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2ヶ月ほど前に、久しぶりにヴィレッジヴァンガードに行ったんですよ。
店内に入ったのは何年振りだったのでしょう。
確実に15年は超えています。
ある本を買いに行ったのです。
というのも、ヴィレッジヴァンガードで購入すると特典がついてくると聞いていたから。
ところが、私が足を運んだ店舗にはそもそもその本の入荷自体がありませんでした。
確かに、マーケット的にちょっとニッチな本で、売り上げや興味に地域性も関係しそうな書籍だったので、なんとなく自分なりに納得はありました。結局Amazonで購入したので(特典はもらえませんでしたが)、手に入りましたし。
しかし、それより気になったのが、ヴィレッジヴァンガードのお店自体のことでした。
お店への批判ではなくて、世の移り変わりを感じたというか。
私世代+10歳前後の世代なら、多くの方は一度は行ったことがあるであろうこのお店。
店内はごちゃごちゃで、手書きのポップがなんかちょっと上手いこと言っている風でついつい興味を引かれちゃうし、なんなら手にとったり、お金に余裕があるなら購入しちゃいたい気分になるお店でした。
実際に置いてある本を手にとってみると、デザインや帯のインパクトや圧は強めなのに、中身はものすごく薄くて浅い、水を入れすぎたしゃばしゃばのカルピスみたいなものも多かったりで。その「私はなんでこんなもの買ったんだ」というがっかりとか苦笑い感も含めて、それがあの時代の地方で触れられるサブカルの空気だったようにも思います。
10代・20代前半の学生時代は、ネットは少しずつ一般化してきてはいたものの、今ほどに発信される情報は少なかったし、自分の日常にはない世界(についての本)が一堂に集まっているのはあの場所しかなくて、ポップさと情報の洪水に溺れる感じが楽しかったよなー、と思い出します。その洪水は何でもかんでもが混ざったスムージーみたいなもので、本当に面白いものと、人生に全く必要のないものの区別すらつかなくなるようなめまいのする空間でした。(←褒めてます)
ヴィレッジヴァンガードのキーワードは、「遊べる本屋」でした。
こんな本、誰が買うんだよ?とお店の採算を心配してしまうような本で溢れていました。
先ほど欲しかった本は地域的にあまり需要はないかも知れないものだったと書きましたが、ヴィレッジヴァンガードってそういう本を扱っている本屋さんだったはずでした。出版社のTwitter(x)でも、ココなら特別特典つけますと発信しているお店なのに、そもそもその本の入荷がありませんでした。
今回私がお邪魔したお店は、そもそも置いている本がすごく少なかったんです。
9割雑貨。たった1割の本のほとんどは、本屋さんならどこにでも売っている有名な漫画ばかりでした。
私の目には、ものが多い雑貨屋さんに写り、これだとわざわざヴィレッジヴァンガードを選んで行く理由が見つかりにくいな…と。
不満とかではなく、「なにが起こっているんだろう?」と思いました。
ついつい並べられた本やポップを眺めて「これはなんだ?」と好奇心が刺激されるような空間自体が縮小され、かつて感じていたワクワクや刺激が降ってくるような感覚がありませんでした。
私はもう20代ではなく40代で、一瞬「若者文化についていけなくなった」ということなのかなと思ったのですが、なんだかそれとも違う。かつて楽しいと感じていた空間に対する懐かしさもない。それは、店自体が全く別物になってしまっしまったということなのかもしれません。
コレが世の中の変化なのかなと思いました。
あの店でしか得られなかった正体不明のよくわからないけど気になる情報たちは、今はネットでいくらでも手に入ってしまう。コロナの影響もあったのかもしれません。わざわざ足を運んで直接刺激を受けにいくより、情報や刺激は検索して必要なものかどうかを画面で見極めてからネット上で購入される。
また、あの情報のなだれのような圧は、今の私たちにはちょっと重いのかなとも思ったり。
というのも、例えば蔦屋などが新しく展開している本屋さんには人が集まっています。しかしそういった新しく人が集まる場所は、あのポップな洞窟に迷い込んだような感覚や降りかかってくるような刺激の雪崩はありません。むしろ圧とは全く逆で、スッキリと落ち着ける空間デザインになっています。ということは、本屋や雑貨屋が衰退というより、人が求めるものが変化してきたということなのかしら…。
お店にいる時からなんだか色々気になり、その後数週間ほどひとり色々とこんな考察をしていました。
つい先日、同じようなことを考えていた人が書いた記事を見つけました。
まさかココまで店舗の閉鎖や営業利益の低迷となっているとは知りませんでしたが、やっぱりそういう空気って感じるものなんだなと感心したり。
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