバラの花を… あなたに あなたに あなたに あげる」…
「窓からみえる広場を まっかな ばらでうめつくして」…

ねむるときに かならず父は聴いた
わたしはおさなごころに 胸が いたかった

自分の心臓ともおもえるような 家も キャンパスも 売った画家
けれど とどかなかったおもい

「どこかのお金もちがふざけたのだとおもった」

存在をしられることなく…
自分の「おもい」を なにひとつ しられることなく…
自分が「生きてる」ってことを しられることなく

エンドレスでくりかえされる 詩
エンドレスでくりかえされる おなじ おなじ 結末


ねむれなくて…
画家のことをおもうと かなしくて ねむれなくて


そして
おとなになって いまになって しらべてみた 具体的に どんな歌詩だったのか

「まずしい絵描きは 孤独な日々をおくった」
「けれど ばらの想い出は こころに消えなかった」…


こころに消えない…


なんて つよいの
どうして 孤独なのに こころに のこしておけるの
とてもさみしいのだけど
画家が うつくしくみえた

わたしはけっこう ひとのプレゼントをかんがえるのがすき

ねこずきなひとには ねこがヴァイオリンを弾いている風鈴
つかれているひとには こころやすまる チェロのCD


でも いつもこまるのは すこし歳のはなれた 姉へのプレゼント

なんでもすきなものは 自分で買ってしまうし
わたしよりずっとおしゃれだから わたしがあげたものなんて かすんでしまう

だからいつも 自分の誕生日がすぎると プランを練りはじめる アンテナをするどくする

「わっ、かわいいじゃない そのかばん」と言われると チェック
「このねこフィギュア ほしい…」もチェック
「きみのつけてるビーズのストラップ、かわいいね」…
チェック チェック チェック!

そこでこんどは母に相談される
「あの子になにをあげたらいいかしら…」
母のほうがよっぽどもの選びがにがてだとしっていたわたしは
「じゃあ このピアスさがしてきて」
自分の持っているピアスを 出してきた
ちょうどおなじものをいっしょに買ったのだけど 姉はなくしてしまったのだ
「お店のひとに言って、おなじものがあるかどうか確認してきて」

わたしはわたしで なんども買いなおしをして おなじフィギュアをさがしだす
かばんを買って ストラップをつくり

母が「お店からピアスあったって連絡あったよ」
よし!


いつも いつも 苦労するけれど
姉からはいつも こう言われる
「どんな魔法つかったの?」

わたしはいつも 答える
「それはひみつ!」

わたしはひとに うらぎられたことがある
なにも告げずに 「さよなら」のひとこともなしに はなれていかれた

理由もわからず…

どうしようか どうしたらいいか わからなくて だけど なみだがあふれて
なにをしてても なにをおもっていても どろどろした 暗やみのなかをあるいているみたいだった
こころのまんなか 抉られたような


いまおもいだしても つらい …つらい
暑い真夏 けれど こころはびゅうびゅう ふぶいていた 夏


家族はそんなわたしをみて 「この世の終わりみたいな顔してる」と言った
そう わたしのなかで 確実に なにかが 終わりの鐘を鳴らしたのだ


よわくも つよくも ないけれど みっともない人間になるのはいやで
すがることもできず ただ ただ
「いままでありがとう」と
いい女を演じて わかれた

けれどこころのなかでは ずっとさけんでた
おしかくしたまま けれど こころの声はあふれてた


  もっとはっきり 言ってくれたなら よかったのに
  もっとはっきり 自分のきもち ことばにしてくれたなら
  あんなに あんなに 痛みをひきずらずにいられただろう


だからわたしは はっきり言うことにしてる
はっきり ことばにすることにしてる すきもきらいも
ずるいのだいきらい

もしも あなたのみぢかにだれか そんなひとがいたら こころにかけてほしい
そしてそのひとへ… なにかが たとえ…たとえ、終わったとしても
この世は終わらない
あなたの 過去も 事実も かわらない

