高次脳機能障害の人生
【折れ続けた学生時代】
鈴木大介さんの許可を頂いて掲載しております。私が書いた文章をまとめて下さいました。
本当に感謝致します。
受傷まではそこそこ勉強が得意だったという小川さん。当時の自分を振り返ると「自分のことが大好きで自信もあって、色々なことに挑戦したいやる気満々のタイプ。自分の人生いいことしか起きないなぐらいに考えていた」そうですが、抱えることとなった障害に、そのメンタルはことごとく折られていきます。
「初めは勉強すれば元に戻るだろうと思って必死にやっていた。けれど、当時は、別の事を考えただけで、前の記憶が全くなくなる感じで、数秒前のこともあれなにやってたっけ、というレベル。
誰にも言えませんよ。プライドもあるし、言ったところで『おまえ頭大丈夫?』って友達に言われるのが分かっているから、とにかく周りの人にバレないように必死でした。自分の人生をあきらめたくなかったんですよね」
かなり強めの作業記憶障害は、やはり進学にも大きく影響します。試験などは出題範囲が短かければ対応できましたが「範囲が広いと前に憶えたことを全然忘れていってお手上げになるんです」という状況で、大学受験に3年連続失敗。
元々絵が得意でデザインに興味があったことから建築系の専門学校に入りますが
「三浪してどの大学にも入れなかった時点で、あらゆる自信を失い、びくびくして生活するようになりました。頭が働かない。会話にもついていけない。上手く話せない。言いたい事も中々出て来ない。話すとぼろが出るから黙って過ごしていましたし、3歳下の同級生にも全て敬語で話していました。
さいわい友人には恵まれましたが、自分で自分を『生きる屍』と呼んでいましたし、今日一日だけでも頑張ろうと、目に涙ためながら学校行った日もありました」
こうして専門学校に加え、就職に有利ということで一年の留学経験をした後、小川さんは大手ハウスメーカーWハウジングに就職します。さいわい次節はバブル経済末期の就職氷河期直前。ギリギリ売り手市場のタイミングだったことで、時代に救われた面もありました。
講演会のお知らせ
3月27日(日)13時〜
当事者無料です。
申込み頂ければ、いつでも視聴可能です。


