2015.5~ コラボ・リレー「秘密の女子会♪」は別館/書庫内限定記事に移動しました。
ご覧になりたい方は別館案内をご参照ください。
よろしくお願いいたします。
2015.5.9 霜月さうら拝
卒業論文研究計画書
LORY’S MAJESTIC ENTERTAINMAENT ラブミー部所属 琴南 奏江
『ラブミー部員1号ににおける愛の再獲得ついて』
<はじめに>
日本の芸能界を支える芸能プロダクションLORY’S MAJESTIC ENTERTAINMAENT(以下LME)は「愛される人を育てる」目的でラブミー部門を新設した。LMEの社訓は愛であり、愛の欠落者ではあるがタレントの原石として捨て置くには惜しい人材の育成を目的としている。現在ラブミー部門に在籍者は3名おりラブミー部の活動を通し愛を実感できることをもってラブミー部門を卒業させたいとLEMの宝田は述べている。
愛情は人間が社会性をもって生きていくのに必要とされる感情であり、その感情の獲得は人生において重要なポイントであることは万人が知っている事実である。
<研究の目的>
ラブミー部員の愛の再獲得の過程および結果を検証し、ラブミー部の人材育成効果を明らかにする。
愛の欠落者である所属部員の愛の再獲得過程を明らかにすることで、ラブミー部の拡大ないしはより有効な教育カリキュラムの構築が可能になると考える。 LMEの利益、ひいては日本の芸能界およびそれを視聴することで全国民の利益につながる。
<研究方法>
ラブミー部在籍タレント最上キョーコ(芸名:京子)を対象とし、対象の活動記録の内容検討を行い愛情の再獲得過程を明らかにする。仲村○樹著漫画スキップ・○ート内で使用されているセリフおよびモノローグ内から愛情に関連するキーワードを抽出し逐語録を作成する。また、漫画である文献内にあるイラスト上の表現で赤面、トーン処理など感情の揺れ動きを表現するコマの数および配置を分析する。
<倫理的配慮>
研究計画書に基づき対象に説明を行い同意を取る。(*拒否権はありません)対象者は匿名で扱い当研究で得た情報は当人の許可なく使用目的外で使用しない。当研究により今後のLME内での処遇に悪影響はないことを保証する。
<参考文献>
1)仲村○樹.(2002).スキップ・○ート![1].白○社
以下続刊は中略
32)仲村○樹.(2013).スキップ・○ート![32].白○社
33)仲村○樹.(2009).スキップ・○ート!ファンブック~LOVE ME!~.白○社
34)仲村○樹.(2013.1).スキップ・○ート!ACT.195.花○ゆめ.白○社.958(1):147-176
35)仲村○樹.(2013.2).スキップ・○ート!ACT.196.花○ゆめ.白○社.959(3):141-170
36)仲村○樹.(2013.3).スキップ・○ート!ACT.197.花○ゆめ.白○社.960(5):171-200
■□■□■□■□■□
「なななな、なにこれ~~~!!??」
「何って、研究計画書」
「なんで!どうして!?」
「…社長命令。私だってこんな結果の分かりったことを形式ばってやりたくはないわ」
「じゃあ、モー子さんなんで…」
「仕方ないでしょ?私そろそろ俳優部門に移籍したいって掛け合ったらラブミー部を卒業しなきゃダメだって言われて」
「卒業って…そんな~!私を置いていくなんてヒドイっ!!」
「別に今生の別れじゃないんだからいいじゃない。いい加減女優の仕事も多くなったし、ラブミー部の依頼だって受ける時間も取れないじゃない。正式に所属を変えてもらった方が都合がいいでしょ?」
「そうだけど…」
この子は何時の間にラブミー部に愛着を持ったのだろう?
最初は呪いのユニフォームとか言って、仲間が欲しくて私のことを引き込んだじゃない。
…正直ここに所属しても自分の力で仕事を得てきた自信はある。
最初は…そう、この子と獲ったCM。
演技の技術は認められても愛の欠落者と判定された私。
最初は不服だったし、個人的に愛を信じて無くても演技でどうにでもなると思っていた。男女の愛はもちろんのこと、家族愛、友愛…愛のつくモノを信じていなかったのに、私はどうして「演じること」を愛してやまないと思っていたのだろう?
