
永久機関と君と⑨
永久機関と君と⑨
轟々と煩い強風の中ウンスはひたすらに
山道を歩き続けていた。
薄暗い曇天の空は
そろそろ雨が降るのだろうとわかる。
「・・・この天気なら」
何回もこの道を歩いた。
初めは絶望と悲しみと怒り。
しかし、いつの間にか
再び逢いたい貴方の顔を思い出しながら
早く着けと願っている自分がいる。
でも、何故だろう?
今度は貴方と会える気がする。
あちこちに私がいた証拠を置いた。
そして、
私はもうソウルには帰らない。
未来の誰かがこんな女がいたのだと見つけてくれたら嬉しいわ。
あぁ、あの占い師にお礼を言いたかったわね。
貴方の占い通りに
運命の人をとうとう見つけたわ。
遠い遠い過去にいる人よ。
見覚えのある石像が見え更に強まった風に
被っている傘を深くし
向かってくる風に向かう様にウンスは足を進めていく。
渦を巻く風の中に走る青白い光と稲妻に
あの人が使う技に似ていると思うと
有り得ない程に恐怖は無かった。
理数系の私がいつの間にか無条件で
納得せざるを得なかった数々の出来事。
ファンタジーだと揶揄ったあの日の自分を
思い出し小さく苦笑する。
でも、 今は―――。
そんな世界に生きる彼の元に帰らなくては。
私は必ず帰る。
貴方の元に。
――ねぇ、
貴方は私を待っていてくれてるかしら?
嵐の中、
山道を登って行った1人の女人が
下山する事は無く、
その姿を見ていた近くの村人達は軍に攫われたか
獣の餌食になってしまったのだろうと溜息を吐き
手を合わせた――。
・・・・・・・・
「完治まで2ヶ月はかかりますね。・・・まだ指が動くだけ良かったと思いますが・・・」
「神経に異常が無ければ大丈夫よ」
「だけどユ先生・・・」
ニコリと笑うウンスの顔を見て、シムは苦しそうに眉を寄せた。
確かにウンスの幸せを願っていたが、こんな代償を受けなければならない程の幸せなのだろうか?
彼らに出会ったが為にウンスの才能が潰れたらどうするつもりなの?
彼らに出会ったが為にウンスの才能が潰れたらどうするつもりなの?
――何故だろう?
ウンスという女性は自分とは容姿も性格も真反対で考え方だって全く違う。
しかし、
彼女が医師として活躍する姿がとても好きだった。
男性にさえ立ち向かう姿も好きだった。
きっと彼女の姿が私の夢だったのだろう。
そうなりたかった。
ずっと昔から―――。
だから、
そんな彼女の夢を、才能を、
潰す様な男は許せない!
最近になってウンスに近付いてきた男、
チェヨンを思い出し、
⑩に続く。
△△△△△△△
【2026年6月11日投稿】
久しぶりにこちらの話の続きができたよ汗(^_^;
次で終われるかな?
(かなり前のお話なので最近のにはしませんでした。過去作のはこの様に過去日付で更新します。更新情報はXにてご連絡いたしますm(_ _)m✨)
