★★★★★
とても面白く、そして興味深く、読ませていただいた。 本の構成も良く、無駄なく、読み易く、と素晴らしい本だった。
リクルート疑獄の頃は、ちょうど高校の卒業前後の頃。 政財界の裏事情もわからないまま、江副さんて悪そうな顔してるなぁ〜などと思いながら横目で見ていたことを覚えている。 あれから30年が経った今、ようやく事件の中身を知り、そして江副浩正という人物を垣間見た。
GoogleやAmazon以前に、ITの可能性に気づいて、未来を見て動こうとしていた人物が日本にいたことに驚きと喜びを感じるが、そういう異端の才能を抑えつけ、潰してしまう日本の硬直性。
事件がなくても、結局はバブル崩壊の影響で行き詰まったかもしれないが、江副さん達の見ていた未来に向かって動けていたら、日本の有り様は今と少し違っていたかもしれない。
そう思わせてくれた。
・江副さんは…「経営者とはなにか」がよく分からなかった。… ピータードラッカーの本から懸命に学び… それゆえ、リクルートは「ファクトとロジック」「財務諸表と経営戦略」の会社になりました。
・江副は多面的な人間で、一つの行為で二つ、三つの目的を達成することに喜びを見出すタイプだ。
・江副の情報誌は、インターネットのない時代の「紙のグーグル」だったのである。つまり、情報がほしいユーザーと、情報を届けたい企業を「広告モデル」によってダイレクトに結びつけたのだ。
・リクルートの社訓
「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」
これは易経にある「窮すれば変じ、変ずれば通じ、通じれば久し」を江副流にアレンジしたものだ。
・江副は…「こうしろ」とは言わない。
「君はどうしたいの」と問いかけるのだ。
… 「じゃあそれは君がやって」
・高い電話料金を払わされている国民のために、巨大な電電公社に戦いを挑む。それが稲盛の動機だった。
江副はそのはるか先を見ていた。… 通信コストの劇的な低下は、新しい産業の勃興を誘発する。… 日本中に張り巡らされた電話線は、いずれコンピューターにつながる。
・「江副さんのやろうとしていたのは情報利権の破壊でした。」
・江副が言った「自分の仕事は自分で作れ」の精神は、リクルート用語にすると「圧倒的な当事者意識」または「社員皆経営者主義」となる。
・本当に買いたい物の広告は、おカネを払ってでも手に入れたい「情報」になる。グーグルが登場する38年前に、江副は「マッチング(需要と供給を出会わせる機能)」の可能性に気づいていた。
心理学を学んだ江副はトップのカリスマ性や社員の忠誠心に頼る日本的経営の限界にも気づいていた。