恥ずかしくて煩わしいのに事務所のネームバリューや養成所の入学金免除など付属するメリットの大きさにここに籍を置いた。
初めてできた距離の近い同性と、私にかかわってくるこの子を最初は煩わしく思っていたのに寄せられた好意に私は初めて信用に足る友人を得ることになる。
…まだ、男女間の愛情については正直分からない。
きっと出会うべき人やタイミングが私にはまだ訪れていないんだろう。
でも、私はこの子を通じて「友愛」は実感できたと思う。そしてこの子が繋いでくれて、まだ気恥ずかしくて素直になれないけど信用してなかった「家族愛」も悪い物じゃないって感じることができつつある。
ほら?愛について語れるようになったじゃない?
だから所属について、ラブミー部の卒業について社長に掛け合った。私はラブミー部に入って十分変化した自分を知っていたから。
そしたら、返ってきた言葉はこうだった。
「最上君の背中を押してあげれればな」
社長の言わんとしていることは分かる。
過去『愛は破滅と絶望の序曲』と言い切ったこの子。
事あるごとに自分と『愛』は相容れないものと形容して否定し続けているけれど隣にいる私には良く分かる。
私と同じ演じることに目覚めて
自分の役柄を愛して役を育んで
人とのつながりは元々大切に礼儀を重んじる
そして、いつのころからか悲壮感と同時に内側から輝く様な美しさや微笑をこぼすようになった。
それは私にはまだ訪れていない『恋』であることはすぐに分かった。
悔しいほどにすごいスピードで磨かれていくキョーコ。なのに本人は気づかないし、立ち止まっては打ちひしがれている。
もういい加減自覚してちょうだい?
「とにかく!私はここを卒業したいの。社長から卒業試験として卒業論文の提出を指示されたわ」
「それがこれ?」
「そ。ラブミー部は愛の欠落者が愛をとりもどすために作った部門でしょ?」
「…でも、卒業したいのはモー子さんなのになんで私が対象なの?おかしくない?」
「おかしくないの。私自身はOKなんだけど、アンタを引っ張り上げることが卒業試験なんだって」
「…わかんない。どういうこと?」
そうでしょうね、訳わかんないわよね?
私もそうだもの。
「…いい加減、アンタも自分の恋心を認めなさいってこと」
「こいっ!?やだ、モー子さん、私そんなに愚かじゃないわ…」
しゅんとうなだれたキョーコを見てため息がでそうだった。
であった頃だったら全力で否定してカラカラと笑っただろう。
この反応自体がキョーコの変化だって分からないのかしら?
「この研究、実行したらあんたどうなるかしらね?」
「どうって…」
「丸裸にされたい?あんたのココロ」
「この計画書、敦賀さんにも渡してあるから」
「ええっ!?なんで、どうして!?敦賀さんはラブミー部と関係ないじゃない!!」
「そんなに怒らなくたっていいでしょ。社長命令よ」
「それとも知られて何か不味い事でもあるのかしら?」
「………」
頬を赤くしたかと思ったら、すぐさま絶望的なほど青ざめた表情になったキョーコ。
とにかく追い詰めてでも白状させてしまわないと。
「…なに?そんなに敦賀さんのこと嫌いなの?尊敬できる先輩って言ってたじゃない」
「嫌いだなんて、そんなこと」
「無いなら好きなの?」
「嫌いじゃないなら好きかだなんて、モー子さん極端…」
「これを実行したら、アンタのココロは第三者の目から見て丸裸よ?そしてその結果は書面に起こして提出されちゃうんだけど、いいのかしら?」
「なっ…、それこそプライバシーの侵害だわ!」
「…倫理的配慮の所みなさいよ。配慮なんてないんだわ、拒否権なし」
「………」
沈黙。
仕方ないわね、ほんとに手がかかる。
「こんなの、書くまでもないわ。アンタが一言ちゃんと相手に好きだって伝えられればいい」
「…モー子さん」
「私は、キョーコのこと……好きよ」
演技のつもりで、さらりと口にするつもりがやっぱり突っかかってしまうのはこの子だからか好きという言葉だからか。
「ね?私はここでこんなに自分が変わると思ってなかった。こんな恥ずかしい事、口にできるなんて思ってもいなかった。でもそれ以上に変わったアンタに驚いている」
「いい加減素直になりなさい。敦賀さんが可哀そうだわ」
「え?」
「~~~ああ、もうそうだったわね。自分のことですら手一杯なんだから相手の反応何てこれっぽっちも分かってないわよね」
「…何の話?」
「とにかく!このあと敦賀さんがここに来るから」
「はっ!?」
「ちゃんと伝えなさい?」
「なに…を…」
「でないと、コレ完成させて社内にばら撒くから」
「なっ!?」
「一緒に卒業しましょ。外で待ってるわ」
コンコンとなったドアにキョーコの体がビクリと揺れた。
時間通りね、無遅刻キングさん。
「お邪魔するよ?琴南さん」
「はい、どうぞ。私は部屋を出ますので」
私の意図分かったかしら?