太陽は のぼるそばから しずむけど
しずんだって また のぼるから
かならずと 神さまは約してくれているから

数年まえから さきっぽのとんがった靴がはやっている
わたしはそれを 「ピエロの靴」と 呼んでいる とても にているから

今日も 満員電車のなかでみた
大学にはいりたてなのだろうか 顔をすこししかめながら 自分で書きつづったルーズリーフを 読みふけり ふけり


それから仕事場についた 
わからないこといっぱい こまってしまって いつもは訊かないひとに 質問した

そのひとは わたしのとなりの座席にすわり 足をくんだ
そのとたん 目に飛びこむ

まっかな まっかな パンプス…
まっかな 深紅の ピエロ…


  がんばってるな女のひと
  がんばってるな 自分をかがやかせること ちからいっぱい

  きっと はいててここちいいものでも ないのだろうに
 

スキンケア ネイルケア みがきにみがきを かけて

  女のひとの底ぢからをかんじる
  心底の「おんな」をかんじる


それをみて こころが つよくなる


今日もがんばってるよ女の子!
自分をさらにみがいているよ とても すてきに

あすも自分を かがやかせてね
わたしに勇気を あたえてね 

朝 電車に乗ったら 急に ぐあいがわるくなって
途中下車した

仕事場にやすむことを電話して 降りたこともない駅で 改札で ひとり ぼーっとした

まだまだ お店が開かない時間
急にあまってしまった時間を わたしは どうしたらいいんだろう

どうしたらいいのかわからなくて ひとのじゃまにならないところで うずくまった

顔をうつむけるとひとびとの「音」が 耳にきこえてくる

こつこつこつ…
かつかつかつ…
たったったった はしる音…

みんなだれもしゃべっていない けれど みんな がんばっているのがわかる
自分自身の人生をがんばっているのがわかる


ようすがおちついて ホームにもどった

となりのホームから 電車が到着する
いっきに なだれこむひとびと また うごきだす靴音 音 音 アナウンス

わたしもふだんは あのなかにはいっているんだ…
いっしょうけんめい 人生をまわしているひとのなかに まぎれてるんだ

みんながわたしをとおりすぎて行く
なんだか自分が透明人間になったみたいで よるべなかったけど そうおもって すこし
安心した 

ものごころ つくか つかないかのころ
ついていたテレビで よく このがながれていた

あまり 耳にものこらず ききながしていたけれど…

自分が10代になったとき この曲のすばらしさに 気がついた

けしてうまいわけじゃない むしろ とてもぶきような ぶきような
けれど 歌詩が
少年たちに とてもあっている

もちろん 彼らが作詩したわけじゃ ないけれど…

少年たちは 気づかずに歌っていたかもしれない どれだけ自分たちが がらすだったか 気づかずに
でも

いつも 聴くたびに こころに ひびく


「泣かないで 泣かないで ぼくだってつよかないよ…」
「迷い子にならないように みつめているから…」


聴いて 聴いて なんど聴いて そして また聴く

ひとは どんなにねがっても ひとを たすけられないことがある
そんなとき できること

みつめていること


「あなたのいのちを みつめている」
「あなたの生きざまを みつめている」

迷ったときには 手をつないであげるから…


これは、どれだけみつめられているがわが どれだけすくわれることか
ただ みつめられているだけで いい
それだけで
それだけで…

ほかには なにも いらないんじゃないだろうか


「わたしのこころに あなたがいる」
それは 泣きそうに つまずいているときの
泣きそうに うれしい みちしるべだと おもう

近所に 姉妹で住んでいる おばあさんたちがいる
いつもにこにこ わらっている

草むしりが趣味で ごみの選別にも気をくばっていて
たまに朝 かちあうと 「いってらっしゃいませ」と うつくしい日本語をつかう

わたしも 歳をとったら こんなひとになりたいな…
彼女たちをみていると いつも こうおもう

はきはきしてて 姿勢もただしくて ふるきよき 日本人
歳をとることに あまえない だいじにしてくれとは おもっていない
いつもさんぽして からだきたえて 自分の人生を生きている

このあいだ ちょうど草むしりをしているところに かちあったから
いつものように あいさつをした
おばあさんは 草むしりがなぜすきなのか かたってくれた

ふと 彼女のはく髪に 目がとまった
しらがじゃない はく髪とも ちょっとちがう
銀髪… これが ぴったりなことば

「きれいな髪ですね」
本心から言っていた
「いいえ。むかしは染めてたんですけどね めんどうになってしまって…」
すこしはずかしそうに かえされた

「そめるよりよほど きれいです」ほほみながら 力説した


髪がしろくなるのは それだけいっしょうけんめい 自分の人生を生きてきた 証しだろう
髪ぜんたいがしろくなるまで いっしょうけんめい

そんなにそんなに きれいな銀髪なら もう
染めるひつようなんて ない

わたしも 自分の人生をもっと いっしょうけんめい 生きてみたい
髪が きれいな銀髪になるまで 自分を 生きてみたい

さくらは散って しまったけど
こんどは 純白のつつじが咲いたよう


あれは もう ずいぶんまえのこと…


可憐に 可憐に 花びらのいのち せいいっぱいに
咲いた 純白のつつじが 目にまぶしくうつった

かなしみがこころにうずまいて 自分のこころしか視えなくて あるのは 自分のこころだけだった

なのに

つつじが せいいっぱい 咲いているのをみたら
どうしようもない 胸が いたくなった

つやめいて あでやかに つやめいて 花やかに

わたし こんなにかなしかったけど 外は 「きれい」で みちみちあふれている
自然は 「きれい」を おしむことなく ひとにささやいている…

夜の水滴を すこし散らした みずみずしいつつじに
こころ洗われた

あの季節から

つつじをみると
「ありがとう」と こころからことばが こぼれる
花ざかりをおしまない 花々に
いたいほど 感謝をささげる