もうすっかり新年度直前、いかがお過ごしでしょうか。
最近いちばんショックだったのは、今の家に住んでもう3年か、と思っていたら本当は4年経っていたことです。
思いがけない更新料を喫しましたが、それ以上に年月が曖昧になっているのが怖いものです。
そんな中で、隙間だらけなのにジメジメしている3カ月を過ごして参りましたが、僕にとっての大切なイベントに参加してきました。
アクターズワークス主催・武正晴監督ワークショップ。
事前に言われた課題は「参加者それぞれ自分の歌いたい歌を用意してきて下さい。オーディションのつもりで来てください」。
終わった今だから分かりますが、そこから数週間ワークショップが終わるまでずっと身体が震えていました。
歌うのは好きだけど、ほとんど訓練とかしてませんので。
僕が選んだのはソウル・フラワー・ユニオンの「満月の夕」。
阪神大震災のすぐ後、彼らが避難所で慰問コンサートを続けているときに作った曲です。
2011年に出演したキコの『Live Forever』という舞台でこの曲を知って、とても好きだった(その時は友人の岩☆ロックさんのおかげで彼らのライブにも行くことができました)のと、
絶対に緊張するであろう場面で、気持ちが内側にばかり向くとたぶん上手くいかないだろうと思って、少しでも外へ向かうような歌、ということで、この素晴らしい「祈り」と「祭」の歌を選びました。
せっかくだから自分でペケペケのギターを弾くことにしました(そのことも緊張感のアップに貢献)。
で、まあワークショップがはじまって、参加者の皆さん一人一人歌いまして。ミュージカルナンバーからポップス、フォーク、童謡や民謡まで皆さん様々な歌をご用意しておりました。
初対面だらけの中で自分の用意した歌を歌うという(おそらく参加者全員にとって)絶望的な時を過ごし、その後にはじまったのが、
「状況設定と登場人物をつくり、一人ひとりが歌を順番に歌って(セリフのように回していって)、シーンを作ってみる」というワーク。
初めての試みでしたが(監督も「何が起こるか全く分からないね」と言っておられました)、セリフを使った芝居と本質は通じていて、内面の感情を大事にしすぎると歌が届かなかったり、歌詞に囚われすぎても芯がブレたりします。
普段の芝居の時のクセが、セリフのように手軽に捏ねくり回せないからこそ浮き彫りになるような。
逆にしっかり芯を持って(歌の世界観を持って)ちゃんと相手に届けるよう歌うと、上手いとか下手とか通り越して相手役や観ているほうにも伝わってくるものがありました。
今までの芝居に対する意識を、一旦取り出してみて、磨き直すような感覚の作業です。
3日間のなかでだんだん人数や小道具など増やして、歌と相手と食べ物と、一体なにが大事なのか、カオスのような時間もたくさんありました。
個人的には、うまく反応できたところもあれば、持ち前の淡白さ(臆病ともいう)を発揮して相手に影響を与えることをサボってしまい後悔することも。
もっとネットリといきたいな。
せっかく今まで演劇の稽古場で「変態」や「変質者」「気持ち悪い」とか言われてきたんだから。
新しい場所に怯んで、ヨソ行きの姿勢でやってどうする。
この3日間で「歌う」という事に対する意識が変わりました。
もちろんミュージカルとかオペラとかは別ですが。
酔っ払ったカラオケ以外で人前で歌うことの耐性もだいぶ付いた気がします
監督、アクターズワークスの皆様、参加者の皆様、ありがとうございました。
「満月の夕」を選んで本当によかった。この歌に何度も助けられました。
さて。
残念ながら今回の経験を生かせる場は今のところまだ予定にありませんが、そのうち来るか行くでしょう。
それまで日々をどう過ごすか。
そのへんの気づきも今回もらったので、真面目とイタズラ心を都合よく回して、何とかやっていこうと思います。