香山二三郎氏(コラムニスト)の評にあるように、「小金井警察署盗犯係・馬場みどりの成長劇と、組織犯罪対策係・為井忠之の転落劇を交錯させたドラマ」が本作の大きな魅力だ。
二人の刑事がそれぞれ別の事件を追いながら捜査を進め、やがて二つの事件が一つにつながっていく展開が実に面白い。悪に堕ちるのは一瞬だが、正義を貫くことは決して容易ではない。その対比が物語に深みを与えている。
被害者に寄り添い、事件解決のために奔走する馬場刑事のひたむきな姿勢は微笑ましく、応援したくなる。一方で、自らの保身のため犯罪者へ情報を流してしまう為井刑事には、許されない行為でありながらも、その境遇に一抹の同情を覚えた。
二人が追う事件は意外な形で交錯し、終盤には思いもよらない真相が明かされる。そういうことだったのか、と膝を打つ結末だった。
正義と悪の境界線はどこにあるのか。刑事たちの葛藤を通して、その難しさを問いかける警察小説だった。
馬場みどりという魅力的な主人公の今後も気になるところであり、ぜひ続編を読みたいと思わせる一冊だった。
■著者等紹介
宮島明道さん
1980年、東京都生まれ。16歳からDJを始め、DJ世界大会の国内予選であるDMCにおいて、2002年と2007年に日本チャンピオンに輝く。2003年からDJ教室「宮島塾」を経営。第24回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞し、本作でデビュー。
