日本は深刻な人口減少と労働力不足に直面している。2030年代後半には、年間約100万人規模で労働人口が減り続けるとされ、外国人受け入れは避けて通れない課題となっている。女性就労者の増加にも限界があり、前期高齢者人口の減少も重なるなか、AIの進展だけでこの穴を埋められるのかは不透明だ。結局のところ、外国人を受け入れる規模を拡大しなければ、社会の維持が難しくなるのではないか。
しかし昨今の議論は、全体のわずか2%にすぎない「不法在留外国人」に集中しがちだという。むしろ98%を占める正規の外国人をどう位置づけ、日本の利益につながる外国人政策をどう構築するかが本質ではないか。欧米など外国の事例から学べる点も多いはずだ。
本書を読みながら、これまで自分が「外国人受け入れ」を語るときに、どこかミクロな視点にとどまっていたことに気づかされた。治安や不法滞在といった“2%の問題”ばかりが強調される一方で、残り98%の正規に暮らす外国人をどう位置づけるのかという本質的な議論は、ほとんど聞こえてこない。そもそも私たちは、日本社会をこれからどう維持し、どう豊かにしていくのかという大きな問いを共有できていないのではないか。
地方の過疎や社会保障の支え手不足、産業構造の転換といった個別の課題は、どれも人口減少という一本の線でつながっている。人口減少が確実に進むなかで、外国人受け入れは単なる労働力の補填ではなく、社会のあり方そのものに関わるテーマだと感じた。
日本をどうしていくのか──その問いを避けたままでは、外国人政策もまた表面的な議論に終わってしまうのだろう。
目次
序章
やばい!危ない!でも人手が足りない…。
(タブーだった外国人論争が突然花盛りに/2%の不法滞在より98%の正規外国人を考える ほか)
第1章 あなたの身の回りの外国人は危ない人なのか?
(不法滞在者は全外国人のわずか2%/国政選挙なのに「2%の話」ばかり。98%の方はどうする? ほか)
第2章 日本人だけでやってこれたから、今後も大丈夫?
(非ホワイトカラー職務で絶望的な人手不足/少子化でも大卒人材は増えている。減っているのは高卒・短大卒・専門卒 ほか)
第3章 企業は外国人を低賃金で酷使し、儲けているのか?
(すでに労働者の4%を外国人が占める/外国人はどのような形で仕事に就いているのか ほか)
第4章 外国人材戦略が大金を生み「世界制覇」を狙える!
(世界に親日・知日網を張り巡らす構想/外国人材対応の大金を捻出できる ほか)
おわりに
著者紹介
海老原嗣生さん
サッチモ代表社員。大正大学表現学部客員教授。1964年東京生まれ。大手メーカーを経てリクルートエイブリック(現リクルートエージェント)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計に携わる。その後、リクルートワークス研究所で雑誌『Works』編集長を務め、2008年にHRコンサルティング会社ニッチモを設立。
