You cannot teach a man anything; you can only help him to find it within himself.
――「人にモノを教えることはできない。できるのは、彼の中にある力を見つける手助けだけである」
これは、ガリレオ・ガリレイの言葉です。
この言葉を初めて読んだとき、ふと、自分の仕事の本質に触れたような気がしました。
私は学習塾という教育の現場に身を置いていますが、そこでの“教える”という行為が、
必ずしも「知識を与えること」ではないことを、日々の中で痛感するのです。
最近では、自分よりも年下の講師たちのほうが、知識や技術において優れていると感じることが多くなりました。
時代の流れとともに、学び方も、吸収のスピードも、驚くほど進化しています。
しかし、教育とは“知識や技術”だけで成り立つ世界ではありません。
本当に大切なのは、それらを「どう使うか」。
言い換えれば、知識や技術は、その人の“個性”であり、
それを活かすことで初めて、組織全体が意味を持ち始めるのです。
個性の集合体――それが“組織”というものです。
多様な個を集め、ひとつの目的に向かわせるためには、
明確なビジョンと、それを支える“マネジメントの力”が必要不可欠になります。
マネジメントというと、業務の管理や数字の管理ばかりが想像されがちですが、
本質はもっと深いところにあると私は考えます。
たとえば、会社の方向性や価値観を共有し、
講師やスタッフが共通の目的意識を持つこと。
そして、「自分はこのチームの一員である」と実感できるように導くこと。
これができてはじめて、個性は組織の中で生かされ、
それぞれの強みが、互いの弱みを補いながら、全体を押し上げていく力になります。
知識や技術が優れていても、それが“組織としての力”として使いこなせなければ、
結果としてそれは孤立したスキルに過ぎません。
だからこそ私は、講師たち一人ひとりの“力の使い方”を伝え、
組織全体としてどう結びつければ最大限の効果を発揮できるのかを、日々考え、実践しています。
「この講師とこの講師は、授業スタイルも価値観も違うけれど、組めば補完し合えるかもしれない」
「この人には、まだ見ぬ可能性がある」
そんな風に、それぞれの“個”と“個”を結びつけ、
まるでパズルのピースがはまるような瞬間に立ち会えること。
それが、マネジメントという仕事の一番の醍醐味かもしれません。
そしてその結びつきは、ただ業務を効率化するだけでなく、
講師たち自身の成長を促し、ひいては組織全体の発展にもつながります。
それはやがて、生徒たちの成長にも還元されていく。
こうした“見えない循環”を生み出すことこそが、
私の役割であり、講師たちの仕事でもあるのだと思っています。
もうひとつ、大切にしていることがあります。
それは、部下や講師の“可能性”を、誰よりも深く信じ、
ときには本人以上にそれを理解し、言語化して見せることです。
人は、自分の限界を「自分の物差し」で測ってしまいがちです。
その物差しは、多くの場合、狭い経験や固定観念からできていて、
本来の可能性よりもずっと手前で“限界”を設定してしまうものです。
だからこそ、私は講師たちにとっての“新しい物差し”でありたい。
彼らが見ている天井を少しずつ取り払い、
「君にはもっとできる」「こういう可能性もあるんじゃないか」
と、新しい視点を提示し続けることが、私のもうひとつの役割です。
もちろん、私自身がすべての生徒に直接関われたら、それに越したことはありません。
でも、物理的にそれは難しい。
だからこそ、講師一人ひとりが「生徒にとっての最良の教師」であるように、
その育成と支援に力を注ぐのが、私にできる最大の貢献なのです。
マネジメントとは、人を「まとめる」ことではなく、
人の中にある力を信じ、それを引き出し、結び合わせること。
教育の現場でも、それはまったく同じ。
知識や技術を教えるだけではない、
「その人の中にあるもの」を一緒に見つける、そんな仕事を、
私はこれからも誇りをもって続けていきたいと思っています。
