能登の震災復興を軸に、阪神淡路・東日本での経験を重ね合わせながら物語が静かに進んでいく。大人の視点と子どもの視点が交互に現れ、能登の男性たちの迷いや自信の揺らぎを、子どもたちのはつらつとした姿がそっと照らしていく構成が印象的だった。
日本は地震大国であり、阪神淡路、東日本、熊本と、幾度も大きな災害を経験してきた。被災後にも台風や水害が追い打ちをかけることがあり、世の中の不公平さを思わずにはいられない。
「総論賛成、各論反対」では前に進めない。自分の意見だけを主張するのではなく、相手の声にも耳を傾ける姿勢が必要だと感じた。
故郷をどうしていきたいのか――その問いを中心に、過去の経験や復興の教訓から何を生かせるのかを考える物語だった。
✦ 引用(要点のみ)
79P
東日本大震災では、行政支援のもと「復興商店街」がにぎわいを取り戻した。えびす温泉郷でも、旅館ごとの囲い込みではなく、温泉街全体が賑わう仕組みづくりを検討している。
226P
「温泉郷全体で創造的復興を掲げるのはきれい事だ」という批判に反論できない現実。
“創造的復興”は国が掲げた言葉だが、生活がままならない中でその重圧だけがのしかかり、成果が根付かない例も多かった。
244P
安易な解決ではなく、関係者全員が徹底的に議論し、納得できる落としどころを探ることが重要だと学んだ。
自分たちのプランを磨くと同時に、地域の「大旦那衆」を巻き込み、共感と支援を得る努力が欠かせない。
✦ 目次
おかしも
きのどくな
ととらく
おそすぎ
ぬしや
あめあめふるな
ここにいるよ
✦ 著者等紹介
真山仁さん
1962年大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者を経てフリーライター、作家として活動を続ける。2004年刊行のデビュー作『ハゲタカ』がベストセラーに