なんだかんだ言ったって、この先輩だってラブミー部に入る資格を持っているのは私だって知っている。
「分かってますよね?ちゃんと捕まえないと実行しちゃいますから」
「…まいったね。頑張るよ」
困ったように笑った敦賀さんの瞳は何か固い意志が感じられて、安堵した。
入れ違いに部室を出てドアを閉める。
チラリとのぞいたキョーコの後ろ姿、耳が真っ赤に染まっていた。
さてキョーコ。
これからが貴女の卒業試験。
上手くクリアしてね?
でないと、研究計画実行しなくちゃならないんだから。
「卒業できそう?」
「…知りません」
「したくないの?」
「そんな事…ありません」
「させてあげようか?」
「………」
「………」
「卒業って…」
「うん?」
「させてもらうモノじゃ、ないですよね?」
「…そうだね」
「自分でするもの、ですよね」
「……」
「敦賀さん、私…」
「……なに?」
「……………………………………好き…です」
4月1日付で、私とキョーコは俳優部に籍を移した。
私の卒業論文は計画書の段階で終わることができた。
~~~~~~~~~
メロキュン皆無…!!!課題違反じゃない、コレ!?
しかも、論文というか計画書の段階で偽物いい加減もいいところ。
研究所の卒論と題されたところで、本当の卒業論文みたいに堅苦しく蓮キョのあれやこれややキョコさんの恋愛過程をさらってみたら面白いかな?と思ったのですが、まさかの本気で書こうとすると数日ではとてもできず。
大学時代の参考書とか引っ張り出して、軽い気持ちで書こうとした私がバカでした!!
論文とか研究とかもうやりたくないってのに~~!!
課題と研究目的は端的な言葉で!って参考書にあるけどもとより文章が長くて装飾の多いワタシにはそれが一番難しい!!いろいろニュアンスを伝えようとボリュームは増すけど話はすすんでないっていうアレですよ。
そんな感じで計画書すらちゃんとまとまってないし的を得てなくてダメダメです。雰囲気だけ(それすらないかもしれないけど)味わっていただけたら…と思います。
っていうか当たり前だよね?普通研究とか卒論とか年単位で計画立ててやってくものなのに数日でやろうって方が無理があるんじゃん!しかもアドバイザーの先生とかなしでさっ。
…あと正直なところ、課題の幅が広すぎて何をどうやって書けばいいのか全く見当がつかなくなったのも事実で、他の研究員様の作品を見ては「そういうことか!!」と思い自分が書こうとしたものがとんでもなく見当違いと自覚いたしました。…そして見当違いなまま、お題違反してしまいましたけどね。
私はメロキュン研究所には1月から参加させていただきました。3ヶ月と短い間でしたが研究所を通じて交流も広がりましたし楽しい課題の数々、本当にお世話になりました!
私も末席ですが所属させていただいているメロキュン研究所が、3/31に閉鎖することになりました!最後は研究員一同でお祭りの様に盛り上げていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。
素敵な作品の宝庫です!ご存知の方がほとんどだと思いますが、まだ知らないわってモグリなアナタ!
是非、案内のリンクから素敵な旅に出てくださいね!!
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
祝・蓮キョ☆メロキュン推進!「ラブコラボ研究所」
開設一周年!メロキュン大感謝&終了祭!
ラブコラボ研究所最終企画☆絶賛発表中!
お題第十弾『メロキュン☆卒業レポート』
ピコ様の案内→ http://ameblo.jp/picopico5/entry-11494406981.html
まだまだ、バーでの熱い夜は続きます!
お題第九弾『メロキュンカフェバー☆オープン!』
ピコ様の案内→ http://ameblo.jp/picopico5/entry-11467317861.html
これぞメロキュン!な研究所のメイン研究も完成間近!!華麗にラストラン中です!
蓮キョ☆メロキュン推進!『ラブコラボ研究所』リレー企画「いつも俺の腕の中に」←リンク
ピコの案内→ http://ameblo.jp/picopico5/entry-11272379246.html
遅れ気味ですが、私も卒業レポート頑張らなきゃ!
なんとかすべり込できるように、悪あがきします!!
こんにちは!
