エントランスホールで女神は微笑む⑦
「取引先の親睦会?へぇ、去年はチェヨンさんは入院していたから行かなかったと?」
「・・・と、いうよりは会社に入ってからは行っていないかと・・・。叔母上に聞いたら全て欠席していたとか」
まぁ、そうだろうな。
俺に似ている“チェヨン”ならまず参加もしない。
何年前か知らないが、既にウンスを想っていたのなら尚更だ。
行く意味が無い。
だが、今回は。
「・・・ですが、今回は行こうと思っています」
その言葉にウンスは顔を運転しているヨンに向けて来た。ヨンは唾を嚥下し、その眼差しに目を合わせる。
――・・・それで、イムジャも一緒に・・・。
そう言おうとしたヨンだったが。
「そうね、チェヨンさんがあの会社を継ぐのなら確実に他の企業と繋がりを持った方が後々良い方向に行く筈よ。今の時代自分の会社だけで大きくしていくのは到底無理でしょうから、繋がりは広ければ広い程長く経営していけるもの。ここはチェヨンさんの腕の見せ所よ!今度会う時にその話を是非聞かせて欲しいわ!頑張ってね!」
「・・・・・」
ヨンは口を開けたまま、声が出なかった。
何となくだが、予想は付いた。
何故なら昔のウンスも同じ様な言葉を言ったからだ。
周りの者達との繋がりは大事だと言っていた。
無愛想で頑固な自分には、信頼出来る者達が多い方が良いと。ウンスの言葉にそうかと従い、ヨンは色々な宴にも出席し話したくもない重臣達と会話もした。
その中で親族を勧められた事もあった。
その時に、ウンスはわかっていなかったのだろうか?と思い、拗ねた事もある。
この世界の親睦会なるものが、前と同じかは知らないが病院に押し掛けて来たという情報に少なからず嫌な予感は感じている。
だから、あの時もヨンはウンスを連れて行きたかった。
・・・だが、今ウンスは恋人にはなったが、夫婦になるまでには至らず契りだって結んでもいない。
許嫁とも言えないのだ。
あの時は数回出席したが、とうとう我慢出来ずウンスに不満を漏らし漸く理解した様だった。
・・・だが、今は。
ヨンは小さくため息を吐き、ええと頷く。
「・・・そうですね、今度会う時にでも・・・」
「ええ、チェ家はとても有名な会社だもの、来る企業もきっと知った名前ばかりでしょうね。本当に凄いわねぇ、チェ家は・・・」
「・・・そんなの、チェ家と繋がりたい奴等ばかりですよ」
虎視眈々とチェ家に取り入ろうとする奴等ばかりだ、見飽きていてうんざりする程に。
皆チェ家に生まれたヨンに興味があるだけで、個人じゃない。
名家が何だ。
その言葉も自分(チェヨン)では無い。
「皆、名家か金儲けか、裏で虎視眈々と狙っているのが見てわかる。全て自分の糧にしようとしている者達です。くだらない」
ヨンの吐き捨てる様な言葉に、
助手席に座るウンスの顔が一瞬強ばったが、
前方を見て運転しているヨンは気付かなかった――。
⑧に続く
☆☆☆☆☆☆☆☆
ヨンは知らないから・・・。
今回短いな・・・。
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(1016更新)
『蝶が舞う頃に』
は更新された話に後日話が足されていきます。
何かを見た光景やとある人物の行動など・・・
(まぁ、✋予想は付きますよね)
しかし、それは話が更新されていく度に消えていきますのでご注意下さいませね
少しややこしいですが、それまで話さない彼の様子が少しわかるかもしれませんね・・・
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