加山竜司 | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

本書では、「推し活」が人々の人生にどのような影響を与え、時に病的なまでにエスカレートしていくのかを、当事者の語りを通して探っている。界隈で使われる用語や慣習を丁寧に拾いながら、「なぜ人は推すのか」という根源的な問いに迫る語り口が印象的だった。

 

109ページには、「推しは推せる時に推せ」という界隈の格言が紹介されている。ただし、その熱量は永続するものではなく、推し活の盛衰には必ず波があるという指摘が続く。

 

小学館『デジタル大辞泉』によれば、推し活とは「自分の好きな芸能人やスポーツ選手、キャラクターなどを応援する活動の総称」である。

 

本書で描かれるのは、推し活によって人生の選択を大きく変えた人々の姿だ。AKB47、ホスト、VTuber、アニメキャラ、ゲーム、地下アイドル、AV女優、ビジュアル系バンドなど、対象は多岐にわたる。推し活には確かに効用があり、心身にほどよい刺激を与え、生活に彩りを添える。

 

生活に張りが出ればストレス解消につながり、新しい世界や仲間と出会える。友人ができることもあるし、自己肯定感を得たり、現実の恋愛とは異なる安心感や疑似恋愛のときめきを感じる人もいる。娯楽としての推し活に救われた人がいるのも事実だ。

 

一方で、推し活には宗教的な構造に似た側面もある。お布施や聖地巡礼といった消費行動の疑似性があり、信仰ではないものの「崇拝」に近い感情が擬態しているようにも見える。

 

負の側面として、本書は搾取の問題を避けずに描く。推し活の資金を得るために風俗やパパ活に手を出すケース、「頂き女子りりちゃん」事件のように詐欺に巻き込まれ身を滅ぼす例も紹介される。消費者自身が「自分の選択だ」と思い込むよう巧妙に仕向けられている構造があり、依存の深刻さが浮かび上がる。

 

推し活は楽しいものであってほしい。

だからこそ散財には注意し、自分自身も含めて節度ある距離感を保ちたい。

身の程をわきまえ、冷静さを持って推し活を楽しむことが、長く健やかに続けるための鍵なのだと思った。

 

📚目次

はじめに 病的なまでにエスカレートする「推し」

第一章 「結婚するなら、もちろんアイドル」──“推しのためにマンションを売った”トップオタ

第二章 「ホストはコスパがいい“推し活”」──“ホス狂い”風俗嬢のコスト意識

第三章 「二次元は“恋愛対象”になるか」──アニメ、VTuber、2.5次元、声優の推し活

第四章 「結婚できなかったのはアノ子のせいじゃない」──女性アイドルを14年間推し続ける中年女性の憂鬱

第五章 「AV女優に求める純潔」──秩序を守るAV女優アイドルとトップオタの女子校教師

第六章 「“運営”は搾取しているのか」──元ジャニーズJr.・地下アイドル運営の見果てぬ夢

第七章 「推しがいないこの世界に、生きる意味はない」──推しの後追いで自殺未遂した納棺師

第八章 「オタクとアイドルは運命を捻じ曲げて共に生きる」──オタクでアイドルだった彼女のSNSに残る未練

おわりに 「『推し』という病」への処方箋

 

著者紹介 

加山竜司さん 漫画ジャーナリスト、ライター、編集者。1976年静岡県生まれ。編集プロダクション勤務を経て、2005年よりフリーランス。