20年かけて高次脳機能障害を克服した話——記憶と自分を取り戻すまで


障害を乗り越えるということ

高次脳機能障害の後遺症があると、精神的に病んでしまう人が多い。
新しいことが覚えられない、物事がスムーズに進まない、周囲からの理解も得られない——
そんな状況が続くと、自信を失い、心も折れてしまう。

でも、シンプルに考えれば、「回復すれば二次障害はなくなる」 のだ。
発信をして、いろいろなことができる人を見ると、すでにかなり回復している人が多い と感じる。

では、長年に渡って後遺症を抱え、それでも回復した人はいるのだろうか?
そんな人に会って、話を聞いてみたかった。

オンラインサロンでの出会い

そんなとき、あるオンラインサロンで、20年かけて高次脳機能障害を克服した女性 に出会った。

僕は高次脳機能障害をオープンにして発信していたので、彼女のほうから声をかけてくれた。
目立つことで、必要な出会いが引き寄せられたのかもしれない。

彼女の話は、僕にとって希望そのものだった。
「もしかしたら、僕も治るかもしれない」と思えた。

講演会での直感的な出会い

その後、オンラインサロンのメンバーが集う講演会があり、
彼女を含め、数名と会う約束をした。

でも、会場での待ち合わせにはひとつ問題があった。
顔を知らない。

会場のどこかにいるはずだけど、どうやって探せばいいのか?
そんなとき、僕の直感が働いた。

何度も目が合う、気になる人がいた。
意識的には「違うかな」と思うのに、無意識のセンサーが引っかかる。

結果的に、その人こそが探していた彼女だった。
無意識レベルでの直感が、鋭くなっているのかもしれない。

克服のヒント

彼女は、回復のために大切なことをたくさん教えてくれた。

1. 環境を変えること

彼女はこう言った。
「一番大きかったのは、ストレスフリーの環境に変えたこと。」

仕事や人間関係のストレスがあると、
脳が常に負荷を受け、回復する余裕がなくなる。

環境を変えることで、脳に余白が生まれ、少しずつ回復が進んだ。

2. 体を動かすこと

「集中力を高めるために、体を動かすことはすごく効果があった。」

実際に、運動が脳の回復を助ける という研究も多い。
脳は、新しい情報を取り入れる際に、適度な運動をすることで活性化 する。

彼女は、軽い運動を続けることで、集中力と記憶力が少しずつ改善していった。

回復の道のり——彼女の20年の歩み

彼女は、社会人になってから倒れた。
だから、倒れた後も「なんとか無理矢理」仕事をしていた。

でも、新しいことを覚えられないので、
倒れる前の記憶を頼りにできる仕事に限られていた。

30代での転職と人間関係の悪い職場

30代前半で転職したが、職場の人間関係が最悪だった。
陰口や不満が飛び交い、人を精神的に落とそうとする上司がいた。

良い同僚もいたが、最後の1年間は、夜遅く泣きながら帰ることも多かった。

彼女は言う。
「安定した生活より、健康な精神のほうが大切。」

40歳で退職し、新しい環境に移ったことで、急に自分を取り戻し始めた。
そこから、回復が加速していった。

台本を作ることで記憶力を取り戻す

30代で転職した先の保育園運営&家事支援の会社では、
電話対応の仕事が多かった。

でも、その日の90%のことを忘れてしまう。
「これはまずい……」

そこで、「台本を作る」 というアイデアを思いついた。

電話の流れをすべて話し言葉でメモする。
何度も繰り返し読んで、自分のものにする。
先輩の対応を聞いて、良いフレーズを盗む。

この台本が、彼女の記憶の補助装置 になった。

結果、1年経つ頃には台本なしでも対応できるようになり、
5年後には、ほとんどの質問に答えられるようになった。

  脳科学・クオリア・スピリチュアル・心理学的視点


1. 脳科学の視点——「安心」が脳の回復を促す

ストレスがかかると、脳の扁桃体が過剰に働き、
記憶を司る海馬の機能が低下する。

でも、台本を作ることで 「安心感」 を得た彼女は、
記憶の定着がしやすくなった。

脳科学的にも、ストレスの軽減が記憶の回復に役立つのは明らかだ。

2. クオリアの視点——記憶と感覚の結びつき

カラオケで昔の曲を歌うと、
その頃の自分の感覚が蘇ることがある。

これは、記憶が感覚と強く結びついている から。
言葉や音楽を通じて、失われた記憶を引き出すことができる。

彼女にとって、台本を作ることが「記憶を取り戻す手段」になった。

3. スピリチュアルの視点——出会いは必然

彼女と出会えたのは、僕が発信をしていたから。
もし僕が何も言わずにいたら、この出会いはなかった。

スピリチュアル的に言えば、
「必要なときに、必要な人と出会う」ということ。

僕が回復を願っていたからこそ、
希望をくれる人が現れたのかもしれない。

4. 心理学の視点——「小さな成功体験」が自信を回復させる

彼女は台本を作り、それを繰り返すことで、
「できることが増えている」 という実感を得た。

心理学では、「小さな成功体験の積み重ね」が自信を育てる と言われている。
少しずつ自信を取り戻し、20年かけて回復していったのだ。

最後に

彼女は言う。
「本来の自分を取り戻したい。自由になりたい。」

20年かけて、彼女は記憶も自信も取り戻した。
それでも、まだ100%ではない。

でも、一歩ずつ進んでいる。
僕も、彼女のように歩んでいきたい。


その時まとめたものをフォトブックにしました。殆どそのままの言葉で載せました。


良かったら覗いてください。

https://drive.google.com/file/d/10fvfyig2_QDJmi2CVpBiGhwQKktw99Vj



その後2年くらいかけて

僕も回復の道を歩いた。

40年目にして

二次障害を克服した。


40年前、スポーツ事故で重度の高次脳機能障害、二次障害に苦しみました。34年間は誰にも障害を告白せずに生活。会社で倒れ6年前に障害をオープンに。日々、障害と向き合って生活しています。障害があっても、自分らしく人生を謳歌したいです。


初めての方は、こちら 

https://ameblo.jp/sin0021/entry-12879312775.html