神無き月の洗礼を
大本命から見放され
もがき苦しみ
気付けば霜月
気持ちも新たに
最終戦に全てを賭ける。
初福渡船
本日はお世話になります。
二日釣り
二日目
乗船客は14名
キビナゴ師に底物師
本日の磯周りは
「一つバエ」
午前5時半
片島港を出港した。
一旦、弘瀬港に入港し
泊り客6名を乗せ

その光景に、
百戦錬磨の底物師も
流石に諦めた。
我が事のように
一月ほど前の記憶が蘇る。
船はくるりと反転し
一つバエに別れを告げた。

名残惜しく
一つバエを振り向けば
美しい日の出に出逢えた。
これだけでも幸せを感じる。
西に向け走る船
東寄りのウネリには強い
姫島に向かうようだ。
姫島に着き
先ずは千畳に
底物師3名を降ろした。
船はヨウチエンの前
尾長狙いの一級磯
もちろん
キビナゴの釣りも良い。
そこで呼ばれた。
船「息子さんら二人は
ヨウチエンに行こうか」
私「よろしくお願いします」

息子達に手を振り、
頑張れよとエールを贈った。
船は南へと走る。
途中の高バエに
キビナゴ師を降ろす。
そして呼ばれた。
船「海人君、ハエやる?」
私「はい、やります!
ありがたき幸せ」
で決まった
本日の舞台は
姫島での
最南端にある磯
そして私が
一番降りてみたかった
憧れの名礁
そこは
青物はもちろん、
過去には鮪やカジキ、
GTまでをも
実績のある磯なのだから。
そんな
憧れの名礁で

力強く握る

この愛竿
「大物よ来い」
気合いを入れて

いざ開始
潮は下り潮
東からの強く太い潮は
ハエの東沖にある
見え隠れする
シモリに当たり、
そこで沸き上がり
南西へと激しく流れていく。
その潮に引かれて出来る
反転流は、
ハエの前で渦を巻きながら
東へと流れ
本流に吸い込まれていく。
複雑で豪快な潮流
その潮の中に
あの潮は見付からない。
見付けられない。
ならば、
沖を流れる本流を狙う。
第一投
遠投した巨大なウキは
綺麗に潮を掴む。
手前のラインは
潮に邪魔されないよう
風を利用し、
浮かせ気味に
ラインメンディングをした。
馴染む仕掛け
ラインが引かれた。

本命モンズマ
次の投でも引かれた。
キビナゴが半分
食いちぎられていた。
モンズマの仕業
少し小さめのキビナゴを
針に付け
本流に仕掛けを置く。
釣れる。
モンズマが。
毎投当たる。
時に釣れる。
もう充分
美味しく頂ける分だけを
クーラーに入れた。
こうなれば
ただの餌取りと化す。
モンズマを交わす為に
違う潮を探す。
弱い潮を中心に
仕掛けを置いていく。
それでもたまに当たる。
奏功していると
次第に当たりが遠退いた。
モンズマタイムが終わった。
フィッシュイーターの
活性が上がる。
仕掛けが入る。
弱い潮で
ウキが消し込み
ラインが弾かれた。
強くは無い引き
あの名脇役を確信する。

本命モンツキ
名脇役は
連発で登場してくれる。

本命モンツキ
たまには沖の潮にも
仕掛けを置く。
走るウキ

本命ダツ
これも連発する。
本命だけど疲れるだけ。
置く潮を戻す。
深く入る。

本命ヒメジのオジサン
この風貌と
色彩に癒される。
そんな釣りを楽しみながら
潮を待つ。
あの潮を。
午前9時半
潮が変わる。
下りから上りへと。
本流が
右側の岬をかすめ
南東に向け流れ始めた。
手前の潮は動かない。
午前10時
沖の本流が強くなり、
それにつられ
足元から沖に向け
一本の潮の帯が動き出す。
その潮の帯に
仕掛けを乗せた。
真南に向けウキが運ばれる。
50m沖
本流と重なる手前で
ウキが消し込み
強くラインが弾かれた。
瞬時にベールを起こし
巻きアワセからの
本アワセを叩き込む。
叩く相手
すぐに分かった。
丁寧にやり取りをし
強引に磯に抜き上げた。

大本命タマン
本当は
優しく取り込みたかった。
一ヶ月ぶりの
出逢いなのだから。
それでもこの磯
とにかく取り込みが大変
長さ6mのタモが届かない。
となると、
磯に垂らされた

このロープを握り、
竿も握り
タモの届く場所まで降り
取り込む必要がある。

どの方向にもロープ
その危険がまた
楽しいのかも知れない。
とりあえず
大物とのやり取りは
かなり難しい場所である。
それでも釣りは続ける。
潮はまだある。
ウキを置く。
仕掛けを素早く馴染ませる。
早い段階で
ウキが消し込んだ。
アワセを叩き込む。
叩く相手
先ほどのよりも少し強い。
強引に寄せる。
海中に姿を確認
浮かせた。
抜き上げようとした。
足場の狭い磯
竿を立てれば折れる心配
浮かせた魚を引きずり、
磯の周りを回った。
クエが現れない事を
ひたすらに祈りながら。
漸く一ヶ所
タモが届くかという場所を
見付けた。
磯際のウネリに
魚が躍り、
片手で持つ剛竿までもが
持っていかれる。
かなりキツい
タモを伸ばす。
ギリギリ届いた。
ウネリのタイミングを計り
一気にタモに収めた。
そのタモが
またウネリに引かれる。
亀の手に網が掛かる。
気にせずに引き上げた。

神無き月には
一枚も釣れなかった。
一ヶ月間
「私、失敗しないので」
そう言えるのは
まだまだ先になりそうだ。
釣神、海神、人神、船神、
全ての神に感謝する。
この釣り最高
また来年

















