教育に携わる者として、常に忘れてはならないことがあります。それは、「自分のやり方がすべてではない」という視点です。特に塾の現場においては、日々の忙しさに追われ、自分の教室や授業に集中するあまり、気づけば「井の中の蛙」になってしまっている先生が少なくないように思います。
しかし、それでは本当に子どもたちの力を最大限に引き出す教育にはつながらないのではないでしょうか。他塾の様子を知ること、他者の授業を体感すること、これは単なる興味本位の行動ではなく、自分自身の教育観や指導法を見つめ直す重要な機会です。まさに、教師自身が学び続ける姿勢を持ち続けるための第一歩だと言えます。
私自身、先日、新しく立ち上げられる塾に見学に行く機会を得ました。見学といっても、ただ物理的な空間を見るだけではありません。そこに流れる空気、子どもたちが自然に集まってきそうな雰囲気、講師と生徒との距離感、そして何より、楽しそうに学べる環境の予感――そういった「数値化できない領域」が、実際に足を運ぶことで伝わってきました。
これは非常に大きな気づきでした。どれだけウェブサイトやSNSで情報を得たとしても、「実際に行って、雰囲気を感じる」ことで得られる学びには到底かないません。「同じことも、同じでない」という言葉の通り、一見似たようなカリキュラムや教材を使っていたとしても、指導の空気感や生徒の反応は全く異なるのです。
また、このような見学を通して、自塾の強みや課題も相対的に見えてきます。「自分の教室には足りないものは何か」「この工夫は自塾にも取り入れられるか」といった視点が自然と育まれるのです。そうした気づきの積み重ねが、より良い授業作り、より良い塾運営へとつながっていきます。
教育に正解はありません。だからこそ、他者の実践を学び、自分の在り方を問い続ける謙虚さと柔軟さが求められます。他塾見学という行動は、その最たるものではないでしょうか。現場で教えるすべての先生にこそ、ぜひ一歩を踏み出してほしいと強く願います。視野を広げることでしか見えてこない「教育の本質」が、そこにはあるのです。