あれもほしい
これもほしい
あれもこれも
失いたくない
いつもいつも
中途半端で
何に対しても
一途になれない
同じ場所には
居られない
移り気な自分に嫌気が刺すけれど
こればかりはきっと
一生変わらない
そんな私に、彼は一緒に暮らそうと言った。
できることなら、彼の暮らす福井県で。
そんな覚悟があるはずもなく、
けれど無理やり東京に呼び戻して苦労させることも気が引けて、
だからといって別れるなんて考えられなくて、
ということは私がむこうに行くしかないというわけで。
仕事を理由に渋ってみたけれど、
結局は単に都会暮らしを続けたいと思っていることはバレバレで、
彼と離れて暮らすことよりも、友人と離れてしまうことのほうが抵抗があることも見透かされていて。
そんな、心の迷いがそのまま表れたように泳ぐ私の目を真っ直ぐ捉えて、彼はこんな話をした。
『周りに仲間がいて、賑やかに過ごしているうちは、そのとき本当に必要な選択なんて、見過ごしてしまう。
それは、よくわかる。
俺も、めいりくらいの歳の頃はそうだったから。
そういう生活は、たしかに楽しいよ。いい思い出になった。けれど、形として残ったものはない。
事実、俺は自分のやりたいようにやって、結果的に一人だった。
そのとき後悔しても遅い。
めいりには、まだわからないかもしれないけど、大切なものができたら、それを得る代わりに、捨てなくちゃならないものってあるんだよ。
あれもこれも、手元に置いておくことなんてできない。
選択していかなきゃならないんだ。
結局は、相手のことがどれほど大切かってことだよ』
心臓を、ギュッと絞り上げられたような感覚。
選択するのも
決断するのも
自分自身なのに
私は自分を裏切ることになんて
一切の迷いもないから
そうやって
なんの責任も持てずにやってきたから
だからそこに
他者が関わってしまうことが
正直億劫で
避けてしまいたくて。
だって自分を裏切ることが
誰かを裏切ることに繋がるなんて
わかっていてもきっと
私は貫けないから。
でも、それではいけないんだ
いけないところまで来てしまったらしい
私は変わらなければならない
大切な人のために
変わらなければならない。
誰かと生きることは
その誰かのために
自分自身に責任をもつことだって
あの人の真剣な瞳と対峙していて
気づかされた。
時間がほしいと思った。
一緒に暮らすのは、それからがいい。
一年半待ってくれと言うと、
彼は わかった と静かに答えた。
そのあとで、
早くこっちに来たいってめいりが思えるように、俺ももっと頑張らなきゃな
と笑った。
その優しさと、自らの不甲斐なさに、泣きたくなった。
いなくなりませんように
身勝手なことは承知です
この愛しい人が
これから一年半
私を待っていてくれますように
そのためにも、ちゃんとしなきゃな。