どこ鉄119 〜夏の山を越えて | 菅野貴夫の野球電鉄

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俳優・菅野貴夫のブログです。
「どこ鉄」とは、友人から送られてきた鉄道写真を、それがどこで撮られたものかを推理・検索・悪戦苦闘しながら解いていくシリーズです。

お久しぶりです、どこ野鉄夫です。



私事でありますが8月半ばに、20年続けていたコンビニ夜勤からとうとう引退しました。いやー長かった。



そこから新しい仕事がいろいろ始まってバタバタしていたため、だいぶ間が空いてしまいました。

ようやく3つぐらいの山を無事越えて一息つけたので、呼吸を整えて皆様からの写真に取り組んでいきたいと思います。



まずは蒻崎さんからの1枚。

線路がない。


これは新交通システムか?



新交通システムというのは、東京のゆりかもめや神戸のポートライナーのような、線路と車輪ではなく「ガイドレールとゴムタイヤ」みたいな構造で走る鉄道のことです。細かく分けると様々な構造がありますが、れっきとした鉄道です。


とりあえず、ゆりかもめを見てみよう。

うむ、非常に似ている。


ただひとつ気になるのが、↑駅の部分は上下線が離れてるとは言え、鉄骨の構造物で繋がっていること。



問題写真↓

左側にチラッと樹木は見えるけど、あの向こうに反対側の軌道があるのか?なんか、そうは思えないような……。



新交通システムで単線…そんなのあったかな?



脳内データに思いを巡らせて浮かび上がったのが山万ユーカリが丘線。


千葉県にある大規模住宅地のなかを走る新交通システムです。山万というのは不動産(開発)会社で、不動産会社が運営する鉄道として日本唯一の珍しい路線です。

たしかこのラケット型の路線を、公園駅からどっちかの方向に一方通行で走っていたはず…!

(駅名が味も素っ気もないことでも有名)



一通区間の駅へ降臨。

システムが全然違いました。ほぼモノレール。



一方通行のことばかり考えて走行システムの事がおろそかに!



かくなる上は写真を拡大。

この文字を調べてやる。


「TOMAS」で検索。

学習塾か。



この中から、新交通システムの路線が走っている場所を照らし合わせると……



西日暮里(日暮里舎人ライナー)と、

大宮(ニューシャトル)の2択。



そのどちらか、、、あっ!



では元の写真↓


探し出した写真↓

(どんぐりころころさんの動画より)

塾の入った丸いビルも申し分なし。

ニューシャトル大宮駅、確保!



あっと閃いた理由は、

↑動画を見てもらえれば分かりますが、ニューシャトルの大宮駅は始発駅なのに一般的な行き止まり方式ではなく、右から電車が入ってきて左へ出ていく一方通行という遊園地の乗り物のような構造になっているのです。

(遠きにありてさんのブログより)

皆様も鉄道博物館へ行く際はぜひお楽しみに。





続きまして、ありぴーさんからの1枚。

ほう、広めの地下駅。

ちょうどお昼時でスマホを持っていた時に届いたので、そのまま捜索開始。

横須賀線&総武快速線・東京駅、秒で確保。


このくらいの写真は昼飯前でごわす。



すぐに分かった理由は、問題写真右側の壁。


以前に解いた総武快速線の地下駅・新日本橋駅の写真(加瀬さん)↓

ほぼ同じ壁。


横須賀線&総武快速線の地下駅で、ホームが2つ以上ある=東京駅以外に無しということでした。



2年もこんな遊びを続けていて、解いた写真はおそらく500枚を超えてるでしょうから、こうやって他の人の写真にとばっちりを受けるケースも出てきますね!恨むなら他の人を恨んでくださいね!


(なお、ありぴーさんからは直ちに次の写真が到着)




さあお次は、久しぶりの沖田さんからの1枚。

7月末に沖田さんが山口県の実家に帰る際「青春18きっぷ」の旅で普通列車を乗り継いで、途中下車して観光したり宿泊したり、すごく楽しそうな道中だったのはFacebookの投稿で拝見していました。

ちなみに東京へ戻る際にも別ルートで再び青春18きっぷの旅をされていたので、完全にガチ勢ですね



まずは帰り(東京へ戻る)の道中・下関から山陰本線に入ったあたりを捜索しようと思います。

沖田さんが辿ったように、景色を見ながら捜索していけたら楽しいだろうな……

このあたり、さぞかし風光明媚な車窓の連続だろうし!(下関〜長門〜萩〜益田…)



