
男は戦争で、しかばねを踏みながらいのちを懸ける
だからって女が苦労しないわけではない
ご近所で評判の「かわいこちゃん」と呼ばれる、とても愛らしい女の子がいた
かの女はいちど音を聴けば譜を書き、そらでメロディが弾けた
社交家で、20歳のときには外交官と結婚した。しあわせだった
そして、戦争
夫は戦地へかりだされた
かの女は待った
来たのは死亡通知。…
遺されたかの女は、再婚をする
夫を待っていてもしかたない。しかたないのだから…
そこに帰ってきたまえの夫
ぎょうてんするかの女
かの女は未練があった
もとのさやにもどりたかった
けれど夫は再婚した妻をゆるせなかった
また、いまの夫とのあいだにもしこりがのこった
かの女は離婚した。…どちらとも、離婚した
かの女は独りぼっちになった