霜月さうらです。ここのところ、のんべんだらりと締まりなく生活しております。
さて、タイトルにある通り思い立ちましてブログ名を変更します。
妄想最終処分場(仮称)改め
妄想最終処分場
ええ、だからどうしたって感じですよね?(仮称)を取りました。
最初読み専門としてブログを作った時にどうなるか分からないから~と(仮称)を付けてたんですが
変更する予定もないし、ソロソロいいかな…と。
特に何が変わる訳じゃないので今日も明日も通常運転です!
今後もよろしくお願いします~
霜月さうら
メロキュン企画第9弾!
☆蓮キョ!バレンタイン&ホワイトデー連動企画☆
テーマお題『メロキュンカフェバー☆オープン!』
タイトルで『メロキュンカフェバー』のスィーツとカクテルのメニューを作るのが今回のお題です。
バレンタインネタがスイーツ、ホワイトデーネタがカクテルです。
バレンタインは乗り遅れてしまいましたので、ホワイトデーネタにはチャレンジしようと思います!
メロキュンカフェバーのご案内はこちら→☆
(ピコ様の案内になります)
こちらは同じくメロキュンカフェバーに提出した『シンデレラ 』、『スクリュードライバー 』続きになります。
急におもいついて、滑り込みで提出です。
いつも子ども扱いの自分
くれるキスはいつも甘くて軽い
その先を教えてくるのはいつだろう?
柑橘の甘さと隠れたアルコールに酔わされて
帰りたくないと口にしたら、貴方はどんな顔をするだろう?
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
一緒にお酒を飲みたいと
共にいる時間を共有したいという言葉に嬉しさ以外の何もない
アルコールに潤んだ瞳に、思わずキスして後悔した
いつも溺れるのは俺の方
少女だと思っていた君に
欲望を抱く自分を罪だと思っていた
ニコラシカ ~決心の先~
交わしたキスは柑橘の香りがして、それ以上に甘い香りに酔いが深まる。
絡まった視線に熱がこもるのはアルコールのせいだけだろうか?
蓮は手に触れている頬の熱が上がったような気がして、キョーコから目が離せない。
(少女だと思っていたのは俺の思い込みか…)
元気で可憐な女の子と思っていたキョーコは時折目を離せなくなるような色香を漂わせる。
最初に贈ったカクテルのシンデレラ。メルヘンが大好きなキョーコになぞらえたのはカクテルの名前だけじゃない。
『夢見る少女』…シンデレラの持つ意味もまた、蓮のキョーコに対する気持ちをかたどったものであった。
それなのに、今目の前にいるのは大人の女性へと羽化しようとする危うい美しさを持ったキョーコで。
自分の手で開花させたいのに、冒しがたいと思うのはなぜだろうか。
囚われたように外せない視線を先に切ったのはキョーコの方だった。
困ったように彷徨う視線は、半分に減ったオレンジ色の液体を満たすタンブラーで止まった。
「…私ばっかり」
視線を落としたキョーコがポツリとつぶやく。
「なに?」
気持ちを受け入れてもらえてから、まだ唇しか触れていない。
手に入れる前から、すべて自分のモノにしたいと渦巻く雄の本能を見咎められたような気がして蓮は少し怯んだ。
「敦賀さんは、飲まないんですか?」
「え?」
「だって…」
テーブルの上にあるのはスクリュードライバーのタンブラーが一つ。
「私は、一緒に楽しみたいって…いいましたよね?」
キョーコがリクエストしたのはスクリュードライバー。半分に減ったレディーキラーの異名を持つカクテルを前にして、シンデレラ同様にこのカクテルの持つ意味が脳裏によみがえる。
(カクテルの名前すら知らなかったこの子が、意図してるわけではないのもわかるけど…)
スクリュードライバーは『あなたに心を奪われた』
勝手に連想した愛の告白にしか聞こえないメッセージ。
他の男から受け取るなんて許さない。二重の牽制をかけた俺の心などこの子は知らないんだろう。
(君のリクエストに勝手に喜んで、君に提供するのに俺の気持ちを込めて)
自分は何て勝手なんだろう。
心だけでなく全てを奪って自分のモノにしてしまいたいだなんて。
「…敦賀さん?」
止まった蓮にキョーコが顔を上げた。
「飲みませんか?」
「…何を?」
「カクテル、何か作ってください」
「まだ飲みたい?」
あまりアルコールには強くないだろうキョーコに出せる軽めのカクテルを考えることで、さっきまでの不埒な考えを散らす。自分の思考に入りこんでいた蓮は、キョーコの言葉を表面だけ聞き取って食い違った会話に気が付かない。
「私のじゃなくて、敦賀さんの…」
(あ…)
指摘されて、キョーコと一緒にいるのに自分の脳内に閉じこもっていた自分に気が付いた。
視線の先でくしゃりとキョーコの表情がゆがんだ。
「飲みたくないですか?」
「え?」
「飲まないのは、私を送るため?」
思いもかけない方向のキョーコの言葉に、蓮はすっかり失念していた。
一緒にアルコールを楽しみたいと打ち明けたキョーコ。
なのにノンアルコールカクテルしか口にしていない自分。
(それを、この子ははどう理解している?)