ただしかし。

肝心の写真がこのとおり旅情皆無のガチ写真

使えるテクニックは惜しみなく使っていこう。


まず、ホームの向こう側に黄色い線が見える=向こう側にも線路がある。

すなわち1面2線の島式ホーム駅か、それ以上に複数のホームを擁する駅か。


定石どおり配線略図大先生を召喚。

意外と島式ホームを擁する駅は少ない。



つぶさに見ていきながら、

島式ホームじゃないけど、日本最高レベルの難読駅。……読み方せめて「とっこい」じゃない?とか思ったり。


こちらも有名な惣郷川(そうごうかわ)橋梁。

ここから眺める日本海は最高でしょうねえ。



沖田さんに了承を得た道中写真も1枚載せます↓

きれいな海!!

これぞローカル線旅の醍醐味ですね。



(肝心の捜索は全く当たりなし)



しばらく進めながら写真を見直してみると。

あれ?奥に見える機器類、もしかして架線柱の一部?

てことは電化区間なのか?



今まで非電化区間をのんびり辿ってきたので、あわてて山陰本線の電化区間へワープ。

同時に駅裏が鬱蒼とした茂みになっていることも頭に叩き込みます。


大きな駅(島式ホームあり)はだいたい平地にあったから、島式ホームのある小さな駅というセンが濃いか……?



しかし、

山陰の電化区間には該当する駅はなく(出雲市と松江は高架駅、直江&玉造温泉駅も平野部)。



その後また非電化区間の捜索を再開(さっき飛ばした区間に戻って)、そのまま鳥取県横断→兵庫(ここからまた電化区間!)→京都と辿って山陰本線全線捜索無事完了。


(Wikipedia↓)

クーッ、またやってしまった!


全部の駅を捜索したわけじゃないけど!



途中にはこんな駅も。

逆に絶対読めない!



さて。



次なる手は……やはり沖田さんの辿った道筋を、投稿をもとに入念に調べていくか?東京から下関までの青春18きっぷ往復旅、どんな路線を乗り継いでいったのか…(調べるのも大変だけどそれ以上に何日もかけて乗り通したのが凄い)



その前に、いちおうこれを確認しておこう。

ベンチ。


ホーム上に、線路と直角の方向に置かれている。

この形、最近では全国で増えてきましたが(酔っ払いがフラフラ立ち上がって線路に落ちるのを防止するためだとか)、

最初に採用したのはJR西日本だったはず。



ここで頼りにするのは、これまたお気に入りに登録している鉄道雑学研究所 北広島支所さんのページ。

素晴らしきガチ勢。



JR西日本のベンチへ進むと、

これだ。向きは違うけど、とりあえずJR西日本で確定だな。


さてアーバンネットワーク標準のベンチだと。

アーバンネットワークとは、JR西日本が特に力を入れている関西都市圏エリアのことです。


範囲を改めて確認。

(Wikipediaより)

うむ。



ではいよいよFacebookの投稿ストーキング開始。

投稿された写真や文章をもとに推理すると、

往路は東海道・山陽本線を観光や寄り道を挟みながら西進し、

復路は山陰本線で京都まで(全区間乗ったのか!)、そこから再び東海道本線で帰京された模様。



上の路線図で(JR西日本の呼称で)いうと、琵琶湖線・京都線・神戸線・山陽線そして嵯峨野線が該当区間。


しかしアーバンネットワークエリアは文字通り都市や住宅・工場などが立ち並ぶ平野部がほとんど。問題写真のような鬱蒼とした茂みがすぐ裏にある駅なんてあるのか?



ここで早速推理から外れて、JR東海区間の東海道本線・醒ヶ井(さめがい)駅へ。

ここは関ヶ原も近い山間部で、何より沖田さんが往復とも途中下車していた場所です!


(こちらも了承を得て掲載↓)

近くを流れる地蔵川の風景。

梅花藻(ばいかも)というらしいんですが、澄んだ水に浮かぶ花と藻がとても綺麗ですね!東海道の醒井宿にある名所だそうで、なるほどこれは寄り道する価値が大ありだ!



