ジグザグ14
へぇ、この番号の間に部屋が幾つかあったのね・・・
何回か見ているエレベーターの表示をまだ胸焼けしている状態で眺めていた。
但しヨンに抱き締められ壁に押し付けられている状況でだが。
「・・・ヨン、まだ気持ち悪いんだけど・・・」
「だから抱き締めているだけだろう?」
「それも苦しいわ」
「嫌だ」
「・・・・・」
はぁとウンスは息を吐いた。
気持ち悪いからなのか、ヨンに抱き締められ苦しいのか何方のため息だろう?
ヨンの顔はウンスの肩に付け彼の表情は見えない。しかし先程から当たる逞しい胸からは彼が緊張しているとわかる鼓動の早さを感じていた。
抱き締められ、高鳴る自らの鼓動もまたヨンには気付かれているだろう。
二人は暫く見つめ合っていたが、突然ヨンが「少し待っていて」と立ち上がりフロントに向かって行った。
直ぐに戻って来るとウンスの腰を抱いて立ち上がらせ、
ビルを出ずに再びエレベーターに向かって歩き出す。
「部屋を取ったから」
「・・・え?」
「上で休もう」
吐き気が一瞬消える程の驚愕に足が縺れてしまい、更にヨンはウンスの身体を自分に引き寄せた。
「ちょっと・・・」
「吐きたいなら部屋で吐いて」
「待ってよ・・・」
エレベーターのボタンを押すヨンに焦り気味にウンスが見上げれば、ボタンを押したまま見下ろして来た。
「俺を恋人として考えてくれたって、本当だよね?」
「ほ、本当よ」
「俺はウンスをずっと恋人だと思ってた。・・・だけど、ウンスは薄い壁を作っていてどうしてだろう?
と思っていた・・・」
開いたエレベーターに乗り込むとウンスを抱き締めたまま壁に押し付け、逃がさないとばかりに身体を固定させる。
「・・・手も、肩も、髪も、触れない程に薄い壁を張っていて、触れたら直ぐ逃げそうだった」
「・・・それは、ヨンと私は違う世界の住人だと感じて・・・」
「・・・だけどアメリカに行く前にウンスは待っていると言ってくれて嬉しくて帰ったら抱き締めたい、キスをしたい、ウンスが欲しいとずっと思っていた」
「なっ・・・」
「俺は男だよ?好きな人が欲しいのは当たり前だろう?・・・だけど、帰ったらウンスの気持ちは俺とは全く違っていて・・・」
ヨンはウンスの肩に額を付けはぁと息を吐いた。
「・・・俺が考えていた4年間はウンスには関係無かったのだと苦しかった」
更にヨンはウンスの身体を密着させる様に腕に力を入れた。
「ヨン」
「足りない」
「・・・ヨン、まだ気持ち悪いんだけど・・・」
「だから抱き締めているだけだろう?」
「それも苦しいわ」
「嫌だ」
「・・・もう」
手紙を渡した時にウンスは覚悟を決めたのだ。
ヨンに好きだと言って一歩引いてしまう自分の事も話して。
帰って来たら自分と付き合って欲しいと。
それはヨンには届かず、結局は同じ住人で無いと勘違いするなと思い知らされてた。
・・・本当に私をよく見ていたのね
恥ずかしいのか、苦しいのかウンスの顔は赤くなっている。
「・・・私、恋愛スキルが無いわよ?面倒臭い女よ?」
ガバッと顔を上げヨンはウンスを見て来た。
「え・・・あ?」
ウンスの言葉が理解出来なかったのか目をパチパチと瞬かせていたが、理解したのかヨンは一旦口を閉じた。
「・・・いや、俺も高校生以来だし・・・」
「・・・そうなの?あの大学生時代のモテ具合いは何だったの?」
また渋い顔になるヨンは口をへの字にしてウンスを見据えた。
「何だよ、それ?俺ずっとウンスの近くにいたじゃないか?何で他の女を相手にしなきゃならないんだよ?」
意味がわからないよ。と膨れた顔は同じ歳なのに幼く見えた。
何時の間にかエレベーターは止まっていて、その階に着いていた。
扉が開き廊下側にスーツ姿の男性が立っていたが、抱き締め合っている二人を見てわぁと声を上げると、その声に二人はハッとし、ウンスは慌てて身体を離そうとしたがヨンはウンスの腰にまた手を回し並んで出ようとした。
「ちょっと、ヨン!」
「あ〜、少し具合いが良くなっている。何だよ・・・もう」
「こらっ!」
「でも行くの、ほら」
「ヨンー!」
グイグイと引っ張ってヨンはウンスを部屋迄連れて行こうとし、ウンスはヨンの肩をバシバシと叩いていた。
スーツの男性は騒ぎながら廊下を歩き部屋に向かって行く二人を唖然と眺めていたのだった。
(15)に続く
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
※はい、無事に部屋に到着しました。次アメバ話。
ヨンはいつウンスと付き合ってると勘違いしたのか?
(~_~;)
