遅れ馳せながら、明けましておめでとうございます。
皆様の2022年が、素敵な年になりますように。
(数年ぶりに行った長野・善光寺にて)
さて大晦日まで舞台がありバタバタしておったので、こんな時期になりましたが公演(明後日の方向『赤目』)について振り返っていきたいと思います。
まず何より、公演にご来場くださったお客様、配信でご視聴くださったお客様、本当にありがとうございました。
楽しんで頂けていたら、また少しでも特別な感覚を味わって頂けていたら幸いです。
(舞台写真は全て、保坂萌さん撮影)
「明後日の方向」は、5年前まで時間堂で一緒にやっていた演出家・黒澤世莉氏が新しく立ち上げた集まり(注:劇団ではない)で、このような理念を掲げています。
(公演特設ホームページより)
当日パンフレットのごあいさつ↓
さらにもう一つ大事なこととして「演出家が上で俳優が下というような関係性ではなく、スタッフも含めてフラットな関係性のなかでお互いを尊重し、意見を交わしあい、演劇作品づくりをやっていく」そんな環境をつくることも目指しています。
僕はこの理念を「素敵だな」「大変そう」「面白そう」といった感覚で、現実的にどうするかは置いといて賛同し参加させていただきました。
さて、実際にやってみて、、、
オンライン稽古で関係性はそれなりに深まっていたとは言え、集まってから2週間という時間内で慣らし運転からシーン作りまで一気に進め、さらに劇場入りしてから本番の動線や居場所を改めて確認し、音楽隊のお2人が加わったシーンを稽古し、さらに演出も変化していったり……
極め付けは斎藤憐さんの戯曲『赤目』。
上演時間2時間45分の三幕物。
読解・解釈だけで何時間話しても尽きないような怪物戯曲。現代にも通ずる(むしろ今だからこそ炙り出されることも多い)骨太な骨格。
さらに劇中劇(紙芝居・漫画)のシーンでは多くの百姓たちが出てくるので、全員が役を兼務しながら紙芝居の動きや振り付け徹底的に叩き込んで……2週間の稽古期間でこれやります?正気です?
(もちろんコロナ禍における感染対策は徹底的に。自分史上初、顔合わせから解散まで一滴たりとも共演者と酒を酌み交わすことがなく)
…正直に言って通常の公演より大変だった気が。
そんな中でも、目指す方向での収穫は多くあったと思います。
まず、俳優陣(スタッフさんも含め)みんなの意見をみんなで聞いて話して、作品づくりに大いに生かせたこと。
東京以外の地域の俳優さんたちと一緒にできたこと。
子育て中の俳優さんやスタッフさんも、スケジュールをやりくりしながら(大変だったと思います)一緒にできたこと。
(個人的には今回の座組の中に若い人がたくさん居たこともすごく嬉しかった)
もちろん課題・要望なども「終わりの会」でたくさん上がりましたがここでは割愛します。
何より、そういう事をみんなで思い思いに話し合える場があること自体がとても大切なこと。
明後日の方向は、良い方向へ進み始めたのではないかと思います。まだスタートしたばっかりだけど。
さて、このような壮大で大変な公演に挑んだ頼もしい共演者たちについて書いてみようと思います。(ネタバレあり)
まずは、たろちゃん(高田遼太郎さん)。
忍者でのキレのあるアクション、それと裏腹に2つの奥さん役ではたろちゃんの人柄から滲み出る可愛さがとても印象的でした。すごく真面目で優しい、物腰もやわらかな青年。今回の出演者で唯一安心できる存在(笑)
周りの人達があまりに自由奔放な削り合いをしている時の「ひどすぎる…」などとボソッと言うツッコミも冷静で最高でした。
普段は新潟で正社員として働いているため、対面稽古で集まってからも平日は新潟に戻ってお仕事をするという大変なスケジュール!すごいです。
もっと話したかったけど、新潟で再会できる日が来る気がするので、その時を楽しみにしています。
カミケン(上条拳斗さん)。
福岡から見参の若者。オンライン稽古から爽やかな笑顔が印象的でしたが、対面稽古が進むうちにやんちゃな本性を露呈。特にりょんりょんとの絡みが舞台上でもオフでも絶妙で「この救いようのない絡みには絶対に入りたくない」と思っていました(笑)
お芝居に関してはもちろん真摯で遊び心もあって。僕のシーンにアドバイスをしてくれて早速取り入れたり、2人のシーンで距離感について提案したら、シーンごとグッと引き締まるような芝居を見せてくれたり。
九州で再会する機会があったら、カミケンに妙なイジリをされないように九州の怖い先輩演劇人を連れて行こうと思います。
蔭山ひさ枝さん。
静岡からの参戦。「人宿町やどりぎ座」という劇場の支配人をされています。
初めて会ったのはもう10年前、時間堂のツアー公演で、ひさえさんが当時運営していた劇場「アトリエみるめ」で公演をやらせてもらった時ですね。