さて肝心の駅は、

やはりJR東海のためか例のベンチはなく。



再びJR西日本アーバンネットワークエリアに戻り、比較的緑の多そうな区間を見ながら西へ、あっという間に横断完了。



うーむ。


なんでSNSの投稿はあんなに綺麗な写真ばかりなのに、僕にはこんなのをくれるんだよ。



クーッ!



しかし言っても仕方ないので次の手を。

ベンチの記述では「アーバンネットワーク標準」と書かれていた。


あくまで「標準」であり「限定」ではないから、エリア外の路線にもあのベンチはあるんじゃないか?


ということで山陽線の続き、上郡(かみごおり)以西を捜索することに決めます。もうだいぶグルっと回ってきたな……。


上郡の先はちょうど兵庫・岡山県境の山間部。



一駅一駅注意深く見ていって、、もうすぐ岡山の平野部に出てしまおうかという直前の瀬戸駅。

ん、駅裏すぐに山がある。



そして駅の画像に入ったところ。

あっ!

ベンチと茂みと、、電気系の機器!!!!


これは!!!!!



では元の写真↓


ようやく辿り着いた写真↓

JR山陽本線・瀬戸駅(岡山県)、下関から西日本を3/4周した地点でようやく確保!!!



いやー厳しい問題だった!



「景色を見ながら」とか言ってたけど全くそんな余裕はなかった!



数々の投稿のなかで全く触れられてない、サッと撮っただけの途中の駅だったぽいし!





さて今回ラストはワッティさんからの1枚。

眼前にせまる山。

錆びついた架線柱。


何となく、観光地っぽい匂いがするような。



相変わらず特定できそうな要素はない、どこから捜索しようか……。



まず目がいったのはこちらの標識。

これは勾配標ですね。


(Wikipediaより)


背景からみても、ある程度の山岳路線ではないか?



次は、

こちらの文字に注目。


ATSというのは「自動列車停止装置」のことで、その中にSだとかPだとか、鉄道会社や路線によって様々な種類があります。


そんなウンチクは置いといて、素直に「ATSP確認」で検索。

たくさん出てきた。



おもにJR東日本で導入されているようなので、さらに線区を検索。

見るのも嫌になる。



別のページを探そう!

JR東海にもあるのか!


(さらに検索を進めるとJR西日本にもある事を確認)



もう訳がわからん!写真に戻ろう!

やはり架線柱が錆びついてるのが気になる。

ローカル線だろうか?それにしては線路の本数も5本あるし、そこそこ規模が大きな駅っぽいが……。



いちおうJR東日本で近場の山岳ローカル線・青梅線の青梅駅を確認してみよう。線路がたくさんあって、ここから山岳区間に入る駅だぞ!


あっ!すごいサビ!


…そうか、青梅駅はレトロを売りにしているからな……それでも架線柱まであんなに錆び加工するかな?



とにかく問題写真と同じ画角を探して。

冬の写真しか見つからなかったのはともかく。

やはり架線柱は錆びていないし山の感じも違うか……そりゃ塗装の職人さんにわざわざ架線の電気止めてまで錆び加工してもらうメリットもないですな!

(最近仕事柄、職人さんの立場や都合を考えることが多い)


うーむ。

感じは惜しいんだけどな。



改めて「ATSP確認」の検索に戻り、引っかかったのが。

伊豆急行。


JR東日本と直通運転をしている伊豆急にもATS-Pが近年導入されたと。



伊豆といえば海のイメージが先行しそうですが、伊豆半島は海岸線の直前まで山が迫る急峻な地形も有名。伊豆急も「城ヶ崎海岸」の次駅が「伊豆高原」というように、険しいアップダウンの中を縫って走っています。

そして言わずもがな観光地。



最初に検索で見た時は信号機の灯数が違うからスルーしたけど(伊豆急は3灯・問題写真は4灯)、

山、アップダウン(勾配)、観光地……これは行く価値ありだな……!



まずはJRとの接続駅・伊東から。



では元の写真↓


辿り着いた写真↓

バッチリ。


というわけで伊豆急行電鉄&JR伊東線・伊東駅、確保!



この写真の先が伊豆急の路線なんですが、駅構内はJR東日本の管理なので信号機が4灯なんだろうな!(たぶん。写真を当てたら後のことはどうでもいい)



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今回は以上です。



仕事や生活習慣がガラッと変わってきましたが、どこ鉄だけは今後も変わらず続けていきたいと思います。



写真をくださった皆様、お待たせしてすみません!



ではまた!