失敗学の第一人者が、長年の研究と実践から導き出した人生訓や物事への対処法を語る一冊。
27頁
失敗は、自分を中心とする世界を拡大するチャンスである。失敗を恐れず挑戦した人が得られるご褒美は、世界を広げる機会を手にすることだ。
67頁 絶対にしてはいけないこと
未知・無知、手順の不遵守、誤判断、調査・検討不足、制約条件の変化、企画不良、価値観不良、組織運営不良など。
いわゆる手抜きやインチキ類い、仕組みや手法の不備によるものが失敗を招く。
105頁
やるべきことを愚直に続けることは、失敗を回避する大きな力になる。反対に、やってはいけないことを行えば失敗を起こしやすくなる。
人生には「万事塞翁が馬」という言葉があるように、刺激も変化もない人生はどこか物足りない。もちろん、わざと失敗するのは愚の骨頂だが、避けていても失敗は起こる。
そのとき、失敗を貴重な学びの機会と捉えたり、そこに含まれる刺激や変化を楽しめるくらいであれば、うまく対処できるのではないか。
失敗は誰にでも起こる。過度に悲観せず、「勉強になる」と受け止め、今後に活かせるように利用していきたい。
様々な事物に触れる際には、自分の目で見て、自分の頭で考え、判断する習慣を持つことが大切だ。あり得ることは起こるし、あり得ないと思っていたことも起こる。想像していたことが実際に起こることもあれば、想像できないことが起こることもある。
例えば、自然災害には想定外がつきものだと考え、できる限りの予防策を準備しておく。予期せぬ事態に役立つのは、他人の失敗体験を自分事として学ぶ姿勢、豊富な知識と過去からの類推力、そしていざというときに解決策を考えられる思考回路と決断力だ。
「木を見て森を見ず」「局所最適・全体最悪」「総論賛成・各論反対」などの言葉が示すように、全体と部分の両方を見る視点の切り替えを意識すると、よりよい判断ができるようになると思った。
■目次
はじめに 失敗から学んだ人生論
第1章 八〇歳を超えて感じていること(失敗から学んだことが生きている、加齢は世界の収縮との戦い ほか)
第2章 失敗は忘れた頃にやってくる(失敗学はこのようにして生まれた、絶対にしてはいけないこと ほか)
第3章 便利な暮らしの中に潜む失敗(それでも失敗はなくならない、視点を変えると印象も変わる ほか)
第4章 想定外の失敗まで防げるか(突然の入院と手術、リスクは人それぞれ ほか)
第5章 想定は人間の心理が反映される(失敗は身の丈を知る絶好の機会、「失敗ワクチン」という考え方 ほか)
おわりに 様々な経験が世界を広げてくれる
■著者紹介
畑村洋太郎さん(1941年東京生まれ)。東京大学工学部卒、同大学院修士課程修了。東京大学名誉教授。工学博士。専門は失敗学、創造学、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学。2001年より畑村創造工学研究所を主宰。2002年にNPO法人「失敗学会」、2007年に「危険学プロジェクト」を立ち上げる。
【No2110】人生の失敗学 日々の難儀な出来事と上手につき合う 畑村洋太郎 朝日新聞出版(2026/01)
