歴史は面白い。
日本の城にまつわる疑問を、豊富なイラストでわかりやすく解説してくれる一冊だった。これを読めば、歴史番組を見ているときも、実際に城を訪れたときも、構造や意味がすっと腑に落ちて、城への親しみがぐっと増してくる。
日本の城と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、城郭考古学者の千田嘉博さんだ。テレビ番組でも城の魅力を丁寧に語り、竪堀や堀切などを説明するときの眼差しの強さ、目の輝きが印象的で、こちらまで楽しくなる。城跡を歩きながら段差のようにしか見えない場所に歴史的な意味を見いだす姿は、見ていて胸が躍る。
今回の著者・小和田泰経さんは、歴史学者として著名な小和田哲男さんのご子息である。親子ともに城郭研究に携わっておられることを知り、どのようなお城談義をされているのか想像がふくらむ。泰経さんの著書を通じて、これからも城郭研究の歩みを応援したいと思った。
■今回、特に興味を抱いた点・印象に残った箇所
弘前城などは四神相応や鬼門除けを意識して築城されている。
青龍・白虎・朱雀・玄武という思想が城の配置に生かされているのは興味深い。
石垣を見ると築かれた時代がわかる。
野面積 → 打込接 → 切込接へと進化し、隙間がなく洗練されていく様子がよくわかる。
名古屋城の鯱は雌雄一対で、水を噴いて火難から守る「火除けの神」。
外壁の違いに時代性が表れる。
安土桃山時代は木板+漆の黒い外壁、江戸時代は土壁を漆喰で覆った白い外壁。耐久性は低いが火災に強い。
天守は物見だけでなく「最後の砦」。
城主が籠るための空間でもある。
城は常に籠城の準備をしていた。
犬山城の天守には畳が敷かれ、姫路城には槍や鉄砲が架けられていた。米蔵には約3か月分の兵糧、煙硝蔵は爆発を避けるため城内の端に石造りで設けられていた。
落城のかたち。
最後は天守に火を放ち自害して落城するか、領土の割譲など降伏勧告に応じて開城する(城主は責任を負い自害が一般的)。
目次
はじめに
序章 小和田流 城の楽しみ方七か条
1章 城の縄張~どこに何を配置した?
2章 城の土木工事~こだわりぬかれた堀と石垣
3章 城の建物~天守のしくみ、城のしくみ
4章 城と戦~城の攻め方・守り方
5章 城と人々の暮らし~御殿・城下町のしくみ
6章 日本の城の歴史~古代から現代まで
巻末 名城一覧、日本の城ミニ用語集
著者紹介
小和田泰経さん
歴史学者・小和田哲男氏のご子息。
1972年東京都生まれ。國學院大學大学院文学研究科博士課程後期退学。専門は日本中世史。日本城郭協会理事、静岡英和学院大学講師、早稲田大学エクステンションセンター講師ほか。戦国武将・城郭・甲冑・刀剣に詳しい。
