砂埃舞う砂漠の中。

風を斬るように駆け抜けていく僕。

ふと後ろを見やると、もうすぐ5歳になる息子が遅れまいと必死についてきている。

(ちと飛ばしすぎたか?)

心の中でそうつぶやきながら、視線を前にもどす。

と、突然地面に口を開ける断崖絶壁の谷間。

それを渾身のジャンプで飛び越える僕。

無事に着地し、振り向くと、息子が谷間の手前で立ちすくんでいる。

「大丈夫か?」

僕の問いかけに無言でうなずく息子。

意を決してジャンプ。

が、距離が足りない。

(やばい!)

舌うちする僕の眼前で息子の姿が消える。

(しまった!)

慌てて崖に駆け寄る僕。

下を除きこむと、そこには片手でなんとか崖っ縁に掴まる息子の姿があった。

「ふぅ……」

安堵の溜め息をつく僕をよそに、息子はひょいっと崖上によじ登ると、さも楽しそうに言った。

「危なかったねー」

屈託のない笑顔をみせる息子。

(やれやれ……)

思わず僕が苦笑したその時。

突然の地響きが二人を包んだ。

「何だ!?」

辺りを見回す僕たち。

その瞬間、僕たちの眼前で猛烈な風と共に砂柱が舞いあがった。

風と砂に一瞬視界が覆われる。

「まさか……」

それらがおさまった時、僕たちの前に現れたのは……巨大なロボットだった。

「嘘だろ……」

そのあまりの巨体に硬直する僕たち。

が、すぐさま息子は剣を抜き、僕は左手のビームガンを構えた。

グルァアアアアア!!

威嚇するように両手を掲げる敵に向かって、息子が剣で切りかかる。

ガキィッ!

が、分厚い装甲に阻まれ、ダメージを与えられない。

「ならば!」

今度は僕が横っとびしながら銃を連射する。

が、こちらもまったく手応えが無い。

そこへ息子が不用意に再び飛びかかった。

「よせ!」

僕の叫びも虚しく、巨大なパンチが息子を捉える。

吹き飛ばされる息子。

「ちっきしょぉおお!よくも!」

怒りにまかせて銃を乱射する僕。

そのうちの一発が狙いを外れ、ロボットの遥か後ろにあった木箱を破壊した。

と、その中から空中へ何かが飛び出す。

それを見た僕は思わず叫んだ。

「あれは……キャノン砲!」

駆け出す僕。

(あれさえあれば!)

空高くジャンプし、それに向かって手を伸ばす。

(もらった!)

そう確信した瞬間。

敵のパンチが僕を地面へ叩きつけた。

その僕の頭上をキャノン砲が飛んでいく。

「くそっ!」

そして敵の巨大な足が僕の目の前に広がった。

(ここまでか……)

僕が絶望したその時。

突然、敵の顔面で爆発が起こった。

(何!)

驚いて振り向く僕。

そこには、キャノン砲を構えた息子の姿。

瞬間、僕はありったけの声で叫んだ。

「撃て撃て撃て撃てぇええええ!!」

キャノンを連射する息子。

ロボットが顔で、胸で、肩で爆発を起こしながらあとずさっていく。

「今だ!」

僕は相手の懐に駆け込み、渾身のチャージビームを放った。

巨大な爆発。

崩れ落ちていくロボット。

そして……

画面一杯に表示される「ステージクリア!」の文字。

「やったああああ!」

僕とハイタッチして喜ぶ息子。

「ふぅ」

溜め息をついて伸びをする僕。

さて休憩するか……と思う間もなく、息子はすでにWiiリモコンを構えて画面を睨んでいる

「おとうさん! はやくぴーちをたすけにいくよ!」

そうか……

そうだな……

砂漠の向こうへと飛び去っていく空中戦艦。

その中ではピーチ姫とゼルダ姫が僕たちの助けを待っている。

「ようし……行くか!」

「うん!」


再び駆け出す僕と息子。

その先にどんな敵が待っているのか、僕たちはまだ知らない。


『大乱闘!スマッシュブラザーズX』


砂漠ステージ

使用キャラ

シムテック……サムス(メトロイド)

息子……リンク(ゼルダの伝説)
「お父さん、ごめんなさぁい!ごめんなさぁい!」

たった今、息子が寝言で僕に謝りながら泣き出した。

僕が「もういいよ」と言いながら頭を撫で、手を握る。

すると息子は「トイ・ストーリーがいい」とつぶやきながら、再びすやすやと眠りについた。

どんな夢をみていたのかはわからない。

何を謝っていたのかもわからない。

ただ、明日は息子と一緒にトイ・ストーリーを見ようと思う。