「…飲んでもいいの?」
探るように聞き返した。
「一緒に楽しみたいって、言いましたよね?」
「飲んだら、送れないよ?」
意を決して、それでもできる限り自然に口にしたその言葉。
返ってくるキョーコのセリフに息をのんだ。
「…泊まっちゃダメ、ですか?」
目の前で真っ赤になってつぶやく彼女にようやく鈍った思考が動き出した。
真っ赤になってうつむくキョーコは、『泊まる』の意味を正確に理解しているのだろう。
「俺の飲みたい物、作っていい?」
きっと彼女に許しを請う自分の顔は男のそれになっているんだろう。
俯いたまま頷くキョーコに蓮は少しの安堵をもちつつ、リキュールグラスをテーブルにおいた。
シンデレラを作った時に残ったレモンをスライスして、ブランデーと砂糖を用意する。
目の前で始まった作業にまだ頬が赤いキョーコは動き回る蓮の指先を追いながら、しだいに何が作り出されるのかじっと見ていた。
琥珀色のブランデーが注がれたリキュールグラスの上に、蓋をするように乗った輪切りのレモン。
その上にこんもりと盛られた砂糖がまるでグラスの上のつばの広い帽子のようだ。
「…これもカクテル、ですか?」
「ニコラシカ。出来上がってはいないよ?」
液体はブランデーのみ。混ぜる過程もなく蓮の前に置かれた奇妙な格好をしたグラスにキョーコは蓮とグラスを交互に見比べた。顔の赤みはだいぶ引いている。
一呼吸おいて、蓮はキョーコに話し始めた。
「カクテルって、それぞれ意味のある言葉が当てられているんだ」
「言葉?」
「そう。花言葉とか、宝石言葉…みたいなもの」
そう言われて、キョーコはああと理解したようだった。
「君に用意したシンデレラは『夢見る少女』。名前の由来だけじゃなくて、最上さんらしいかなと思ったんだ」
「……私って、そんなイメージですか?」
子供っぽさを気にしたキョーコは少し複雑そうな顔をした。
お姫様と思ってた少女は大人の色気を纏い始めていて、真っ赤になってうつむいた姿に蓮は自分の中で虚像を作っていたことを思い知らされていた。
「次にリクエストされたスクリュードライバーは『あなたに心を奪われた』」
「えっ!?」
「君がこの意味を知ってるはずがないのにね。複雑で…嬉しかった」
「……」
「俺以外の男に頼むのも、受け取るのもダメだって言ったもう一つの意味、分かった?」
「…あのっ」
「作った俺の気持ちも同じ。ずっと前から…君に心を奪われている」
ダメ押しのように、愛の告白を続ける。
一度落ち着いた頬の赤みが、また一段と濃くなるのにもう、溢れた気持ちは止まらなくて。
心だけじゃ満足できないと醜い思いさえ、隠すことすらできなくて。
「…敦賀さん、じゃあ、これは?」
自分の目の前にあるカクテルを見やって、キョーコは小さく疑問を口にした。
グラスの上に乗ったレモンを二つに折って蓮は口に含んだ。
レモンの酸味と砂糖の甘みが口に広がっったところで、グラスのブランデーを一気に煽った。
ぽかんと俺の行動を見ていたこの子に一瞬怯んでしまって、誤魔化すようにキスをした。
レモンの酸味と砂糖の甘みとブランデーの香り。
触れるだけのキスでなく開いた唇の隙間から舌を差し入れ、驚いたように逃げる舌先を絡め取ればブランデーの強いアルコールが舌に染みたのか、わずかにキョーコが顔をしかめた。
「勢いが欲しいだなんて、情けないけどね」
ようやく解放されたキョーコは蓮の口にした強いアルコールの香りと、初めて与えられた深い口付けにくらくらする頭で蓮のつぶやきを聞いていた。
「スクリュードライバーじゃ足りない。心だけじゃ…」
「…えっ!?あのっ…」
すでに真っ赤な彼女を腕に閉じ込めて、耳元で囁く。
(泊めてと言ったからには、遠慮はしないよ?)
