サウジアラビアとはどのような国なのか。紀元前から現代まで、アラビア半島の歴史を図やイラストを交えながら丁寧に解説してくれる一冊だった。
私が抱いていたサウジアラビアのイメージは、砂漠とイスラム教の聖地、そして石油産出国というものだった。しかし本書を読むと、同国を理解するには多面的な視点が必要であることがよくわかる。
国土の大半は砂漠であり、世界最大級の原油埋蔵量を誇る。一方で、メッカとメディナというイスラム教の二大聖地を抱え、宗教的にも特別な位置づけにある。近年は経済改革や観光開放が進み、女性の社会進出も広がっている。軍事面では国防費が世界で7番目、中東でも随一の装備を持つとされ、イエメンの反政府勢力との内戦やイランとの対立など、緊張感のある国際情勢が続いている。
また、ペルシア湾と紅海に面し、ヨルダン、クウェート、オマーン、UAE、カタールなどと国境を接する地政学的な要衝でもある。
豊富な石油資源を背景に、サウジアラビアが中東地域の政治・経済の中心として重要な役割を果たしていることが、本書を通じて改めて理解できた。
■目次
はじめに 日本とも関係の深いイスラム教と石油の国
サウジアラビアの4つのひみつ
プロローグ 中東の要衝にある産油国
1 古代のアラビア半島
2 アラブ人とイスラム教の成立
3 アッバース朝と周辺の王朝
4 サウド王国の興亡
5 サウド王国からサウジアラビアへ
6 近代化への道
7 21世紀のサウジアラビア
■著者等紹介
関眞興さん
1944年三重県生まれ。東京大学文学部卒業後、駿台予備学校世界史科講師を経て著述家。
【No2112】一冊でわかるサウジアラビア史 世界と日本がわかる国ぐにの歴史 関 眞興 河出書房新社(2026/02)
