ACT205妄想【15】 | 妄想最終処分場

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10/19発売の本誌ACT205の続き妄想です


ネタバレものなので、未読の方、コミックス派の方はバックプリーズ!!




今回の続き妄想に関しては別途お知らせがあります。読み進めの前にこちらを一読の上お願いいたします→ACT205妄想についてお知らせ


※お知らせを未読の状態でのご意見・質問(特にクレーム)に関しては厳しい反応を返すやもしれません。必ずご確認ください。








それでは自己責任でご覧くださいませ↓














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ACT205妄想【15】



『『『それではみなさん、また来週のやっぱ気まぐれロックでお会いしましょう!』』』


エンディングのBGMが流れる中、ディレクターのOKが出てスタジオに一気に雑音が発生する。収録を終えたスタジオ内でスタッフがわらわらと撤収作業に入り始めている。


「敦賀さん、お疲れ様でした!出演ありがとうございました」

「いえいえ、こちらこそ。お疲れ様でした」

「また機会があったら是非!リーダーの恋愛相談にも乗ってやって欲しいですし」

「だからっ!」

「同じ事務所やもんなぁ。もっと交流はかれればいいのに」

「これからまた絡む機会があるといいんですけど、よろしくお願いします!社長の話とか、話題が尽きないっすよね」

「そうですね」


無事収録を終え、ブリッジロックの3人が蓮に話しかけてくる。対応をしつつも、蓮の視線は鶏のマスコットを追いかけていた。

突っ込まれるかと思っていた恋愛関係のトークはそこまで深くもなく、話の流れから蓮とブリッジロックの所属するLME社長の話題が中心となってしまったことに見守っていた社はほっと溜息をついていた。そつなくこなすことは今までの経験で知っていたが、どうにも蓮の恋愛絡みの話題は心配が尽きない。


「あ……すいません。失礼しますね。彼にお礼を言いたいので」


視界の端にスタジオの外に通じる扉の方に歩いていき見えなくなったふくよかボディに、蓮は話の区切りがついたところでとその後を追った。







「やっぱさぁ、キョーコちゃんってすごいよなぁ」


その後ろ姿を見送って慎一が今日の収録を振り返って漏らした。


「せやなぁ。キョーコちゃんなら零さずに視聴者がみんな期待する敦賀さんの恋愛事情に切り込むチャンスやったのに」


残念そうに慎一が呟く。


「仕方ないだろ。キョーコちゃん、すごい辛そうだったんだから…」

「リーダー、オロオロしすぎ!心配なのも分かるけど」

「ホントは今日の収録、そっからリーダーの恋愛相談にしようと思ったのに!」

「おーまーえーら―!!!」

「大丈夫大丈夫!リーダーも大概だけど、キョーコちゃんだって隣で自分のこと話してたって気づかないほどニブイ訳だし!」

「リーダーどうするん?お見舞い行くんか?」

「いや…俺が行っても迷惑だと悪いし…」


もじもじと煮え切らない態度の光に、雄生と慎一はため息をついた。


「敦賀さんにも教えてあげた方が良いのかな?バタバタで楽屋あいさつの後結局話せなかったし。兄妹みたいに仲がいいんだろ?あの2人って」

「…敦賀さん、さっき坊追っかけて行ったよな?中身、キョーコちゃんじゃないの知らないんじゃないか?リーダー敦賀さんにはそのこと言った?」

「あ…」


倒れたキョーコの事で頭がいっぱいになっていた光はすっかり忘れていたようだ。収録中は坊はフリップで会話をこなすためもしかしたらまったく気づいていないのかもしれない。そのことに気が付いた3人は、慌てて蓮の後を追うのだった。


「…なあ、敦賀さん、さっき坊の事『彼』って言ってなかったか?」


蓮を追いかける道すがら、不意に雄生が何気なく口にした。


「坊は男の子やから別に変じゃないんじゃね?」

「いや、だってお世話になったって言ってたし。坊の中身キョーコちゃんって敦賀さんは元々知ってるんだろ?」


ふと気が付いた疑問。石橋姓の3人は顔を見合わせた。







「鶏君!」


坊の後を追いかけた蓮は、スタジオ裏手の通路で声をかけて呼び止めた。最初は耳に入っていないのか気づくそぶりも見せずまっすぐ歩くマスコットに、少し大きめの声で呼びかけるとぷきゅっと鳴っていた足音が停止した。


「良かったよ、ここで会えて。ちゃんとお礼を言いたくて…」


蓮の方に振り向いた鶏は、当たり前だが表情は動かずつぶらな瞳で蓮を見ている。


「以前は相談に乗ってくれてありがとう。あの後、君のアドバイス通りに…」

「……あのぅ」


蓮が笑顔で喋りはじめた言葉を遮るように、おずおずと返された言葉。聞き覚えのない声に蓮が首をひねると、おもむろに鶏の両手が頭部をそっと持ち上げた。

その様子に蓮はドキリとする。顔を見せたくないと戯れに頭部を取ろうとした時に必死に抵抗してバリカンハゲになってたのではなかったのではないのか?