「俺に全てを奪われて?」
結局、ニコラシカの意味は教えなかった。
ニコラシカは『決心』。
拒絶に怯えた情けない自分を後押ししてくれたのも、柑橘系のカクテルだった。
<カクテルレシピ>
~ニコラシカ~
レモンの帽子をかぶったようなカクテル。シェイカーやミキシンググラスなどで材料を混合して完成させるのではなく、口内で混ぜることで完成させるためニコラシカは未完成の状態で客に提供される。口の中で好みの味わいのカクテルをつくりあげる。いわば参加型のカクテル。
ベース:ブランデー
材料:ブランデー、スライスレモン、砂糖
飲み方:砂糖を乗せたレモンを二つ折りにして砂糖ごとレモンをかじる。口の中でほどよい甘みと酸味がでたところでブランデーを含む。
~~~~
あれ!?書きたいものがだいぶズレた…
なんだか、ステップアップできない恋人関係に焦れたヘタ蓮の話になっちゃったよorz
結局桃風味が書きたかっただけかよ自分!!
え~と、ニコラシカは完全なる私の好みです。好きなんですが、これを飲み始めるのはすでに泥酔の域…。
ニコラシカ好きなので、カクテル言葉に無理やり絡めてシンデレラ・スクリュードライバーとくっつけてみました。ものすご~くお粗末様でした。
さて、紆余曲折ありまして…
というか、もっと早くにネットで調べてたら一発だったのに!自分のアホさ加減が悔やまれます…
さて、我が家で人気のはんぺん妄想、ネタの原型とついに初対面!
北海道~関西までは工場のある会社の製品だったので、本州住まいの方はゲットの可能性大ですよ。
会社に問い合わせをして自分の行動範囲にある取扱している系列店を教えていただきました。
車が必需品の地方住まいの私ですが、それでも都市部に住んでますのでスーパーは何社かありまして取扱店は普段利用しない系列店ばかり。
でもなんと、通勤途中にあるお店がその系列店だったのでウキウキと買い物に行ったのですが…
1店舗目、そこの店舗ははんぺん取扱いなし!
なんてこと!はんぺんそのものを置いてないなんて。練り物コーナーに行って白くてふわふわで四角いアレが見当たらないと思ったら…orz
仕方がないので足を延ばして別の系列店にも行ってみました。
そこで会えましたよ!
無事ゲットです!ゆみーのん様の言ってたとおり袋の縁がピンク色カワイイ!
自分の妄想の産物なのにアレですが、今日の夕飯はニヤニヤしながら食べることになりそうです~![]()
裏面のお召し上がり方には
お吸い物、おでん鍋料理とありますが、あぶって醤油でとかフライパンでバター焼きとか、切れ込みをいれてハム、チーズ、ひき肉、焼き海苔、青紫蘇などを詰めてあげるのも美味しいとか、サイコロ切りにして野菜サラダにとちょっと面白いな?と思うようなメニューまで紹介されてます。
…まあ、うちではチーズ挟んで焼くと決まってますけどね!
~~~~~
追記:
雪花さんは袋状に切ってチーズを入れて、トースターでこんがり~
大変美味でした!山芋入りでふわふわもっちり~。
帰ってきた白くてふわふわ。もう、はんぺん妄想は行き詰った時に書き散らかすシリーズになりそうですね。【完?】の表示は外すことにしますorz
~~~~~
*二人の会話は英語です。脳内で変換プリーズ。
またしても夜分のスーパーマーケットで繰り返されるバカバカしい会話。
ここ数日たまに訪れる異様な黒衣の二人に、店員は「またきた…」と視線をそらして仕事を続ける。
加工品のコーナーはあえて見ない様に買い物を済ませようとしていたセツカだったが、今日もまたそうはいかなかった。
「また見てる。もうっ、兄さんと一緒の時はアレもう買わないんだから!」
「だって、お前が売られてる」
「アタシじゃないもん!アタシの名前の商品ってだけでしょ」
「それでも、気分がいいもんじゃない。お前の名前のモノが人の手に渡るなんて」
「じゃあお店の人に予約しとけば。売約済みってシール貼ってあれば誰も買えないわよ」
「……」
セツカは冗談としてあしらったのにカインは無言でセツカから離れた。
カインの向かう先には「ひぃっ!」と怯えた顔のスーパーの店員の姿。
(冗談でしょ!?何やってるの!しかもいくつあると思っているのよ~~!!!)
