ジグザグ15
部屋の扉を開けるとヨンはすかさず部屋を見渡し、トイレと浴室を探した。
「ウンス、吐き気は?」
「・・・少しあるけど、さっきよりは大丈夫」
「ならいいけど。今水持って来るから少し寝てた方が良い」
ウンスの腰を離さないのは下心もあるがちゃんと心配してくれるのがヨンなのだ。
焦った自分が恥ずかしい。
・・・が。
・・・何よ、コレ?キングサイズ?
部屋の端にデカデカとキングサイズのベッドが置かれてあり、ウンスはガクリと首を落とした。
しかも何の部屋を取ったのか?あまりにも部屋が広すぎる。脱力感と再び込み上がる気持ち悪さにウンスがベッドの隅っこに横たわっていると、新しく濡らしたタオルとミネラルウォーターを持ってヨンが近付いて来た。
寝ているウンスの背中をまた摩り、大丈夫か?と声を掛けた。
「・・・色気無くて悪かったわね」
「何を言ってるんだか・・・。逆の立場だったらウンスだってするだろうに」
お互い医者で、色気よりもまずは看病優先になるのは当たり前だとわかっている。指摘されて確かにとウンスは素直に目を閉じた。
色気も誘惑も一体どうするのが正解なのだろう?
前もヨンと呑みに行き時々介抱され、よくこんな姿で好きと思ってくれたものだと思う。
ヨンはウンスの額や頬に手を当て熱を確認している様だった。
「さっきよりは冷えたけど・・・、暫く寝てて」
そういうと、ヨンはベッドから離れスーツの上着を脱ぎクローゼットに仕舞っていた。
あちこち歩き回り部屋を確認している様で、ウンスは横になりながら大人しくそれを見ていたが肌触りの良い寝具の感覚に何時の間にか意識を手放していた。
それでも浅い睡眠に朦朧と目を覚ますと、胃の煮える様な不快感は何時しか消えていて、部屋の照明は少し落とされ何の音もしなかった。
いや、する。
自分以外の呼吸する音にウンスは横を向いた。
ウンスの隣りにヨンも横になり寝ている様だが、その距離はかなり離れ、
キングサイズのベッドの両端にお互いがいる状況に彼も気を使っているのだろうとわかった。
被せられた毛布を肩迄上げようとしてウンスの上着が脱がされブラウスだけになっているのに気付き、驚き固まっていると寝返りを打ったヨンも目覚めた様でうっすらと目を開けた。
「気持ち悪くない?」
「少し寝たから無いけど・・・私の上着・・・」
「・・・あぁ、ごめん。寝苦しくしていたから・・・」
寝ているウンスの服を剥いだのも申し訳ないと、ヨンは謝る。
「別にいいけど・・・」
しわになるよりは、等と考えてしまうウンスは熟色気が無いと思う。
「・・・近くに行ってもいいかな?」
「・・・さっき迄抱き締めていたでしょうに」
ウンスがはぁとため息を吐くと同時にヨンが少し距離を詰めて来た。
「・・・ごめんなさい。ヨンの4年間を聞いていなかったわね」
「ウンス・・・」
隣りからウンスの手にヨンの手が重ねられた。
「ヨンは私の事を考えていたのに、私は何もヨンに対してしてもいない、遠くにいるとしか考えてなかった・・・」
ウンスの言葉にヨンの手に強さが入る。
「・・・いいよ、それはもう」
またヨンが辛くなるだけだから。
それからヨンはぽつりぽつりとアメリカでの事を話してくれた。
ウンスはヨンはとても優秀で向こうでも華やかな生活を送っていると勝手に想像していた。しかし実際は想像とは違い、勉強と実習に追われる過酷な日々を送っていた事実に何時の間にかウンスは泣いていた。
自ら進んで行き学んでいるとは言え、相当きつい時期があったと窺い知れる。
それを耐えたのはウンスとの約束だと思い出した。
勘違いしないままで過ごせていたらと改めて後悔したのだ。
「・・・いいんだ、今、ウンスがいるから」
その言葉を吐く為にどの位葛藤したのだろうか?
ウンスは涙を零しながら隣りにいるヨンの腕に頭を付けると、その身体をヨンが布団の上から強く抱き締めウンスの髪に鼻を埋めた。
「・・・あぁ、どうしよう。キスしたい」
ヨンの言葉にウンスは苦笑したが顔を上げた。
もう覚悟は決まっているのだから。
(16)に続く
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※ここ迄はアメバ話でなかったでした。
次でした。m(*_ _)m申し訳ない。