その時に「現地の俳優たちが読む短編リーディング」に出て頂いたんですが、声も姿も弾むような可愛さを持っている人だなと思いました。
今回さらに思ったのは、身体の使い方がすごく上手いというか、魅力的な人だなと。人形劇の人形役は本当に見事で、赤目(ウサギ)役もひさえさんの牙城を崩せる者は誰も居りませんでした。
あと忍者の師匠もかわいくて好き。というか今回一番多くの役を演じたはずです。すごい。
そうそう、今回重要な小道具となった新聞紙であらゆる小道具をつくり出す天才職人でもありました。ナイフとか農具とか、何も見ずにどうやってそんなに精巧に作れるの?と驚きばかり。
スーパーひさえさんです。
今度は静岡で、やどりぎ座で何か一緒にやりたいな。
のむらくん(野村亮太さん)。
お芝居を見たことはあったけど、ちゃんと話すのは初めてでした。
対面稽古が始まった当初から、共演者への絡み方が常軌を逸しているというか、僕には絶対発想も実行もできないような事ばかりやっていて「なんなんだこの人は!?」と思いました。
しかし芝居についてはすごくしっかりした考えを持っていて、深くうなづいたりハッと思わされる事も多く。
あと悪ふざけをやめて普通にやると普通にすげー良い芝居をする(笑)
面白い人だ。
千秋楽後に年齢を聞いたら、思っていたより随分若くてそれもまた驚き。
現代劇でガッツリ絡んでみたい。
野村君の家に集まってみんなでゲームをする会も楽しみです。
たく(國松卓さん)。
時間堂の劇団員として一緒だったけど、期間も短く一緒に舞台に立ったことはほぼなくて、改めての初共演みたいな感じでした。
卓は、愛嬌があるんですよね。稽古初期、最初のシーンで既に汗だくになりながらりょんりょんに抱きついていったシーンは良い思い出です。
あとは紙芝居のシーンで子供たちが全然話を聞いてくれなくて泣いたり(笑)
そんな彼も本番では、物語を牽引する重要な役(紙芝居の吉やん)を立派に務め上げたと思います。特に三幕で三郎への思いを話しながら、自らの不甲斐なさを吐露するシーンでは、見ているこちらも胸がグッと締め付けられる思いでした。
時間堂の最終公演「ローザ」ではダブルキャストで同じ役をやったり、今回の「赤目」台本では【吉やんと松造は同一俳優が演じる】と指定があったものをそれぞれに分けて演じたり、卓とはそういう縁が深いようです。
りょんりょん(渡邉りょうさん)。
時間堂「テヘランでロリータを読む」以来およそ9年ぶりの共演。その間に彼は数多くの大きな舞台で活躍されていたので、久々の共演が楽しみでした。今回もさすがの経験値と説得力で、オンラインでも稽古場でも頼もしくみんなを引っ張ってくれて。
舞台上での居方がスマートで格好良い。
ただ昔と変わらないところもあって、稽古場での悪ふざけや、カミケンやももちゃんとの絶望的なやりとりが最高でした。
(りょんりょんの信直が愛嬌ありまくりだったので、信直への復讐を誓った松造を演じる僕としては「あれは別の人だ」と密かに言い聞かせていました)
またガッツリ絡む役で共演したいものです。
ももちゃん(百花亜希さん)。
時間堂やqui-co.(キコ)などで、何度も共演させてもらっていました。
可憐だけどパワフルで、何しろすごく華があります。しかし普段はドがつくほどにストイックで。本当に素敵な俳優さん。
今回は2幕でパートナー(ジジイと子供ですが)として一緒にやる事ができて、とても楽しかったです。
何というか、話し合ったりしなくても信頼して委ねられる相手。とは言えウカウカしてるとももちゃんのパワーに呑み込まれてしまうので、油断は決してならない怪物でもあり。刺激的でした。
一方で稽古場や楽屋での、ももちゃんワールド全開のトーク(独り言のダダ漏れ)には完全に呑み込まれ敗北。
そうそう鍋料理を食べさせるシーンの稽古で、僕が適当に新聞紙を丸めて作った鍋ではひどくマズそうに仕方なく食べていた平太(ももちゃん)が、ひさえさんに作ってもらった鍋を出したら驚くほど美味しそうに食べてくれました。なんと現金もとい素直な子や。
またぜひ共演したいですし、その時は僕もさらにパワーアップしていたいと思います。
最後に直江(直江里美さん)。
時間堂時代、さまざまな経験を共にしてきた仲間。
今回は子育てをしながらの参加で、しかも主役の三郎役。本当によくやったと思います。成長というより、覚悟とか気概を感じました。すごい。
(偉そうな先輩口調になってしまうのは直江さんが進んで後輩枠に収まろうとするからなので悪しからず)
卑屈もここまで来ると唯一無二の面白キャラになることを証明し続ける直江さん、今回参加が決まった当初は「私なんか百姓役を2つ3つやる程度の出番だと思っていた」そうです。何を言ってるんだ。
カーテンコールで1人最後に残る(主役ですから)ことが耐えられないなどと言い出し、全員の驚愕を一身に集めていました。まったくもう!そのメンタル逆にすごいわ!