焦ったセツカはあわててカインを追っかけて服の裾をつかむ。
「いい加減にして。毎日供給される生鮮食品でしょ!しかも兄さん、ただですらちゃんと食べないのに買って残すなんて許さないんだから!」
(もうっ、食べ物を粗末にするなんて許さないんだから!)
いくら美味しくても、毎日もどうかと思うしそれ以上に量が異常だ。
売約済みのシールが貼られた商品が並ぶことを想像したセツカは、とにかく兄のバカな考えを止めることが先決だった。
追いすがるセツカに足を止めたカインは、冷蔵の商品棚に並ぶ白くてふわふわな雪花とセツカを見比べている。
自分の額にも売約済みのシールをペタンと貼る兄を連想したセツカの中の人、キョーコは自分の額を保護するようにペシンと思わず手で額を覆った。
「…なんだ、それは」
「~~~なんでもないっ」
思わずやった自分の連想に、キョーコはセツカの態度を崩しそうになるがぷいっと不機嫌になった妹を装って切り抜けようとする。
「俺には言えないのか?」
(なんでそこ突っ込んでくるのよ、敦賀さん!!そこ、全然重要じゃないでしょ!?)
「…セツ、俺に隠し事できると思っているのか?」
セツカに向き直ったカインは、じぃっとセツカの顔を覗き込んで、額をおさえた手を握った。
「どうなんだ?」
(ココ外ですよ!?何考えてるのよ~~~!!!!???)
キスさるんじゃないかと思うほど近くまで覗き込まれて、視界の端にさっきの怯えた顔の店員が映りセツカは降参した。
「売約済みのシール貼る兄さんを想像しただけよ!そんなシールあったらアタシの額にも貼りそうだなって」
「そうか」
つまらなそうに、カインはセツカを解放するとそのまま加工品コーナーを素通りした。
「さすがに連日この量は無理だからな。お前を怒らせるのは好きじゃない」
(このぉ…めーいっぱい怒らせてるのはアナタですから!!!)
理不尽な発言に怒り心頭だが、このまま夜のスーパーで喧嘩を繰り返すわけにもいかない。
そもそも兄ラブなセツカはそこまで本気でカインに突っかかったりしないはずなのだ。
(もう、もうっ、もうっ!!!)
収まらない怒りを抱えたまま、今日は白くてふわふわなアイツを購入せずに済んだセツカことキョーコは今日こそ流されないんだから!!と半分意地で今日こそ安眠を確保すると決意していた。
****
いつもなら夕食を準備して、カインを先にバスルームに押し込むのだが今日こそは意地を張ったセツカは夕食後に酒を飲む兄を放置して早々にバスルームに引きこもった。
(もうっ~頭に来た!今日は私の方が先に寝てやる!寝癖で髪が跳ねてももう知らないんだからっ)
先に風呂から上がってカインをバスルームに押し込めて、怒りのままに超スピードで明日の朝ごはんの下ごしらえをしてセツカは早々にベッドに入った。
もう寝てますという意思表示のため、照明もカイン側のベッドサイドのランプ一つだけ付けて他は真っ暗に。
(洗濯ものだって明日でいいわ、何も困んないんだから!)
カインのベッドに背を向けて、深めに肌がけを被って顔を隠す。
バスルームから聞こえるわずかな水音を聞きながら、セツカは眠りに落ちるため目を閉じた。
(………どうしよう、怒りで寝れない)
今日こそ本気で先に寝ようと思っていたのに、横になればふつふつと白くてふわふわなアレになぞらえて起こった数々のエピソードが思い出されて目が冴える。
そんな中、水音が止んでガチャリとドアが開く音がした。その音にドキリとしたが、こうなったらもう狸寝入りでいいやと、セツカはゆっくりと呼吸することに意識を集中した。
暗い室内に驚いたのか、いつもよりゆっくりな動くカインの気配。
気配が自分のベッドサイドに移動し、覗き込まれているのがわかり、セツカはドキリとするが寝たふりを続けた。
「…セツ、寝たのか?」
小声でささやくような声が耳元を掠める。何があっても寝たふり!と決め込んでいたセツカは思ったよりも吐息がかかるくらい近くでささやかれた声も覚悟していたことで体の動きは見せないままやり過ごした。
(…ううっ、ドキドキするぅ。早く離れて!)
呼吸はそのままゆったりと、でも心臓だけはドキドキと早まる。
(・・・!!)
