日記シリーズ | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

 

人口減少と高齢化により檀家が減り、寺院の経営が成り立たなくなっている。そんな現実の中で、著者は“派遣で生計を立てる僧侶”としての日々を赤裸々に綴っている。

葬儀派遣業者から依頼を受け、現地で導師を務め、お布施を受け取る。そしてその一部を手数料として業者に振り込む――。耳慣れない「派遣僧侶」という仕事の実態が、淡々と、しかし生々しく描かれている。

 

本書は派遣僧侶業界だけでなく、仏教界や宗門の内情にも踏み込み、奇妙で可笑しな世界の全体像を浮かび上がらせる。

 

遺骨を大切にし、亡くなった人を弔うことは、見送る側の人生の価値を深める行為である。供養とは、生きている者にとって人生を意味づける営みなのだ――著者の根底にあるこの思いが、行間から静かに伝わってくる。

 

読経を続けるうちに、「すべては相対的であり、絶対普遍のものは何一つない」という“空”の真理に近づいていく。

呆れるほど唱えてきた「色即是空」「空即是色」が、決して虚妄ではないと実感するようになる。人の心も移ろい、物事に固定的な実態はない――その感覚が自然に腑に落ちていくのだ。

 

著者が僧侶として、そして一人の人間として、静かに高みへと歩んでいく姿が印象に残った。

 

目次

まえがき 食えない僧侶の行き着く先は?

第1章 本日も派遣で葬儀にまいります

第2章 僧侶になる方法

第3章 派遣僧侶、始めました

第4章 業界の有象無象

あとがき 葬式坊主の決意

 

著者紹介

松谷真純

1960年代、東北地方某県生まれ。大学卒業後、地元企業に勤務。30代半ばで得度。紆余曲折を経て跡継ぎのいない寺院の住職となるが、檀家の激減により東京で派遣僧侶として働くことに。本書では、その目から見た“奇妙な業界”の実態を率直に描く。

 

【No1999】葬式坊主なむなむ日記 檀家壊滅!還暦すぎて派遣で葬儀に出かけます 松谷真純 三五館シンシャ(2026/02)