「申訳ないんですが、俺、今日急遽代役を頼まれたスタッフで…。坊役の子にご用ですか?」

「え…?」


鶏の頭の下から現れたのは、汗止めのタオルを巻いた中年男性。被り物越しではなく直接耳に届く声も蓮の知っている声とは異なっている。


「あ…すみません。人違いでしたか」

「いえいえ、着ぐるみですから。中身なんてわからないでしょう?」

「あの、じゃあこの着ぐるみの坊役って、スタッフがいつも交代で…?」


だとすれば蓮の相談に乗ってくれていた「彼」はテレビ局スタッフということだろうか?そう思ったが、即座に収録前に交わしたブリッジロックとの会話が蘇えり、自分の口にした疑問を否定する。


「よっぽど特殊な事情でない限りは普通そうなんですけどね。この番組に関しては専属がいるんですよ」

「珍しいですね…」

「ええ。初回はLMEの雑用スタッフが入ってコーナーを私有化して暴走しちゃってNG出したんですけど、その初回のキャラクターが視聴者に受けたみたいで」


そう言えばクビになって…と初めて会った時はそう言ってたなと蓮は思い起こす。クビになったはずがまた彼に再会できたのはそう言うことかと納得する。


「じゃあ…坊役の彼は?」

「彼?」


蓮の質問に相手も首を傾げる。


「坊役の子、今日は急病みたいで。でも、人違いじゃないですか?」

「え?」

「いつもレギュラーで坊役やってる子、女の子ですよ。最近人気も出てきたタレントさんで。敦賀さんご存じじゃないんですか?」


LMEの雑用スタッフ、女の子、タレント。

蓮の中で、自分と会話していた鶏の彼といわれる言葉が符合しない。


「あ、敦賀さん、いたいた!」

「山田さんもお疲れ様っスー!ADさんが探してましたよー」

「はーい。それじゃあ、失礼します」


蓮が立ち止まって考えていると、背後からブリッジロックの声がかかる。山田と呼ばれた坊の着ぐるみを着たスタッフは会釈をするとそのままスタジオの方に戻っていった。


「敦賀さん急に出てっちゃうから。マネージャーさんが探してましたよ」

「蓮、ああよかった。どこに行ったかと思った」


収録直後はケータイだって持ってないんだから、と小言とともにブリッジロックについてきた社は蓮にあずかっていたケータイを手渡す。


「スイマセン。本番前にバタバタしちゃって、今日の坊が代役だって伝えそびれたままで」

「え…ああ、それはさっき…」

「あー、山田さんから聞きました?急病だなんて心配ですよね」

「何の話だ?」


茫然とした様子の蓮とブリッジロックの間で交わされる話題についていけない社が首をひねった。


「あの…坊役の人って…」

「敦賀さんにお世話とか言わせちゃうんだもんな、すごいよなぁ。俺らも彼女から敦賀さんの話聞いてて、今日会えて嬉しかったし!」

「そうそう!いつも尊敬する先輩でって嬉しそうに話してるんだもんなぁ。…なあ、これってさやっぱリーダー望み薄くね?」

「そうじゃないだろ!敦賀さん、急病って言っても、そんなに深刻じゃないと思いますよ?吐いてたけど、胃腸に来る風邪かなぁ。椹さんに連絡とって対応してもらったんだから心配いらないんじゃね?」

「ばかっ!どうだったか見立ては聞いてないだろっ!リーダーなんて心配してオロオロしてたんだから」

「~~~っ、だからっ!俺の話題から離れろ!」


脱線しつつも賑やかな雄生と慎一のやり取りに、光が制止をかける。主語不在のまま展開される会話の端々に入り混じるキーワードに蓮の頭はある可能性を導き出していくが、まだその推測を口にすることもできない。


「な、なぁ、蓮。お前のことを尊敬する先輩っていう女の子って…」


話の筋道がうっすら見えた社は、会話の端々に浮かんだ単語からある人物を想像する。


「ホントに具合悪そうだったんだから心配するだろ!?顔色も悪くて吐いてぐったりしてたし、あんな辛そうだったのに午前中は着ぐるみ着て仕事こなしてたんだぞ!?」

「キョーコちゃんいつも元気そうだから、想像つかへんなぁ」

「呑気なこと言うなっ!ちょっと前からずっと体調悪かったみたいなのに無理してたみたいなんだよ!」


茶化す二人に涙目でまくしたてた光。さすがに言い過ぎたかと、気不味気に二人は口を噤む。

3人の会話の中からよく知った名前を聞き蓮の瞳が僅かに見開かれた。


「………れ、蓮…?お前、知ってたのか?」


固まったままの蓮に、社が恐る恐るといった風に声をかけた。


「……い…、いえ…」

「「「「えっ!?」」」」


四人の声が重なった。


「え?だって敦賀さん、お世話になってるってゆーてたから…」

「もしかして、ホントに知らなかったのか?だからキョーコちゃん秘密って…」

「どないしよ?約束破っちゃったか?」


途端に困ったようにぼそぼそと話し始めたブリッジロックの3人に、蓮は取り繕うように口を開いた。


「あ…いえ。知らなかったのは具合が悪かったって事で……」

「そですかー」


蓮の言葉にほっとした表情を見せた3人。坊との初めての接触と会話の内容を思い返せば、キョーコが秘密にしていたことは容易に想像できる。

でも、その後のことは…?


「すみません。次の仕事があるので、これで…」


社が物言いたげな視線を投げかけるのを目だけで制止し、蓮はそう口にしてその場を離れた。


「……社さん」

「心配なのはわかるけど、今は仕事中だ」


蓮の言葉を遮った社にも、今聞いた会話は衝撃的だった。


混乱を抱えた二人は、ひとまず目の前の仕事に集中することで平静を保ったのだった。




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坊バレ…ありきたりでどこぞで見た事のある様な流れにしかできませんでした…。ゴメンナサイ―。

そんでもって今回も会話が中心なのでボリュームとられてるし、会話優先なので描写少な目…。