多すぎた調味料



今回は、私が手放した冷蔵庫や棚に並んでいたたくさんの調味料のお話。
醤油、みりん、酢、味噌。
それだけで十分なはずなのに、
○○専用、△△風、期間限定。
料理を楽しくしたくて増やした調味料が、いつの間にか場所を取っていた。

調味料が多いと、料理上手になった気がしていた。
レパートリーが増え、食卓が豊かになるような気がしたのだと思う。
「これがあれば簡単」「これで失敗しない」。
そんな言葉に惹かれて、少しずつ買い足していた。

けれど、実際に使っている調味料は限られていた。
いつも手に取るのは、決まった数本。
奥の方にある瓶やチューブは、存在を忘れられたまま、
賞味期限だけが静かに近づいていた。

ある日、調味料をすべて出して並べてみた。
似たような味のもの、
「いつか使おう」と思ってそのままになっていたもの。
調味料が多いことで、料理が楽になるどころか、
選ぶことに少し疲れていた自分に気づいた。

思い切って数を減らした。
基本の調味料と、今の暮らしでよく使うものだけ。
足りなければ、そのときに考えればいい。
そう思えたとき、台所に立つ気持ちが少し軽くなった。


調味料が減ると、棚の中が見渡しやすくなった。
迷う時間が減り、
料理は「考えること」から「手を動かすこと」へと変わった。
頑張らなくても、ちゃんと食事は作れる。
それが分かっただけで、十分だった。

多すぎた調味料を手放して気づいたのは、
私が集めていたのは味の種類ではなく、
「ちゃんと作らなければ」という気持ちだったのかもしれない、ということ。
今の私には、シンプルな味つけで十分。
調味料を減らしたことで、
料理も暮らしも、少し素直になった。