人生の節目にそっと寄り添うチョコレート。銀紙に包まれ、茶色の紙に金色の文字が浮かぶ板チョコは、変わらないやさしさを運んでくれる。ほろ甘いチョコレートにまつわる5つの物語が、挿絵とともに静かに綴られている。
銀紙を開ける瞬間は、贅沢な喜びに満ちるときもあれば、そうでないときもある。人生もまた同じで、平坦に見えても山あり谷あり。「人生万事塞翁が馬」だと、ふと感じさせられるアンソロジーだ。
30ページ「お守りチョコ」より。
夢の中で遭遇した幼いコナちゃんみたいに目をキラキラ輝かせて、コナちゃんは言った。そして、続けた。
「つまり、何を言いたいかっていうと、生きていると、大変なことはそれなりにあって、痛みに絶叫したり、悲しみに打ちひしがれたり、どんなに気をつけて安全運転で生きているつもりでも、ある日突然大きな穴にズボッと体ごと落っこちたり、するんだよ。人生ってそういうものなの。
でもね、大丈夫だから。それでも、ちゃんと生きていけるから。」
豪華5名の作家による、やさしい余韻の残る一冊。
■目次
お守りチョコ 小川糸さん
四季 江國香織さん
チョコと冒険 角田光代さん
18歳のショコラトル 凪良ゆうさん
焦げ茶色の刻 千早茜さん
絵描きのあとがき ザ・キャビンカンパニー
バトンをつなぐ一人として
■著者紹介
小川糸さん
『食堂かたつむり』でデビュー。国内外で受賞多数。
江國香織さん
『号泣する準備はできていた』で直木賞ほか、受賞歴多数。
角田光代さん
『対岸の彼女』で直木賞。幅広いジャンルで活躍。
凪良ゆうさん
『流浪の月』『汝、星のごとく』で本屋大賞2度受賞。
千早茜さん
『しろがねの葉』で直木賞。繊細な心理描写に定評。
【No2119】あの日のチョコレート スヰートな5つの欠片 江國香織 小川糸 角田光代 千早茜 凪良ゆう 白泉社(2026/09)