戯言はさておき、
三郎に負けないくらい、もがきながら苦しみながら、彼女はこの役に立ち向かっていったのだと思います。その姿こそが今回の「赤目」の三郎です。
劇中最後のセリフを三郎の背中越しに聞いたとき、僕は心の底から奮い立ちました。
そして演出助手ののゆ(植田望裕さん)。
稽古場から本番まであらゆるサポートをしてくれただけでなく、稽古を見て毎回いろんな意見を言ってくれました。
良いところも気になった事も真っ直ぐ伝えてくれるし、仕事もテキパキとやってくれるのに「頑張ってる姿なんか絶対に見せねえぜ」とでも言いそうな、ツンデレとはまた少し違うけど本当に素敵なキャラ。ありがとう!
今回はオンライン限定(と言いながらゲネプロ後にも大変ありがたい感想・提案を言ってくれた)演出助手ヒザイミズキさん。盟友。本当に頼りになる人。
また一緒にやれる時はお互い一層歳やそれぞれの経験を重ねていると思うので、楽しみです。僕へのダメ出しがあまりにマシンガン過ぎて倒れそうなのですが、それを言ったらまた十倍くらいになりそうなので黙ります。
制作として、稽古が始まるずっと前から支えてくれた加藤仲葉さん、
ご自身の公演もあり多忙な中、制作のみならず稽古場でも貴重な意見をたくさん言ってくれたきよちゃん(谷川清夏さん)、
俳優としても制作としても、やっぱり絶大な安心感をもたらしてくれる中谷弥生さん、
頼もしい制作チームの皆様、ありがとうございました!
また、多忙なスケジュールの中でこの作品(集まり)のために力を出してくれたスタッフの皆様も、ありがとうございました!
さて黒澤世莉さんとはもう長い付き合いなのですが、考えている事とか行動力とか、いつもすごいなと思っています。僕には思いつきもしないし、できないことばかり。
一方で「やってみてから考えよう」みたいな大胆な身軽さもあって。
だからこそいつも、僕のような形にはまりがちな人間にとっては価値観が大きく揺さぶられて、大変だけど楽しいのです。
今回はとても個性的なメンバーが集まって、みんなが思い思いに話すことにもたくさん刺激を受けたり「ちゃんと考えを持っていて、それを話せて凄いなあ」と思うことしきりだったのですが、それには世莉さんがつくり出す現場の雰囲気というものも大きかったんだなと思います。
本当に良い現場の雰囲気のなかで、演劇(作品づくり)ができたなと。感謝。
今後の明後日の方向の活動がどうなっていくのか。どうぞ楽しみにしていて頂けたらと思います。
大変長くまとまりもない文章になってしまいましたが、ここまでお読みくださりありがとうございました。
さて2022年。
僕個人としては、今年決まっている舞台は今のところ一本のみ(6月下旬)。
他にもいくつか新しい仕事が始まる予定なので、戸惑うことも多いはずですが真摯に楽しく向き合っていきたいと思っております。
今年もどうぞよろしくお願いします。
(…これでやっと鉄道の写真に向き合える…)








