教室を開校する際には、さまざまな準備が必要になります。電話や机、いす、パソコン、ブース、本棚などの物品の購入に始まり、コピー機や防犯設備、メール配信システムといったリース契約も必要になるでしょう。これらの契約や購入に際して、費用を抑えるために「値引き交渉」をしたくなる気持ちは理解できます。しかし、私はこのような場面においてこそ、「値引き交渉をしない姿勢」が極めて重要だと考えます。
確かに、複数の業者から見積もりを取り、それをもとに比較検討を行うことは必要不可欠です。そして、業者との会話を通してサービスの詳細や価格に関する情報を収集することも重要でしょう。しかし、その過程で「値段を下げてください」とこちらから言ってしまうと、長期的な関係に大きなマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
なぜなら、業者側にとっても取引相手は選ぶ対象であり、信頼できる、長く付き合っていける相手であるかどうかを見極めているからです。こちらが値段にばかりこだわり、値引きを要求するような姿勢を見せてしまうと、相手から「このお客さまは価格しか見ていない」と判断され、将来的に優遇される機会を自ら失ってしまうのです。
一方で、「値引き交渉はしないが、相手の誠意を見極めながら最適な一社を選ぶ」という姿勢を貫くと、相手からの信頼を得やすくなります。そして、信頼関係が築かれた結果として、「いつもお世話になっているので、今回は特別に…」といった形で、無料のオプションや特別対応を受けられることも増えていきます。これは単なる「金銭的な得」ではなく、ビジネスにおけるパートナーとしての信頼に基づいた厚遇です。
つまり、目先の金額の違いにこだわって短期的な利益を追うよりも、誠実な姿勢を持って業者と信頼関係を築き、長期的にメリットを享受する方が、はるかに価値があるのです。特に教室という、地域や保護者、生徒との長期的な信頼を前提とする事業においては、取引先との関係にも同様の視点が求められるはずです。
「いいお客様」であることは、単にお金をたくさん払うことではありません。相手の誠意を尊重し、自らも誠実な態度で接することで、相互にとって良好な関係が築かれていきます。そして、それこそが教室運営の土台となるべき「信頼」の始まりなのです。
したがって、教室開校時においては、あえて値引き交渉を行わず、相手との関係を大切に育てていく姿勢を貫くことが、最終的には最も得をする選択だと断言できます。