執念 | 激流五鱗書+

激流五鱗書+

我釣りにおいて後悔をせず

高知県西南部に位置する
沖鵜海域
我が修行道場
そこは
磯釣り師の聖地である。
 
今週は沖の島へ

本日はお世話になります。
 
今回の道場
名礁・ムロバエ
初めて降りる
いや、漸く降りれた
憧れの磯
その西の船着き
そこが本日の
修行の舞台となる。
 
微風の予報に反し
北西風が強い。
10m程は吹いている。
 
時たま来る風波に
磯は洗われ、
頭からも潮を被る。
 
道具類は高場へと上げ
一ヶ所へ纏める。
ここでも潮を被っていたが。
 
立ち位置は
磯の形状的にも
少し下がった位置にある、
時たま洗われはするが
比較的平らな場所とした。
撒き餌はキビナゴ
一応ボイルも用意した。
 
竿は、
一発大物場だけに
我夢者を握っていた。
 
6時半開始
 
いきなり洗礼を浴びる。
 
開始三投目
左からの本流に
巨大なウキが馴染む。
 
その瞬間
一気に消し込まれ
竿を引ったくられた。
 
ドラグはフルロック
 
一瞬、体勢を崩しかけたが
腰を落とし反撃に出る。
 
強い。
強過ぎる。
 
竿先が水面に
突き刺さったまま耐えた。
 
フルロックのドラグからは
チリチリとラインが
引きずり出される。
 
足元には張り出した根
 
頭では解ってはいるのだが
身体が動かず
耐える事しか出来ない。
 
竿が起こせない。
 
当然かも知れないが
無情にも上から飛ばされた。
 
どうしようも無かった。
今の私には。
 
初速、パワー、重量、
紛れもなくタマンだった。
それも巨大な奴
 
気を取り直し
いや、
引き締めて再開
 
が、しかし
大物去った道場は
子供の遊び場と化していた。
キツ
ダツ
メガネハギ
 
連発する
それらを相手に
徐々に身体を温めつつ、
同時に
熱くなっていた
気持ちを冷ました。
漸く周りが見えた。
そこで初めて
ムロバエの絶景に感動した。
 
平常心に戻った。
 
潮を見付けた。
 
仕掛けを入れる。
 
馴染む。
 
スプールに添えた指が
前当たりを感じる。
 
途端にラインが弾かれた。
 
初速こそ遅いが
竿に乗った重量感は
半端無い。
 
引きも強く
しぶとく抵抗する。
 
磯際でも
しぶとく突っ込む。
 
しぶといそれを凌ぎ
漸く姿が見えた。
 
その姿を確認し
私の心拍数が跳上がる。
 
その
しぶとい魚がこれ
シブダイ
和名・フエダイ
 
高級魚の中の高級魚
 
幻の高級魚
 
一度は釣りたかった
 
嬉しくて嬉しくて
気が付けば
空を見上げ叫んでいた。
写真を撮りまくる。
何とも美しい魚体
体高も有るが
厚みも凄い。
 
憧れだったシブダイに
まさかここで出逢えるとは。
 
心の底から感動した。
 
釣り神様、
本当にありがとう。
 
その後
この立ち位置は
ダツと海亀に占拠され
少しだけ動いた。
10時10分
北の船着きにて再開
 
少しだけ奥まったこの場所、
本流から離れた分
当然、潮は緩い。
 
潮は、
遠い本流に
引かれる潮に
これまた引かれて出来る
引かれ潮が狙い目
 
その緩い潮に
仕掛けを馴染ませる。
 
すぐに答えが出る。
モンツキイサキ
これもある意味本命
何度釣っても嬉しい魚
 
だが何かが足りない。
 
そう、
本命の中の本命
大本命の魚
タマンを釣っていない。
 
これが釣れないと
気持ち良く終われない。
 
生涯掛けて追うと決めた
タマンと言う名の魚
 
その想いは
願えば叶うもの。
 
納竿間際の
12時45分
 
鋭いウキ入れからの
激しい突っ込みに確信した、
タマンだと。
 
やっぱり嬉しい。
 
この魚だけは執念で釣る。
 
それを最後に
こちらもダツ天国と化した。
ダツとは言え
このサイズは引く。
連発すると流石に疲れる。
 
13時10分
早めに納竿した。
 
持ち帰りは
シブダイ、タマン、モンツキ
これらを少しだけ。
 
13時45分
迎えが来た。
本日もお世話になりました。
 
沖の島
「ムロバエ」
そこは
噂に違わぬ名礁だった。
 
大好きな磯が
私の中にまた一つ増えた。
 
と、このまま
楽しかっただけでは
終われぬ出来事があった。
いや、
途轍もない大事件が。
だが、
それによって
この釣りの
新たなる可能性も見えた。
 
それはまた、
心の整理が付き次第
ゆっくりと書きたいと思う。
 
ではまた。