世相を皮肉りながらも、どこかクスッと笑わせてくれる短編集。SF、コミカル、風刺と幅広いのに、どの作品にもきちんとした落としどころがあって、読後にふっと肩の力が抜けるような安心感があった。
なかでも「モンクコング対ゴネラ2021」はとくに印象に残った。
飲食店で注意されても頑なにマスクを拒む“ゴネラ”。
一方で、公園で遊ぶ小さな子どもにまで不織布マスクを強制し、声高に糾弾する“モンクコング”。
あの頃、実際にこういう人たちがいたよなあ……と、思わず記憶の底がざわっとする。
コロナ禍で、社会全体が精神的に追い込まれていた時期の空気が、ユーモラスな筆致の中にそっと滲んでいる。
重くなりすぎず、でもどこか切ない。まさしく荻原さんらしい作品だと感じた。
目次
陰謀論百物語
ハードボイルド・ルール
サクマ型ロボット2号
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ああ美しき忖度の村
モンクコング対ゴネラ2021
戦争過敏シンドローム
著者紹介
荻原浩さん
1956年埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業。広告制作会社勤務を経てフリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞、14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞、16年『海の見える理髪店』で直木三十五賞、24年『笑う森』で中央公論文芸賞受賞。20年『人生がそんなにも美しいのなら』では漫画家としてもデビュー。
