ジグザグ13
・・・・しまったなぁ。
何故こんなに呑んでしまったのかしら?
浮かれてしまったからで無いのはわかる。
何時のヨンに戻り来た時とは違う雰囲気にウンスも安堵した・・・訳では無かった。
今迄意識をしていず、ウンスに対する気遣いや優しさに相変わらずだと笑ってヨンの瞳を見てしまった。
向かいに座るヨンは何時の笑顔で話していたが、
その瞳の奥にははっきりとした熱が篭っている。
彼は明らかに奪う側の目をしてウンスを捉えていたのだ。
・・・待ってよ。さっき迄倒れそうな顔色だったじゃない?
ヨンを意識した途端彼の一挙一動に激しく動揺してしまう。
まさか今迄も彼はこの眼差しで自分を見ていたのか?とウンスは困惑し、平常心等保てなかったのだった。
ウンスの恋愛スキルは無いに等しい。
ではヨンはどうなのか?
大学生の頃から一緒にいたが、自分が覚えている限り
彼女はいなかった・・・と、思う。
詳しくは知らない。
常に一緒にいる様になったのは医者になってからで、
大学生時代はヨンに話し掛けられる迄は別々にすごしていたのだ。
ウンスが覚えているだけでも女の子の集団に何回か囲まれているのを見た事があった。経験が無いとは言わないだろう。
考え始めると止めどなく出てしまい、それを消したくて呑み続けてしまったのだった。
「・・・気持ち悪い」
「大丈夫か?吐きそうか?」
レストランから出てロビーのソファーに座り具合いが悪くなったウンスをヨンは介抱していた。
酔いと酸欠に苦しくなり、ウンスは返事しようにも
嘔吐感にただ耐えているだけだった。
「うーん、一度吐いた方が良さそうだけどな・・・」
ウンスの口元に水を運びながら、優しくウンスの背中を摩りレストランから冷たいタオル迄借り
甲斐甲斐しく世話をするヨンに申し訳なさに只只謝るしかない。
本当に情けない。
自分はもう30にもなっているというのに、
まるで思春期の様に緊張しまともに接する事が出来ないなんて。
「・・・本当にごめんなさい。あぁ、もう、何て女なの・・・私は」
「ウンス?」
「ヨンと離れている間、私は何も変わって無かったのよ・・・仕事ばかりで、家事も出来ない・・・女らしい事も―」
「別に家事が出来る、女らしい女性を待っていた訳じゃない。俺はウンスに待っていて欲しかったんだよ」
恐る恐る目を開けヨンを見ると何言ってんだよ、と拗ねながらヨンはウンスの背中を摩っている。
私だけが彼を「友人」から「恋人」として意識し、向き合い始め全く勝手が違う事に改めて気付かされていたのだった。
「ヨンは変わっていないわね・・・」
「ん?」
「私だけが考え方を変えるのでいっぱいいっぱいなのに・・・」
しかしそう言うと、ヨンの手がピタリと止まった。
少しの間の後、そうとウンスの顔の近くに顔を寄せて来た。
彼の目が少し驚き、しかし何故か強い光を放っている。
「・・・それって俺を意識してくれているって事?恋人として・・・?」
ウンスを見つめるヨンの瞳の中にまたあの熱が見える。
「・・・そうよ」
ウンスは正直に答えるしかなかった。
ヨンはウンスの言葉に更に目を大きくしたが、ニコリと微笑む。
何故か爽やかな笑顔なのに醸す空気は見た事無い程の
艶やかさを出してウンスを見つめていた。
(14)に続く
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別にヨンがトラップカード発動させた訳じゃないよ?