カインの気配は離れるどころか、次の瞬間には大きな手がすっと耳元から首筋に触れてきた。
キョーコは必死に寝たふりを続けるが、息が詰まりそうになる。
「セツ」
息遣いさえ耳朶で感じるほど近い距離で、艶を含んだ声で名前を呼ばれ、項に唇を落とされる。
(~~~!!寝てる相手に何してるのよ~!!)
「…下手くそだな、寝たフリ」
声と同時に肩を掴まれて、セツカは仰向けに体を返される。
もう寝たふりを続けられないセツカは、さすがに目を開いて文句を言おうと口も開きかけたが自分の上に覆いかぶさって迫ってくる夜の帝王カインバージョンに固まってしまった。
「!!!」
夜の帝王の色気を至近距離に浴びてフリーズしたセツカの首筋にキスが降ってきて、チクリと吸い上げられて痛みが走った。
「んなっ…!」
(こんな見える位置に!なんてことするの!?敦賀さんっ!!)
完全にセツカが抜けたキョーコが口をパクパクさせている。
「これならいいだろう?」
(何が!いいワケないでしょ!!)
「…売約済みのシール。お前が無防備に売られてるなんて許せない」
(売ってませんから!!何言ってるの!?)
「…セツ?」
意地悪く『セツ』と呼ぶ夜の帝王が、すっかりセツカが抜けてる自分を揶揄していることに気が付いたキョーコは悔しいやら恥ずかしいやらでキッとカインを睨んだ後に目を細めた。
「そうね、ここなら服着てても見えるし」
付けられた跡を指先でなぞって、セツカらしいセリフを返した。
「シール貼って満足した?もう寝ましょ、兄さん明日もあるんだから」
セツカをキープしつつキョーコはさっさと寝るためにこれで終了とばかりに体を返そうとした。
「………満足できない」
(もう~~!!!)
セツカになってしまうと、カインの我儘はほとんど叶えてしまわなければならない。
本日も安眠を取り上げられたセツカことキョーコは、日焼けでもしてこんがりになればこの我儘兄さんから解放されるかしら?など、ありえないことをぼんやりと考えるしかなかった。
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ちーん、今回も食べられて終了~。
ゆみーのん様、売約済みシール…やっぱりこっちに妄想が傾きました。桃脳な私をお許しください。
売約済み=キスマーク。もう本誌でもガッツリキスマークだから何の抵抗もなくなってきましたよ。
ああ、もう嬉しすぎて昇天しそう![]()
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何気にフリーとして初めてのいただきモノです!
新たに宝物庫を設立しましたので、納めさせていただきます!
大・大・大ファンのきらりhosiさんのブログ『KIRAKIRA☆ 』さんでめでたく10万ヒット記念リクエスト企画が開催されてまして、遠慮の欠片もなくリクエストをしてきました!(リクエスト受け付けは終了してます)
(あ、癖で『様づけ』じゃなくて『さんづけ』にしちゃった
ワタクシ様づけのかたとさん付けのかたが混在してますが、他意はございません。なんとなくのイメージで『様』か『さん』を使い分けちゃってるだけです…どなたも同じように尊敬してますのでお間違えなく~。)
太っ腹なことに、受けたリクエストすべて書かれるおつもりなのでしょうか…
スゴすぎます、リクエスト部屋のリストを眺めるだけでヨダレが!!(≧▽≦)
そして、味噌っかすですがイチ妄想書き殴り恥さらししている身としては、あれだけのリクエストを受けようとする姿勢に脱帽です~。あんなに集まったリクエストの数しかり、それを受けるお気持ちの強さしかり、実力しかり。
そんなきらりhosiさんの10万ヒットリクエスト部屋、なんとトップバッターでリクエスト成就していただいちゃいました!いいのかしら!いいのかしら!?
リクエストしたのはヒール兄妹好きーな私らしくカイ×セツな蓮キョ。
鼻血を吹く覚悟をしてお進みくださいませ
↓タイトル通り、私にとっても宝物です☆
感想も…とおもいましたが、皆さまに読んでいただくのが一番でしょうか?
私は悶絶しました!萌え死ぬかと思った!!!
きらりhosiさんは有名な作家さんなので、私が紹介するまでもなく皆様ご存知かと思いますが、一応まだ伺った事無い!ってモグリなスキビ二次ファンの方がいらっしゃいましたら是非ともお出かけくださいませ。
過去作品の特に長編はどの作品も展開や伏線処理がとってもとってもすごくて、もうすべてお勧めです!(私のイチオシは『不死蝶の女』です♪)