貫徹 | 激流五鱗書+

激流五鱗書+

我釣りにおいて後悔をせず

沖の島へ
 
11月14日
 
キビナゴの釣り
 
曇りのち晴れ
 
やや強い北西風
 
狙いは大型タマン

豊丸
姫島南周り
南のハエ
キビナゴ
あなたが居てくれるから
この竿があるから
いざ挑める
モンツキイサキ
アカハタ
ヒメジのオジサン
ヨスジフエダイ
究極の釣り座
この一本が命を繋ぐ
船待ちは道具を降ろして
 
迎えの時間
お世話になりました。
ありがとう沖の島
 
持ち帰り
モンツキイサキ50cm
アカハタ40cm~4匹
 
キビナゴの釣り
 
最終戦
 
姫島南周り
 
選んだ舞台は
 
南のハエ
 
一発大物場
 
タマン場とは言えない
 
毎年の目標
 
必ずタマンを二桁は釣る
 
今年も残り後一枚
 
最後の挑戦
 
そこにあえて
 
南のハエを選択
 
いや、そうではない
 
最後はここと決めていた
 
それに向けて動いた
 
ただそれだけ
 
目標の達成の為だけに
 
置くことはしない
 
もちろん竿も置かない
 
最後の最後まで
 
やり抜く覚悟
 
ここは夢の舞台だから
 
潮は下り
 
程よい流れ
 
雰囲気は悪くはない
 
でも食わない
 
キビナゴも取られない
 
猫は身を潜める
 
無の海
 
磯替えはしない
 
午前10時半
 
潮が上りへと変わる
 
アタリが出始める
 
魚は潮に正直者
 
馬鹿を見るのは釣り人
 
夢を見るのは私
 
西からの本流
 
重く強く太く南へ
 
東からは引かれ
 
軽く速く鋭く重なる
 
その引かれに引かれる潮
 
ゆっくりと東へ
 
狙いはその潮
 
虎視眈々と
 
巨大なウキを優しく置く
 
引かれの起点は
 
南の磯のシオフキの角
 
引かれの引かれがそこに合流
 
食うとしたらその手前
 
潮が潮で作る芸術品
 
潮のマモタエ
 
張りを意識
 
キビナゴを先行
 
針先に全神経を集中
 
一等席の磯の前
 
止めた仕掛け
 
潮を噛む
 
全てが一直線に繋がった
 
黄色いデージ
 
巨大なウキ
 
電光石火
 
見事に消し込まれた
 
瞬時にベールを起こした
 
巻きアワセは必要ない
 
ラインはすでに
 
スプールに食い込む勢い
 
迷わずに鬼アワセを叩き込む
 
決まった
 
我夢者が満月になる
 
激しい重量感
 
ラインは1㎜も出さない
 
正に力比べ
 
両者が全力で引き合う
 
魚は賢い
 
前が駄目なら下に行く
 
凄まじい速度
 
ラインが水を切り裂く
 
その音が聞こえた
 
力で敗北
 
竿が満月から三日月へ
 
次の瞬間
 
月は消え去り
 
闇夜へ
 
我夢者は天を突く一本の剣
 
ラインが風になびく
 
私の背中は壁に張り付く
 
終わった
 
気が付けば終わっていた
 
タマンとの激闘
 
あれは巨大なタマン
 
正体不明の何物かではない
 
タマンそのもの
 
タマンは賢い
 
私は間違いなく大馬鹿者
 
今年も終わった
 
完敗
 
それが嬉しい
 
今の気持ちは清々しい
 
最高な時
 
負けたからこそ
 
まだやれる
 
いつまでも挑戦者
 
新しい古いでは無く
 
流行りに乗るでも無く
 
誰に流されることも無く
 
馬鹿にされようとも
 
自分自身をひたすらに信じ
 
唯一の武器を味方に
 
タマンだけを追い求める
 
来年も沖の島へ
 
最高な無二に感謝をします。
 
20回目 タマン9